今月11日から、日本で初めて赤ちゃん用「液体ミルク」の店頭販売がスタートした。

この日からお店に並んだ江崎グリコの「アイクレオ」は、125mlで200円(税別)と粉ミルクよりはやや高価だが、ストローで哺乳瓶に移せば常温のまま飲ませられることや、無菌状態で6か月保存できることなど、様々なメリットがあるとされている。

乳児用の液体ミルクは、欧米では広く普及していたが、日本ははっきりした規格がないため流通していなかった。

それが熊本地震の際に、災害時の備蓄として大きな注目を集め、去年8月の法改正によって国産の販売が可能になった。

パッケージの「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養」が物議

液体ミルクの販売を喜ぶ人がいる一方、Twitterではパッケージに書かれたある文言に疑問の声があがっている。

それは「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です。」という一文。

あるTwitterユーザーが、この表現に対して、

「『母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です』って文章…要る?私が母乳出なくてミルク買う人だったらなんか嫌だな」

と投稿したところ共感の声などが多数寄せられた。

・母乳が出なくなった私には辛い言葉

・嫌味みたいで腹が立ちますよね

・何年たっても、やはり子供には悪いと思う(母乳だけで育てられなくて)

そして、食品の表示を定める消費者庁は「液体ミルク」に関するリーフレットを公開しているが、そこにも「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です。」と書かれている。

リーフレットの一部  出典:消費者庁

この表記はすべてのお母さんにとっては“最良”ではないのかもしれない。

いったいなぜ液体ミルクにこのような一文を載せているのか?

消費者庁の担当者に聞いてみた。

粉ミルクにも書かれています

――「赤ちゃんにとって母乳が最良である」旨の記載があるのはなぜ?

乳児用の液体ミルクは、母乳が不足した場合などに、母乳の代替品として使用することができるものです。

そのような母乳代替食品は、「粉ミルク」も「液体ミルク」も「母乳が赤ちゃんにとって最良である」旨を記載するという国際規格がございまして、国内でも準拠しております。

実は、液体ミルクだけではなく、以前から販売されている粉ミルクでも「母乳は赤ちゃんにとって最良」という表記が使われていて、消費者庁の公式サイトで公開されている。

同様の記載がある粉ミルク(一部) 出典:消費者庁

――いつ国際的が決まって、いつ日本で記載が始まった?

国際的な基準が決まったのは1981年で、国内では1982年に導入されました。

1981年に世界保健機関(WHO) は、母乳代替品の宣伝が行き過ぎないよう、「母乳代替品のマーケティングに関する国際基準」を発表した。そこには「母乳育児の利点を説明しなければならない」「製品表示には人工栄養法を理想化する言葉などを使用してはならない」などの基準がまとめられている。

――国際規約ということは、加盟国のすべての商品にも同じような一文が書かれている?

規約に準拠しない国があるかもしれませんので、すべてとは言えません。

――「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養」という文に批判的な声が上がっているのは知っている?

はい。

そういったご意見が上がっていることは承知しています。

――液体ミルク発売前、粉ミルクの時代に批判的な声はあった?

当庁では、そのような内容は承知しておりません。

今後改訂されることはある?

――今回の液体ミルクに対する批判な声をどうとらえている?

当庁では「乳児用液体ミルクってなに?」というリーフレットをご用意して、正しい認識・用法の啓発を行っております。

液体ミルクは、医師や管理栄養士と相談して使用することが適切ですので、何かご不明な点があれば専門家にもご相談していただいたうえでお使い頂きたいと考えています。

出典:消費者庁

―― 批判を受けている一文は、今後改訂されることはある?

現段階ではなんとも分かりません。

液体ミルクのパッケージに書かれた「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です」という表記は、実は粉ミルクにもあったが、消費者庁の担当者によると批判的な声はなかったそうだ。

ちなみに今後発売予定の明治の液体ミルクにも「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です。」という一文が表示されるという。