■要約



ユミルリンク<4372>は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念の下、1999年に創業した会社である。同社の事業領域は、スマートフォンの登場によって近年成長が著しいデジタルマーケティング市場である。そのなかでも特に同社はメールマーケティング(メールを使って行うマーケティング活動)とSMSマーケティング(SMS:ショートメッセージサービスを利用して行うマーケティング活動)の領域において、大規模・高速配信などの強みを持つメール配信システム「Cuenote(R) FC」、国内キャリア直収型を強みとするSMS配信サービス「Cuenote(R) SMS」などのメッセージングソリューションを展開し、顧客のデジタルマーケティング及びDXを支援している。



1. 2023年12月期の業績概要

2023年12月期の業績は売上高が前期比6.1%増の2,315百万円(うちストック売上が2,254百万円、スポット売上が60百万円)、営業利益が同13.8%増の592百万円、経常利益が同13.8%増の592百万円、当期純利益が同13.9%増の409百万円となり、売上高に関しては9期連続、営業利益に関しては5期連続の過去最高更新となった。特定顧客の特需剥落などの影響を受け、「Cuenote(R) SMS」「Cuenote(R) Auth」の売上高が前期比13.6%減となったものの、主力サービスである「Cuenote(R) FC」が業績を牽引した。DXの推進やオンラインシフトなど、外部環境が良好ななか、解約率を低位安定させながらエンタープライズ顧客を中心に新規顧客を開拓したことにより、同サービスの売上高は前期比9.6%増の1,992百万円に拡大した。また、顧客企業の保有アドレス数が増大し、メッセージ送信数が増加したことも業績を押し上げた。「Cuenote(R) SMS」に関しては減収だったものの、新規一般顧客(特定顧客以外の顧客)の開拓は順調に進み、一般顧客の売上高は前期比35%増と急伸した。企業業務でのSMS活用が浸透するなかで、同サービスに対する引き合いが好調に推移した格好だ。利益面に関しては、収益性の高いサブスクリプションサービスが順調に拡大したことを受け、売上高の伸びを上回る成長を見せた。



2. 2024年12月期の業績予想

2024年12月期の業績は、売上高で前期比11.0%増の2,570百万円(うちストック売上が同11.3%増の2,508百万円、スポット売上が同0.7%増の61百万円)、営業利益で同3.0%増の610百万円、経常利益で同3.0%増の610百万円、当期純利益で同2,7%増の420百万円と過去最高業績の更新を見込んでいる。インターネット、SNS、スマートフォンなどの普及によりデジタルマーケティング市場のさらなる拡大が見込まれるなど、外部環境の見通しは引き続き良好である。そうしたなか、「Cuenote(R) FC」「Cuenote(R) SMS」ともに業績の拡大を見込んでいる。特に、人材不足に起因したDXの推進やGmailのポリシー変更などに伴い、メールサービスに対する引き合いが増加することを見込んでおり、トップラインの伸びは前期を上回る見通しだ。利益面に関しては、競争優位をさらに高めるための設備投資や体制強化を目的とした積極的な人材採用などの影響を見込んでいる。ただ、収益性の高いサブスクリプションサービスの売上を積み上げることにより、増益を確保する見通しである。2024年12月期は、新たにWebプッシュ機能をリリースする予定であり、メッセージチャネルを順次拡充し同社サービスの訴求力を高める戦略だ。



3. 今後の成長戦略

中期成長戦略の方針として同社は、メッセージングチャネルの拡充とプラットフォーム化をさらにすすめ、SaaS事業の領域拡大により企業価値と株主価値を持続的に高めることを計画している。具体的には、成長過程にあるメール・SMS市場でシェアを拡大しながら、新たなメッセージングチャネルの開発・拡充により顧客のデジタルマーケティングを支援する新たなサービスを生み出していく。そのために、シナジーを生み出す業務提携や外部企業との連携に注力する方針だ。営業面においてはエンタープライズ顧客の新規獲得を基本戦略とし、オンラインマーケティングの強化によってリード獲得数を増加させる。加えて、「Cuenote(R) FC」「Cuenote(R) SMS」を導入した既存顧客に対しては、クロスセルにより、顧客あたりの契約金額も引き上げる方針だ。



■Key Points

・メールの大規模・高速配信技術に強みを持ち、増収増益を継続

・2023年12月期も売上高、営業利益が過去最高を更新

・2024年12月期も成長投資をしつつ、過去最高業績の更新を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)