双葉郡8町村の将来像をまとめるため、副町村長らによる検討委員会が発足した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復旧・復興、その後に控える人口減など地方共通の課題に対応するためには広域的な視点と連携が欠かせない。郡内にとどまらず多様な枠組みを視野に入れ、議論を進めるべきだ。 被災地では市町村ごとに将来構想や復旧・復興計画をまとめているが、これまでは「自分たちの業務をこなすので精いっぱい」(双葉郡の行政関係者)で、それぞれの構想や計画の突き合わせなどは行っていなかったという。復興庁などが被災12市町村を対象にまとめた将来構想は具体性に欠け「役に立たない」との声が少なくない。 被災から6年余りが経過し、市町村ごとに復旧・復興の進度に差が出始め、改めて地域を見渡してみると、単独市町村では対応が難しい課題も浮き彫りになってきている。医療・福祉の立て直しなどは最たるものだ。当面の措置として事業再開はしたものの、人口減と少子高齢化が進む中で将来的にいかに維持・継続していくのか。関係者の悩みは尽きない。 広域連携は郡単位などで以前から行われてきた。まず、これまでの枠組みで考えてみることに異論はない。ただ、双葉郡は福島第一原発周辺の帰還困難区域によって南北に分断される形になっている。沿岸部の経済圏、生活圏に属していた中山間地域は孤立気味だ。既存の枠組みで課題解決が難しい場合は柔軟な対応が求められるだろう。 飯舘村、浪江町津島、葛尾村、田村市都路、川内村の行政や住民らで構成する「あぶくまロマンチック街道構想推進協議会」という組織がある。阿武隈山地を南北に貫く399号国道沿いの振興に向けて発足し、被災後も活動を続けている。こうした郡市の垣根を越えた広域連携の枠組みは大切にしたい。 例えば、399号国道の改良を進め、将来的に飯舘村から東北中央自動車道にスムーズに接続できるようにする。実現すれば、阿武隈山地への人やモノの流れが大きく変わる可能性がある。沿線自治体で取り組みを進める中で中山間地域の孤立解消が図られ、飯舘、浪江、葛尾の各町村に残る帰還困難区域の再生と復興にも資するのではないか。 甚大な被害を受けた地域を取り戻すのは容易でない。すぐには元に戻せないものもある。固定観念にとらわれずに、可能性を探り、状況に応じて実現の道を模索していくことが重要だ。(早川正也)