■エリアリンク<8914>の成長戦略



1.中期経営計画の概要

2022年2月に発表した「中期経営計画22-24」は、目標利益を計画2年目の2023年12月期に達成する見通しとなったことに加え、ストレージ事業を中心とする成長戦略に切り替えるため1年で中断し、2023年2月に「中期経営計画23-25」を発表した。新たな経営目標として、最終年度の2025年12月期に売上高28,100百万円(2022年12月期比34.6%増)、営業利益5,500百万円(同47.0%増)、経常利益5,350百万円(同42.4%増)を掲げた。売上高を上回る利益の伸びにより、営業利益率は2022年12月期の17.9%から2025年12月期には19.6%に上昇する見通しだ。2022年12月期は、ストレージ運用を中心にストックビジネスの利益が全体の90%に拡大し、ストックビジネスへの構造改革は完了した。今後は新規出店を加速させることで売上高を伸ばし市場シェアを拡大するとともに、営業利益率の改善も着実に進めて早期に20%達成を目指す。非常に意欲的な経営目標であるが、計画初年度の2023年12月期の業績は計画を上回っている。



「出店の再加速」としては、2025年12月期の新規出店室数を2022年12月期比4.8倍の14,000室、2029年12月期には年間25,000室の出店を計画している。2016年12月期〜2019年12月期は毎年10,000室前後を出店していたが、コロナ禍の影響を考慮して出店を抑制した結果、2021年12月期は1,614室となった。しかしながら、出店に関する全国のデータベースを構築したことで出店エリアが拡大し出店精度が大幅に向上したほか、マンパワーに頼らない営業体制を確立したことで無駄を省いた効率的な営業活用の展開が可能となった。このような体制構築を数年かけて実行してきたことで、出店加速ができる環境となった。また、出店の急拡大を支えるための追加施策として、出店営業チーム及び施工部隊の体制強化、シンクタンクとの連携による出店データベースのさらなる精度向上、出店エリアの拡大(未開拓エリアへの進出)、コンテナに加えてストレージミニやビルイントランクの出店強化、他社のM&Aの検討や代理店営業及び受託営業の仕組化も推進する。今後7年で100,000室の出店計画は非常に高い数値目標であるものの、全国的にストレージに対するニーズが高いことや、世の中の認知度が高まってきたことを考えると、不可能な計画ではないと弊社では考えている。事実、初年度の2023年12月期には、計画の4,700室に対して実績は5,800室と大きく上回った。



2. ストレージ市場の成長性と課題

同社によれば、米国のストレージ利用者数が約1,350万室、世帯総数の10.6%であるのに対し、日本の現状はストレージ供給数約60万室、世帯総数の約1.1%に過ぎない。つまり、日米比較での単純計算では、将来の日本のストレージ市場は600万室へと現状の約10倍の成長余地があると言える。一方、1人当たり住宅床面積の国際比較では、米国の61.2m2に対し日本の関東大都市圏は35.3m2に留まっており、収納に対する潜在需要が高いと考えられる。これらのことから、ストレージ市場は今後大きな成長が見込めると言える。同社は、安定的に収益を生み出すストレージ運用を中心に、中期的に市場シェア50%達成を目標にしている。



ストレージ事業に類似したビジネスとしては、コインパーキング(時間貸し駐車場)がある。類似点としては、土地を借りて運用するビジネス、ストックビジネス、生活に密着したサービス、無人オペレーションで高収益、が挙げられる。一方、ストレージはコインパーキングにはない優位性がある。一例を挙げると、日本ではこれから発展するステージの産業であること、高利益率・安定収益性、コロナ禍でも影響を受けない安定性がある。実際、2009年以降のストレージの総室数と稼働率の推移を見ると、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍でも順調に稼働率が向上しており、ストレージは災害や不景気に強いビジネスであることが示されている。ただ、ストレージの課題としては、商品がまだ十分に知られていない、絶対的な物件数が少ない、最初は赤字スタートなどが挙げられる。これらの課題に対して同社は、差別化戦略、出店戦略、小型化や出店精度の向上などの対策を実行している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)