土湯温泉のエビ(8月6日)10基の水槽に体長2〜10センチほどのエビ約8000匹が元気よく泳ぎ回る。福島市土湯温泉町で温泉熱によるバイナリー発電を手掛ける株式会社「元気アップつちゆ」が、今春から養殖に取り組んでいるオニテナガエビだ。発電で使った温泉水を養殖にも活用している。オニテナガエビは東南アジア原産の大型の淡水エビ。生でも食べられるが、焼いたり素揚げしたりすると、ぷりっとした食感と香ばしさが増し、お酒のつまみに合う。温泉旅館の料理での提供や煎餅などに加工して販売を目指す。養殖事業を広く知ってもらおうと、今月中に計5日間、仮設の釣り堀でエビを釣り、その場で焼いて食べるイベントを初めて催す。観光客向けに温泉街の空き店舗にエビの釣り堀を造る構想もある。「エビを土湯の新たな名物に」。関係者の思いは熱い。土湯温泉の旅館は震災と原発事故の影響で5軒が廃業し11軒に減るなど苦境が続く。だが、ピンチの時こそ斬新なアイデアが生まれる。震災と原発事故がなければ発電事業もエビの養殖も考えつかなかった。フライか天ぷらか、はたまたパスタの具材か。温泉の恵みで育ったエビが旅館で食べられる日が楽しみだ。