「こたつから落ちた」から12年 義理の父親を逮捕

12年前の2006年12月30日、新宿区のマンションの一室から生後11か月の女の赤ちゃんが救急搬送された。赤ちゃんは頭にケガをし、意識不明の重体で、およそ2か月後の2007年3月9日、搬送先の病院で亡くなった。

赤ちゃんの名前は桜井亜衣ちゃん。

亜衣ちゃんはこのマンションで母親と、母親の結婚相手である義理の父親と暮らしていた。

搬送時、亜衣ちゃんはこの義理の父親と2人きりで、義理の父親は救急隊員らに「娘がこたつの上から落ちた」と説明していた。

12年後に逮捕された堀田伸輔容疑者(42)

12年の時が経ち、きのう、この義理の父親である堀田伸輔容疑者(42)が亜衣ちゃんを暴行し死亡させた傷害致死の容疑で警視庁捜査一課に逮捕された。

暴行を受けた亜衣ちゃんは頭の骨が折れ、硬膜下血腫などに基づく気管支肺炎で死亡していた。

108の未解決事件を担当 警視庁の特命チーム

平成21年に「特命捜査対策室」を設置

この事件の捜査は、捜査一課内に設置されている「特命捜査対策室」が担当した。

特命捜査対策室とは、いわゆる「コールドケース」と呼ばれる殺人などの長期未解決事件(世田谷一家殺人事件など)や、今回のような事件性が疑われつつも捜査が難航した事案を、科学捜査技術や最新の鑑定技術を用いて解決に向け捜査する部署で、警視庁捜査一課には平成21年に設置された。

現在、55人態勢で、108の未解決事件を担当している。

当初から事件性が拭いきれなかったこの事件。堀田容疑者自身も過去に2度、事情を聴かれていた。しかし、その際にも堀田容疑者は「こたつから落ちた」と説明を繰り返し、虐待死の確証が得らぬまま時が過ぎていった。

今年3月、捜査一課特命捜査対策室が再捜査を始める。

司法解剖の資料などを再び吟味し、複数の専門家からは「単純な転落による傷ではない」との証言を得た。

ストレスを受け続けると萎縮する胸腺 あぶり出した「虐待」

児童虐待による傷について近年、医学的な知見が蓄積されたことも逮捕の要因のひとつだ。

免疫機能に関わる「胸腺」という器官があるが、亜衣ちゃんの胸腺は萎縮していたという。日常的に強いストレスを受け続けると萎縮するといい、虐待を示すひとつの指標になっている。

ことし3月、東京・目黒区で両親から虐待を受け死亡した5歳の船戸結愛ちゃんも、同年代の子どもと比べ胸腺が5分の1程度に萎縮していた。

こうした最新の研究の成果や捜査員の懸命の努力が12年前の無残な虐待死をあぶり出したのだった。

9日送検された堀田容疑者

調べに対し、堀田容疑者は「自分がやったことに間違いない。罪を償いたいと思います。」などと容疑を認める供述をしている。

12年前のあの日、ふたりきりのあの部屋で何があったのか。

真実を話すことだけが、父親として、せめてもの罪滅ぼしになるのではないか。

(執筆:フジテレビ社会部警視庁担当 金子聡太郎)