シーズン途中の5月、GKク・ソンユンが札幌から大邱FCへ完全移籍

 韓国代表GKク・ソンユンが、5月29日にJ1北海道コンサドーレ札幌から韓国・Kリーグの大邱FCへ完全移籍した。その背景には兵役義務以外の譲れない理由もあったようだ。ク・ソンユンは「僕の優先順位が金銭なら、Kリーグ復帰はナンセンスだった」と明かしてる。韓国紙「ジュンアン・イルボ」の英語版「コリア・ジュンアン・デイリー」が伝えた。

 25歳のク・ソンユンは2012年にセレッソ大阪U-18に加入すると、同年には2種登録選手としてトップチームに登録。翌13年から正式に加入し、14年まで在籍したが出場機会は訪れなかった。転機は15年の札幌移籍だ。同年のJ2リーグ開幕戦栃木SC戦で念願のJリーグデビューを飾ると、33試合に出場。以降も正守護神に君臨し、数々のスーパープレーを披露してきた。

 2月22日のJ1リーグ開幕節・柏レイソル戦(2-4)でも先発フル出場していたク・ソンユン。開幕前には契約更新も発表されていたが、5月29日に突如、大邱FCへの完全移籍が発表された。

 韓国人GKは札幌の公式サイトを通じて、「今シーズン、頑張って皆さんと一緒に戦って、チームの目標であるACLやリーグタイトルを目指して頑張りたかったのですが、自分には国の義務があります。早く戻ってきたいという思いがあり、予定より早く帰国することに決めました」とコメントしていた。

 母国の兵役義務が影響している点に触れつつ、「自分の人生が180度変わるくらい、いろんなことがありました。この6年間は忘れません。ありがとうございました」と感謝の言葉を残している。

「21年まで帰国を待つことができたが…」 新型コロナとおばあちゃんの存在が影響

 そんな韓国代表GKを特集したのが「コリア・ジュンアン・デイリー」だ。「ク・ソンユン、Jリーグで成功も韓国に復帰」と見出しを立て、復帰した理由について自ら語っている。

 記事では「ゴールキーパーのク・ソンユンは今シーズン、日本サッカーでの成功を脇に置き、Kリーグで新しいキャリアをスタートさせた」と言及。韓国から日本に渡り、サッカー選手として着実にキャリアを築いていた。「昨シーズンまで、Jリーグでも注目のゴールキーパーだった。札幌でプレーし、毎シーズン、スーパーセーブを見せて注目を集め、クラブの順位上昇を支えた」と紹介している。

 母国復帰を決めた理由の一つは兵役義務だ。記事でも「復帰を決めた大きな理由は、韓国の兵役義務があるからだろう。尚州尚武の軍隊サッカーチームに加入するには、27歳になる前にKリーグに登録しなければならない」と置かれた立場を説明している。その一方、「2021年まで帰国を待つことができたが、今年の途中に韓国へ帰国したのは新型コロナウイルスのため」と指摘。ク・ソンユンは自分の言葉で背景を明かしている。

「コロナウイルスが流行し、そのニュースを聞くたびに、僕を育ててくれたおばあちゃんのことが本当に心配だった。彼女は古い家に1人で住んでいて、彼女が病気になる可能性を考えると、サッカーに集中できなかった。一刻も早く韓国に帰らなければならなかった」

 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、母国に住む祖母が心配だったというク・ソンユン。「僕の優先順位が金銭なら、Kリーグ復帰はナンセンスだった」と語り、次のように続けている。

母国復帰後の新たな目標は東京五輪 「その旅路が終わってしまった」

「おばあちゃんの近くにいて、大邱のような素晴らしいチームに出会えただけでも幸せ。今まで貯めたお金で、母のために神戸でレストランを開いた。まだ若いので、もっとお金を稼ぐことができると思う」

 母国クラブへの復帰が決まったなか、ク・ソンユンが新たな目標としているのはオーバーエイジ枠での東京五輪出場だ。「2016年のリオ五輪に出場したが、準々決勝でその旅路が終わってしまった」と振り返る。U-23韓国代表は準々決勝でホンジュラスに0-1と敗れ、メダル獲得を逃した。志半ばで潰えたメダル獲得への思いは、今も消えていないという。

「代表チームでも所属クラブでも、全力を尽くす準備はできている」

 大きな決断を下し、前を向くク・ソンユン。東京五輪で、その勇姿が再び見られるだろうか。

Football ZONE web編集部