■中期の成長戦略



● 企業価値向上に向けた具体的施策

持株会社体制への移行の発表に伴いティアンドエス<4055>は、アップデートした中期経営計画を発表した。収益基盤であるDXソリューションカテゴリーを着実に成長させながら、そこから生まれたキャッシュを拡大分野である半導体ソリューションカテゴリー、躍進分野であるAIソリューションカテゴリーに重点的に投資するという基本的な方針は堅持しつつ、さらに持株会社体制への移行とM&Aの活用によって事業規模の拡大と持続的な企業価値の向上を目指す考えだ。



基本となる成長ストーリーのもと、全社的な戦略としては「顧客ニーズに即したソフトウェア開発の推進」「半導体業界への深耕と新技術の研究開発」「持株会社化とM&Aの実現」の3つを掲げている。さらに、事業本部ごとのアクションプランを細かく設定し、全社戦略を遂行していく構えだ。



(1) システム開発事業本部

一次請負かつより大規模案件への対応実績を積み重ねながら、既存顧客の深耕と対象産業領域の拡大により業界の成長スピードを上回る成長の実現を目指すほか、運用・保守案件の獲得により、長期にわたって受注を安定して獲得できる体制の構築などに注力する。また、半導体関連では、キオクシアのシステム刷新プロジェクトをしっかりと完遂させることやキオクシアグループに次ぐ収益源を育成し、事業の安定性をさらに高めていく。



(2) ITサービス事業本部

ITインフラ構築とITサービスの分野においてネット証券会社などのクラウド移行プロジェクト拡大に注力するほか、生成AIのプロンプトエンジニアリングの領域に参入し、事業を拡大する計画である。半導体関連に関しては、需要増に伴うサポート等のITサービス体制の拡大やキオクシアグループの新棟建設を前提として着実に事業を拡大・安定させていく。



(3) 先進技術事業本部

AI関連を強化することにより顧客基盤の拡大と新たな収益源の育成に注力していく。具体的には、最新AI技術の情報力・実装力を強みとして、外部への情報発信と顧客層拡大に注力するほか、製品開発への応用に注力することで、案件の長期安定化やさらなる技術実績とビジネス展開の可能性の拡大することなどを目指す。また、半導体関連では、大学等との共同研究を継続しながら独自技術の開発やそれに伴う権利の獲得に注力する。



システム開発事業本部、ITサービス事業本部共通の施策としては、採用を強化しながら退職者を抑制すること、既存顧客グループでの横展開や新規顧客の開拓により顧客シェアを分散させること、品質管理の徹底と利益率の向上などの各種施策に注力する。また、全ての事業部共通の施策として独立採算制を推進するほか、コーポレート本部に関しては、持株会社化に向けたガバナンス体制の強化やM&Aの実現などに注力する。拡大分野である半導体、躍進分野であるAIをさらに伸ばし、業績の拡大と企業価値の向上を実現するために経営基盤をさらに強化していく。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)