■横浜冷凍<2874>の中長期の成長戦略



2. 中期経営計画第II期「繋ぐ力」

新・中期経営計画第II期(2024年9月期〜2026年9月期)では、前中計で提供したサービスの成長を加速させるため、「取引先」「生産者」「株主」「地域社会」「社員及び社内の各部門間」の横の繋がり、また、「2030年事業ビジョン」、さらに「ヨコレイ100周年」そして「未来」への繋がりを意識して全体方針を「繋ぐ力」と策定した。新・中期経営計画第I期「創る力」(2021年9月期〜2023年9月期)では、冷蔵倉庫事業が複合型マルチ物流サービスの提供加速などをはじめとする重点施策の着実な実行により業績を拡大させたほか、食品販売事業においても相場の不確実性はありながら収益性向上のための構造改革をはじめとする改革・成長パッケージが確実に遂行された。「繋ぐ力」においても、冷蔵倉庫事業と食品販売事業がそれぞれの重点施策を確実に実行することにより、2026年9月期に売上高1,500億円、営業利益65億円、EBITDA130億円、ROE5%以上、自己資本比率40%台維持の達成を目指す。



a) 冷蔵倉庫事業

「積み重ねてきた高品質な物流で国内外の課題を解消し、顧客へスマートコールドサービスを提供する」という事業方針を策定している。具体的には以下3つの重点施策を実行することによって2026年9月期にセグメント売上高360億円、セグメント利益80億円を目指す。



a-1) 環境配慮型センターの加速化

「地球にやさしい物流センター/BCP対応型センター」の新設を軸とした戦略的投資を行うなかで、再生可能エネルギーの活用や自然冷媒の導入を引き続き推進し、顧客のサプライチェーンのグリーン化と持続可能化を支援していく。具体的な目標として、物流センターの数を60事業所(海外拠点含む)にすること(2023年9月期は55事業所)、太陽光発電導入事業所を32事業所にすること(同21事業所)、太陽光発電の発電能力を13MWにすること(同9.3MW)、CO2排出削減量を年間4,260トンにすること(同2,874トン)、自然冷媒の導入率を80%にすること(同69%)、新設する物流センターの再生可能エネルギー利用率を15%以上にすることを設定している。これらの目標達成に向けて2024年9月期には、仙台物流センター自然冷媒化工事の実施、既存物流センターへの太陽光発電パネルの設置などに取り組んでいく。



a-2) スマートコールドサービスの実現

「労働力人口の減少」や「物流2024問題」といった外部環境の課題に対応するために、中継拠点冷蔵庫の積極的な設置とロボット・ITの導入による生産性の向上に取り組んでいく。具体的には、国内の拠点数を2026年9月期に55センターまで増やすことによって中継地での備蓄ニーズに応えていくほか、同社の強みの1つである社員オペレーションとマテハン・ロボットを掛け合わせることにより働き手不足の解消と生産性の向上を実現していく。これらにより取り扱い個数を2023年度比で10%増加させる計画だ。また、通関事業部門、販売事業部門との協業を積極的に模索し、事業機会の最大化を図っていく。2024年9月期は、恵庭、夢洲第二、箱崎と拠点数3ヶ所の増加に加えて、新たなトラック予約受付システムの開発完了・導入開始、通関事業のサービス拡充などに取り組む計画である。



a-3) ASEANグローバル展開

太陽光発電の設置、自然冷媒の導入、ITの活用、自動化の推進などに取り組むことにより、現地での同社倉庫の競争力を強化し、同地域の経済発展を業績にしっかりと取り込んでいく。アセアン地域での展開を強化することにより、2026年9月期に海外売上高比率を8%まで高めることを目指す。2024年9月期は、2023年3月に着工したベンルック物流センターの開設準備などに取り組んでいく。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)