川俣町の経営者有志でつくる一般社団法人次世代産業創出構想は町内山木屋地区の畑で、コメのもみ殻を燻(いぶ)し焼いて炭化させた「くん炭」を畑の土に混ぜ込む取り組みをスタートさせた。伝統的な農業の手法で、地力回復と二酸化炭素の発生抑制につなげる狙い。被災地から環境に配慮した安全安心な農業を発信する。

 今回くん炭を混ぜ込んだ畑は約一アール。トマト、ピーマン、ナス、キュウリを実証栽培し生育状況を確認している。土壌の一部には堆肥も入れた。

 土壌に炭を混ぜ込む手法は、一六九七(元禄十)年発刊で日本の代表的農書とされる「農業全書」にも記載されている。土壌の通気性や保水性を確保し病害虫の発生抑制、収穫量安定などの効果があるが、化学肥料の普及と共にあまり使われなくなっていた。

 次世代産業創出構想によると、くん炭を土壌に入れることで脱炭素に大きく貢献する。植物は光合成により大気中の二酸化炭素を吸収するが、枯れたり燃焼したりすると二酸化炭素を排出する。排出前の段階で炭にして土壌内に閉じ込めることで、二酸化炭素排出が抑えられる。くん炭一トンを土壌に入れた場合、二酸化炭素約〇・一五トン分の排出を止められるという。

 次世代産業創出構想は昨年五月、町内で建設業を営む菅野文吉理事長(69)が中心となり設立された。実証栽培は国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた事業の第一弾として実施している。

 山木屋地区は原発事故で避難区域が設定された。二〇一七(平成二十九)年三月末の解除後も住民居住率は五割弱にとどまり、耕作放棄地が増加している。菅野理事長は「将来の子どもたちのために、豊かな古里を残したい」と強調。「山木屋地区から農業復興の姿を全国に広めていく」と語った。