30日の香港市場は、主要76銘柄で構成されるハンセン指数が前日比44.67ポイント(0.24%)高の18595.78ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が32.67ポイント(0.52%)高の6283.71ポイントとそろって5日ぶりに反発した。売買代金は945億4160万香港ドルと低水準が続いている(29日は1104億8330万香港ドル)。





値ごろ感が着目される流れ。ハンセン指数は前日まで急ピッチに下落し、足もとでは約半年ぶりの安値水準に落ち込んでいた。国内景気の先行き不安がくすぶる中、景気持ち直しを支えるため、香港と中国の当局は各種の対策を打ち出す――との見方も支えとなっている。香港では、1人当たり最大2000億香港ドルの電子商品券が配布される予定(7月16日に開始)。中国本土では、地方債の発行が加速する見通しだ。(亜州リサーチ編集部)





ハンセン指数の構成銘柄では、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が3.3%高、不動産管理サービスの碧桂園服務HD(6098/HK)が3.0%高、江蘇省拠点の翰森製薬集団(3692/HK)が2.9%高と上げが目立った。





セクター別では、管理サービスやデベロッパーの中国不動産が高い。上記した碧桂園服務のほか、融創服務HD(1516/HK)が4.1%、世茂服務HD(873/HK)が3.4%、融創中国HD(1918/HK)が15.5%、合景泰富集団HD(1813/HK)が11.9%ずつ上昇した。売り先行したものの、後場途中から急速に買い戻しが入っている。





ゼネコンなどインフラ建設関連もしっかり。中国中鉄(390/HK)が3.5%、中国交通建設(1800/HK)が2.4%、中国鉄建(1186/HK)が2.0%ずつ上昇した。そのほか、電車・自動車部品メーカーの株洲中車時代電気(3898/HK)が6.1%高、鉄道車両最大手の中国中車(1766/HK)が5.2%高と買われている。中国の交通運輸部は29日、今年1〜4月の交通固定資産投資額(実行ベース)が全国で前年同期比13.4%増の概算1兆人民元(約19兆8555億円)に伸びたと報告した。





教育サービスの銘柄群も物色される。新東方在線科技HD(1797/HK)が5.9%高、新東方教育科技集団(9901/HK)が4.1%高、中国教育集団HD(839/HK)が1.9%高、希望教育集団(1765/HK)が1.8%高と値を上げた。習近平・国家主席は29日、質の高い教育制度を構築するよう政府高官に指示したなどと報じられている。





半面、海運・空運セクターは安い。東方海外(316/HK)が5.2%、太平洋航運集団(2343/HK)が5.0%、中国東方航空(670/HK)が2.2%、中国国際航空(753/HK)が1.6%ずつ下落した。





一方、本土市場は3日続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.09%高の3224.21ポイントで取引を終了した。インフラ建設関連株が高い。保険・証券株、不動産株、自動車株、メディア・娯楽株、ハイテク株の一角なども買われた。半面、食品・酒造株は安い。医薬品株、素材株、エネルギー株、公益株、銀行株も売られた。



亜州リサーチ(株)