■業績動向



3. 財務状況と経営指標

神戸物産<3038>の2023年10月期末の資産合計は前期末比31,615百万円増加の211,891百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では在庫が904百万円減少した一方で、現金及び預金が25,550百万円増加した。固定資産では、宮城県内に約30MWの太陽光発電所を開設したほか、冷凍食品やレトルト食品の製造を担う宮城製粉(株)が2023年4月より新本社工場を着工しており(総額8,133百万円、2024年4月竣工予定)、有形固定資産が6,083百万円増加した。新工場は延床面積で8,970m2とグループ最大規模で、レトルト食品やチルド惣菜などの自動化ラインを導入した生産性の高い工場となる。東日本大震災で被災した亘理町に建設し、現地で約40人の新規雇用を見込むなど復興支援と地域経済の活性化も目指した投資である。



負債合計は前期末比14,384百万円増加の97,439百万円となった。設備投資資金として有利子負債が3,783百万円増加したほか、買掛金が3,064百万円、資産除去債務が1,144百万円、その他の流動負債などがそれぞれ増加した。また、純資産合計は同17,230百万円増加の114,451百万円となった。配当金の支払額4,824百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益20,560百万円の計上により利益剰余金が15,736百万円増加した。



経営指標は、自己資本比率が前期末と同水準の52.7%に、有利子負債比率が同2.0ポイント低下の34.3%となった。ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)はキャッシュ・フローの改善が進んだことにより同21,767百万円増加の54,273百万円と過去最高水準に積み上がっており、財務基盤の強化が一段と進んだものと判断される。一方、収益性に関してはROEで前期比4.4ポイント低下の19.9%とここ数年低下傾向が続いているが、利益成長による自己資本の増加で財務レバレッジ(総資産÷自己資本)が低下していることが要因である。このため、同社ではKPIとして自己資本に有利子負債を加味した収益性指標であるROIC(投下資本利益率)を採用し、今後はROICの維持向上に取り組む方針を明らかにしている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)