■業績動向



3. 2024年3月期の業績見通し

2024年3月期業績について紀文食品<2933>は、売上高106,963百万円(前期比1.2%増)、営業利益4,502百万円(同122.6%増)、経常利益4,020百万円(同128.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,597百万円(同487.0%増)と見込んでいる。同社は、経営理念である「革新と挑戦と夢」を企業行動の軸とし、「創造と改革により成長性と収益性のある企業グループ」となるよう、2021年4月に策定した3ヶ年の中期経営計画に沿って、「成長の加速」「経営効率の改善」「経営基盤の整備」の3点を活動の基軸に、引き続き企業価値の向上に努めた。この結果、売上高は期初計画のままだが、繁忙期の第3四半期へ向けて利益が上振れたため、期初計画に対して営業利益で794百万円、経常利益で860百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で694百万円上方修正することとなり、通期で過去最高利益を更新する見込みとなった。同社は引き続き、国内食品事業と食品関連事業の需要の高まりを捉えて収益の拡大に取り組み、海外食品事業ではマクロ経済の動向や地政学リスクによる影響度を注視しつつ業績の回復・向上に努める考えである。



営業利益の上方修正は、価格改定の浸透に加え、繁忙期である第3四半期に原材料価格が沈静化したため効果がフルに現れたこと、原材料の安定調達や自働化・省人化による生産効率向上に取り組んだこと、高付加価値商品の生産能力を増強したことなどが要因である。なお、売上高については、健康志向やプロモーションの効果により主力の水産練り製品が好調に推移、景気回復などを受け物流事業も拡大したが、景気低迷やインフレを背景に海外食品事業が低迷したこと、暖冬によりおでんがやや伸び悩んだことから、期初予想のままとなった。



業績を上方修正し、過去最高利益を更新する見込みとなったことで、2025年3月期以降の再成長へ向けて弾みとなることが期待される。しかしそのためには、好業績のなかで浮上した課題を解消する必要があるが、同社はすでに解消へ向けた策をそれぞれに講じている。課題は、中華惣菜や麺状製品、お重の苦戦、輸入農産品やおでんの伸び悩み、海外食品事業の低迷で、中華惣菜はロングライフ化、麺状製品は麺質やパッケージのリニューアルによって課題の解消を進めていくようだ。中身をトータルで提供できる強みを持つお重は今後も「お正月プロジェクト」を通じて品揃えや品質を訴求していくが、乱売気味の市場が落ち着けば自然と戻ってくると思われる。おでんと輸入農産品については、急な暖冬や円安といった一時的な外部環境変化が要因のため、引き続き着実な品質向上や供給元の見直しを進めるなかで回復を待つことになろう。海外食品事業については、ヘルシーヌードルは国内同様に麺質・パッケージをリニューアルするが、ロープライス品がまん延しているカニカマについては高質品として我慢のしどころかもしれない。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)