■要約



サイバーリンクス<3683>は、主に流通業と官公庁向けに基幹業務システムなどを提供するITサービス会社である。現在の事業セグメントは、流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業の4つとなっている。同社が提供するクラウドサービスは、共同利用する「シェアクラウド」であり、高機能・高品質でありながら低価格を実現している点が特色であり強みとなっている。また、モバイルネットワーク事業は、(株)NTTドコモの2次代理店としてドコモショップの運営を行っている。



1. 2023年12月期の業績概要

2023年12月期の連結業績は、売上高15,023百万円(前期比22.9%増)、営業利益1,040百万円(同7.7%減)、経常利益1,062百万円(同6.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益445百万円(同51.1%減)となった。重視している定常収入は、7,692百万円(同11.2%増)と順調に拡大した。モバイルネットワーク事業で減損損失(特別損失)を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅減益となった。セグメント別では、流通クラウド事業は、クラウドサービスが順調に拡大したことで定常収入が着実に増加し増収増益となった。官公庁クラウド事業は、2022年7月に子会社化した(株)シナジーの連結開始により大幅増収となったが、償却負担によりセグメント利益は減益となった。トラスト事業は、引き続き新サービスの開発など積極的な開発投資を続けていることから損失を計上した。モバイルネットワーク事業は、M&Aによる店舗の寄与などで増収となったが、NTTドコモからの支援費が減少した影響などにより大幅減益となった。この結果、全体でも営業減益となったが主要因は償却負担増によるもので、計画に対しては26.6%上回った。また償却前営業利益は前期比12.3%増となり、むしろ好決算であったと言えるだろう。主力のクラウドサービス事業が順調に拡大しており定常収入も伸びている点は大いに注目に値する。



2. 2024年12月期の業績見通し

2024年12月期の連結業績は、売上高16,073百万円(前期比7.0%増)、定常収入7,988百万円(同3.8%増)、営業利益1,155百万円(同11.0%増)、経常利益1,162百万円(同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益714百万円(同60.4%増)と予想している。引き続きM&Aや開発投資による償却負担が続くが、これを吸収して増益を目指す。セグメント別では、流通クラウド事業は定常収入の積上げなどにより増収を予想している。一方で、利益については、中大規模顧客向け「@rms基幹」の高速処理化などの開発完了に伴いソフトウェア償却費が増加するため、減益となる予想。官公庁クラウド事業は自治体DX案件を取り込むことで増収を確保し、のれん償却負担増を吸収して増益を見込む。トラスト事業は各種サービスの提供拡大などにより大幅増収を見込むものの、投資継続により通期では損失計上を予想している。但し、下半期からは収支トントンを見込む。モバイルネットワーク事業は、(株)NTTドコモの主要政策(店舗政策や支援費など)が不透明であることから前期並みを見込んでいるが、NTTドコモの政策変更によっては上方修正もあり得るだろう。また今後は、量的な拡大に加えて質的な改善として、サステナビリティだけでなく、資本コストや株価を意識した経営についても積極的に取り組み、「効率的に稼ぐ力の底上げ」、「将来への期待の醸成」の両面から企業価値向上を図る。



3. 中期経営計画

同社は2021年2月に、2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を発表したが、成長スピードの加速により、2021年12月期及び2022年12月期の業績がそれぞれ計画値を上回ったことに加えて、外部環境やM&Aなどの内部環境の変化もあり、2023年2月に中期経営計画を見直した。その見直し後の数値目標を、2025年12月期に売上高170億円、経常利益16.8億円、定常収入95億円、ROE13%以上としたが、現時点でこの目標値に変更はない。経常利益の目標値については開発投資に係る償却費の増加を織り込んだ数値である点は注目に値する。償却負担が軽くなる2026年12月期以降は加速度的な利益向上が見込めると弊社では見ている。



■Key Points

・シェアクラウド、流通業界向けに特化したユニークなITベンダー

・2024年12月期も償却負担続くが、増収により11.0%の営業増益予想

・2025年12月期に経常利益16.8億円を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)