県は1日、震災と原発事故の避難に伴う民間借り上げ住宅制度を不正利用し、県に賃料などを支払わせたとして、富岡町と大熊町の避難者2人と、大熊町を本社所在地とする飲食事業者に対し、計約472万円を損害賠償請求した。刑事告訴を視野に、事実関係の解明を進めている。県内の借り上げ住宅で不正利用が確認されたのは初めて。
 県が賠償請求した3者は、富岡町から避難する飲食店従業員40代男性(以下、男性A)、大熊町から避難する元飲食店従業員50代男性(同男性B)、飲食事業者。
 不正利用された南相馬市のアパートの一室は震災前から同社が社宅として利用しており、2012(平成24)年4月26日に借り上げ住宅の契約が結ばれた。契約時点では同社に勤務していた男性Bが入居する契約内容だったが、実際には同社従業員の別の男性が入居していた。
 男性Bは1度もアパートに入居することなく、仮設住宅で生活。12年秋に同社を退職した男性Bが今年4月25日、大熊町に借り上げ住宅の新規利用を申請したところ、問題が発覚した。
 県に対し、男性A、Bともに共謀して不正利用したことを認めているが、理由などは明らかになっていない。飲食事業者の代表者は不正利用を知らなかったと説明しているという。
 請求額約472万円は、12年4月26日から契約を解除した今年7月25日までの賃料(1カ月6万円)や仲介手数料などから算出した。県は連帯債務者として飲食事業者も含めた3者に請求。3者とも賠償に応じる姿勢を示しているという。