SNS効果で選挙圧勝!注目の山田太郎参院議員とは

先日、人気アイドルグループ・嵐の二宮和也さん結婚のニュースが大きな注目を集めたばかりだが、その二宮さんがかつて主演した青春ドラマ「山田太郎ものがたり」の主人公と同姓同名の国会議員が今、政界で密かに存在感を放っている。

それがトレードマークの蝶ネクタイと、SNSを駆使した異色の選挙戦で話題となっている自民党の山田太郎参議院議員だ。

(当選証書の授与・7月26日)

山田氏はこの夏の参議院選挙で、全国比例区に自民党から出馬し、周囲の予想を大きく上回る約54万票を獲得し自民党の2位で当選した。彼は以前には、野党みんなの党から参院選に出馬し、落選したものの後に繰り上げ当選していて、今回は自民党に鞍替えしての2回目の当選となった。

山田氏は野党時代から、漫画やアニメの表現の自由を守ることを主張し、いわゆる「アキバ系」の層などを中心に人気を誇っていたのだが、この参院選でのSNSを駆使した選挙戦による大量得票が与野党の国会議員から注目を浴びているのだ。

複数の自民党議員が「これからのために山田さんの選挙の仕方は勉強しないといけない」とこぼし、ある派閥は山田氏を招いて「ネット選挙についての勉強会」を開催した。そこで今回FNNは山田氏に単独インタビューし、与党への鞍替えの理由と自民党の印象、さらに、SNS選挙の秘策について語ってもらった。

4党が競合!?目玉候補だった山田氏はなぜ自民党を選んだのか

山田氏は、インタビューの中で、野党から一転、自民党から出馬した背景について、次のように述べた。

「実は自民党を入れて4党から声をかけていただいた。他党と自民党で何が違ったかというと、ぜひ自民党に『協力』してほしいということだった」

「自民党もこれまでネット広報をいろいろ手間かけてやってきたんだけど、正直うまくいきませんでしたと言ったんですよね。そんな中で、票数以上に次の世代の人たちに対するアプローチをする、そういう候補としてぜひお願いしたいっていうのは他党と違いました」

つまり自民党が、ネット広報が苦手だと正直に認めた上で、ネット展開や若年層へのアプローチについての「協力」を求めてきたことが、大きかったのだという。

一方で、やはり「自民党が与党だから」ということが大きかっただけではないのかと質すと、「政策実現のためにはもちろんだ」と、それも大きな理由であることをはっきり認めた。

「自民党に媚びなくていい」「自民党は損をしている」と語るワケ

山田氏は、その上でこんなエピソードも披露してくれた。

「実は甘利(当時・選対委員長)さんとも面談があったんですが、『別に自民党に媚びる必要もないし何でも自民党がいいって言ってもらう必要はない。若者やそういう次の新しい有権者に根ざして、その味方であって貰っていい』と言われたんです。当時甘利さんは知的財産本部長でもあったので、海賊版については徹底的に叩くということで進められていたことを、私はそれだと萎縮効果も激しいということで反対していましたんで、そんな候補を取ってくれないだろうと思っていたから。すごく意外でした(笑)」

そう話す彼に、自民党の中に入ったことで、野党時代に外から見ていた自民党と違いを感じるか聞いてみると、次のように述べた。

「自民党はもっと硬くて、頭でっかちで古くて苦労するかと思ってたんです。一番大きい違いは自民党の部会が結構真面目に議論してるんですよ。自民党が損しているとすると、部会が見えないということですよね。残念ながら国会の論戦は、すでに決まったことをやるしかないから迫力を持って言えないし、自由じゃないですよ。だけど部会ってやっぱり全会一致が原則でやっているからもう徹底的だし、1人でも反対がいれば一生懸命説得してるのを目の前で見ていますよ」

自民党内の部会での議論について評価した一方、その議論内容についての発信不足を指摘した形だ。発信不足の中でも特に顕著なのが「若者へのアプローチ」だ。筆者も27歳。周囲に政治に興味がある人が少ない現実をひしひしと感じている。若者はどうして政治に興味を持てないのか?自民党の若者への訴求力について聞くと「若者の不安を解消できていない」と解説した。

若者にどのようにアプローチすべき?ネット選挙の成功例は山本太郎氏

「若者に訴えるっていうと大事な一つは将来不安の解消ですよ。今回若者の不安は何かっていうと、やっぱり年金問題なんかは極めて不安なんですね。正直ベースでいうと、ほぼ100%近いぐらいの若い人に将来の年金の話をすると、年金はもらえないと思ってるんですよ。少なくとも年金じゃとても生活はできないと。自分たちが高齢者になったときの不安感って半端ない。というのも『人生100年時代』と言われちゃってるから。65歳で引退して35年間無給で生きていけるのかと」

自民党はまだまだ若者の受け皿になるような発信ができていないという。ネット選挙時代となった今、「受け皿」の成功例として引き合いに出したのはれいわ新選組の山本太郎代表だった。

「例えば山本太郎さんだったら受け皿は反安倍なんですよ。そこをわかりやすくストレートに山本太郎さんは持っていった」

そう分析したうえで、「自民党っていう訴求力は意味がない」とぶった切った。

「看板の訴求力というのは何も意味がなくて、政策を含めた受け皿をいくつちゃんと用意してあげられるか、その受け皿に集まってくると思う。よく若者は選挙に行かないからって広報戦略をやって、選挙管理委員会も若者に選挙に行こうってコマーシャルをして若い人を出してやっているけれど、それはあまり意味がない」

効果的なネット選挙戦の前提は「看板」ではなく「政策」

そして、真に必要なのは訴求するための「政策」だと語る。

「自民党だからとか、立憲だからっていうような、無根拠に政党を応援するっていうのは政治的運動会だと思っているんですよ。つまり『赤組勝て、白組勝て』の世界で、そんなのは古い。そうじゃなくて自民党は何を目指すのか。そこにもし若者政策がなかったら、どんなに頑張ったって無理ですよ。ネットっていう手法を取れば若い人がついてくると思ったら、それは違う。もっと自民党が若者政策をちゃんとやるべきです、高齢者の政策をとってもいいけれど、少なくとも若者が持っている潜在的な不安を解決する政策を丁寧にやる。それを選挙に向けてぶつけていく、つまりそれを発信するというだけです。そこでどれだけその受け皿を見えるように作るか。そこで初めて、SNSなどいろんな選挙手法が効いてくる」

キーワードは「共感」=“エモ”時代の選挙の新たな形

具体的にはどうすべきなのか?そう聞くと、逆説的にも聞こえるかもしれないが「自分が発信しないこと」と断言した。その真意は「共感」を呼ぶことにあるという。

「勘違いしているのは、自民党のインフルエンサーっていう考え方はもう古いんですよ。10万フォロワーの同じ趣味で繋がってる人たちに、その同じ趣味を伝えるのには力ありますよ?でもその人に政治の話をしてもらったところでしらけちゃうわけですよ。だったら300のフォローしかない人の「同志」が繋がっていった方が深く広がるんです」

山田氏はそう語り、「同志の共感」を呼ぶ選挙こそ未来の選挙のあり方だと示唆した。

「自分が発信したら負けるんですよ。山本太郎さんはTwitterで100本出してないんですよ。理由は、政治家が直接出したメッセージは受け取れない。『お前票が欲しいんだろ』ってなるから。だから第三者に書いてもらわなきゃダメなんです。山本太郎さんを見てもらえばわかると思うんですけれど、彼の主張ははるかに人が撮ったものが多い。それは伝わるんですよ。それはなぜかって言うと、「エモ時代」って言ってエモーショナルな「共感」が大事なんです。共感してもらわない限り拡散は絶対しないんです」

トレードマークは蝶ネクタイ。まるで名探偵コナン!どうして始めたの?

最後に、ずっと不思議だった「なぜ蝶ネクタイ姿なのか?」と聞くと、山田氏はほんの遊び心だったことを明かした。

(参院予算委員会・2016年)

「2016年の1月にはしてたかな?国会の質疑があったときに初めてやったんですよ。きっかけは当時の松田公太参議院議員に『山田さんは名前は派手だけど、見た目がちょっと地味。蝶ネクタイでもしたらいいんじゃない?』と言われて。やってみたら閣僚の方たちみんな笑いだしてですね、話題になっちゃって…やめられなくなっちゃっただけなんです」とおどけてみせたのだった。

自民党ではまだ当選1回の山田氏。約54万票を獲得した彼に党内の注目は集まっている。歯に衣着せぬ物言いで様々な「提言」をした山田太郎氏。今後彼は “実際に” 自民党の中でどんな変革をもたらしていくだろうか。

(フジテレビ政治部 与党担当 杉山和希)