新ブランド戦略「酒粕牛」 酒どころ...福島ならでは、販売本格化
「酒粕(かす)牛」の実証試験は、県畜産研究所や福島大が2021年度から進めている。牛肉の甘味やうま味の成分を化学的に分析し、酒かすを食べる時期や量によってどんな違いが出るかなどを調べており、本年度は実証の最終年に当たる。
県は昨年11月、県内のスーパーや焼き肉店約20店舗で、実証で肥育した酒粕牛を、期間限定で販売した。数量や期間に限りがあった中でも、肉の香りや食味が好評で各店からの引き合いが強かったという。今年は、期間を限定せず各店に常設するのに加え、新たに旅館の夕食でも提供してもらう。今月中に酒粕牛の特設ページを開設し、販売店舗を掲載する予定。
現在は県内の畜産農家3軒が実証に協力し、全国新酒鑑評会の金賞受賞酒の酒かすを与えるなどして酒粕牛を育てている。この実証の成果をマニュアルに落とし込み、来年度以降の生産拡大につなげる。
県によると、酒かすを餌として牛を育てる取り組みは他県でもあるが、ブランド牛として売り出しているケースはみられないという。酒粕牛の開発には、全国新酒鑑評会の金賞受賞数「9回連続日本一」のブランドを確立している県産の日本酒と、福島牛を組み合わせることで付加価値を高め、ストーリー性をもってブランド力を高めていく狙いがある。ただ、新たなブランドとして定着させるのにおいしさは必須で、生産を広げるには農家が採算を確保できるかも重要になる。