■要約



横浜冷凍<2874>は、1948年に横浜で創業した企業である。冷蔵倉庫事業と食品販売事業の2つを柱に創業以来75年にわたって、世界の食の安定供給に貢献してきた。冷蔵倉庫事業は、全国に高品質の食品を安定供給するために国内外に冷蔵倉庫がある。顧客の多岐にわたるニーズに対応するため、同社冷蔵倉庫における「自然対流冷却方式」や同社社員による庫内オペレーションなどの強みを培ってきた。食品販売事業においては、世界中の産地から高品質な食品を仕入れ、国内外への販売を行っている。今後は2030年9月期を最終年度とする「ヨコレイ事業ビジョン2030」「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」の下で、持続可能な社会の実現と株主価値の向上をともに目指す。



1. 2023年9月期の連結業績概要

2023年9月期の連結業績は、売上高が前期比16.1%増の133,862百万円、営業利益が同11.0%減の3,785百万円、経常利益が同15.9%減の4,203百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.6%減の2,831百万円となった。



堅調な需要を受け、冷蔵倉庫事業と食品販売事業の売上高がそろって拡大したことが連結ベースの売上高を押し上げた。一方で利益面に関しては、冷蔵倉庫事業が過去最高のセグメント利益を達成したものの、食品販売事業が前期比で減益となったことが響いた。加えて、販売経費や人件費の増加、本社移転費用等も連結ベースの利益を押し下げる要因となった。セグメント別の業績は、冷蔵倉庫事業が過去最高の売上高・セグメント利益を達成した。保管料収入が大きく伸長したほか、環境配慮型「複合型マルチ物流サービス」も好調だった。食品販売事業は、水産品、畜産品、農産品・その他がすべて増収となったものの、商品の値崩れやALPS処理水放出などの影響を受け減益となった。ただ、食品販売事業においては、新・中期経営計画(第I期)で重点施策と定める収益性向上のための構造改革が確実に進捗し、適正な在庫管理の推進を徹底した。外部環境においては戦争や禁輸など、業績下押し要因があったものの、構造改革が進展するなかで業績への影響を最小限に抑えた格好だ。



2. 2024年9月期の連結業績見通し

2024年9月期の連結業績は、売上高で前期比3.8%増の139,000百万円、営業利益で同20.2%増の4,550百万円、経常利益で同13.0%増の4,750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同7.7%増の3,050百万円と増収増益を見込んでいる。売上高に関しては、冷蔵倉庫事業、食品販売事業ともに前期の実績を上回る見通しだ。特に冷蔵倉庫事業に関しては、外部環境が好調ななかで、現在着工中の新物流センターが竣工することから、トップラインの伸びが加速すると見込んでいる。一方で利益面に関しては、値崩れなどの影響が緩和することにより食品販売事業のセグメント利益が大きく伸びると想定しているものの、冷蔵倉庫事業に関してはわずかながらの減益を想定している。これは、ちばリサーチパーク物流センターをはじめとする竣工済み及び期中竣工予定の物流センターの減価償却費が要因である。同社は新・中期経営計画第I期、第II期で物流センターの加速度的拡大を戦略の1つとして掲げており、一時的に減価償却費の負担が増える格好だ。2024年9月期からは新・中期経営計画第II期「繋ぐ力」がスタートする。冷蔵倉庫事業、食品販売事業がそれぞれの重点施策を着実に実行し、増益への回帰を目指す。



3. 中期経営計画の概要

同社は長期ビジョンとして「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」「ヨコレイ事業ビジョン2030」を公表している。同ビジョンの下で、中長期的な視点で持続可能な社会の発展に事業活動を通じて貢献する方針だ。加えて、業績の拡大と企業価値の向上も実現していく。具体的には連結ベースの定量目標として、2030年9月期に売上高1,700億円、営業利益100億円、EBITDA170億円以上の達成を目指す。これらの目標達成に向けて2024年9月期からは新・中期経営計画第II期「繋ぐ力」がスタートする。2026年9月期までの3年間が対象であり、売上高1,500億円、営業利益65億円、EBITDA130億円、ROE5%以上、自己資本比率40%台の維持を目指す。



■Key Points

・1948年の創業以来、「食のインフラ」として食材の安定供給に貢献

・温度管理技術とノウハウ及び社員オペレーションが強み

・2023年9月期は増収減益となるも構造改革が着実に進展

・2024年9月期は増収増益を見込む



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)