いわき市田人町石住の「綱木クマガイソウ園」を管理する綱木クマガイソウを守る会の平子清子さん(69)=同市遠野町=は、園の存続に向け奮闘している。守る会の中心的存在で、病に倒れた夫忠徳さんに代わって保護活動を続けている。活動資金を捻出するため、間引きしたクマガイソウの苗の販売を本格的に始めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一般公開を中止するなど環境は厳しいが、地域の宝を後世につなごう−と意気込んでいる。


 クマガイソウは、故平子長雄さん宅の裏山に約五万株が群生している。環境省が絶滅危惧種に指定するなど希少価値が高く、盗難が相次いだため長雄さんが保護活動を始めた。二〇一四(平成二十六)年から守る会が活動を引き継いだ。

 忠徳さんは現在も闘病生活が続いている。「お父さんが戻るまで私がしっかり守らなければ」。清子さんら会員は懸命に管理を続けている。

 今年は四月末ごろに開花が始まったが、新型コロナが園の運営に暗い影を落とす。新型コロナの感染が拡大する前は年間約六千人が訪れていた観光名所は、大型連休を迎えても静寂に包まれている。守る会は地域住民に配慮し、昨年に続いて一般公開を中止した。守る会の運営費を補うため、例年は来場者から得ていた三百円の協力金に代わる収入源として、間引きした苗木の販売を本格化させた。現在、宅配による全国への販売を受け付けている。

 綱木地区は高齢化が進み、限界集落になりつつある。清子さんは苗木の販売に「地元でクマガイソウを守る人がいなくなってしまう前に、別の場所で苗木を育ててほしい」との思いを込める。地元の学校に出向き、クマガイソウの歴史や思いを伝える活動も始めた。先日、コロナ禍の現状を知った子どもたちから応援メッセージが届いたという。「とても元気が出た。コロナに負けていられない」と話す。これからも地域の宝を守り続ける。