広島MFハイネルのスライディングによるPK献上シーンには出演者も困惑

 スポーツチャンネル「DAZN」で毎週配信される『Jリーグジャッジリプレイ』も今シーズンの第13回を迎えた。今回取り上げたシーンの中には、識者を含め、出演者全員を悩ませるシーンがあった。

 該当シーンはJ1第10節、浦和レッズ対サンフレッチェ広島の序盤に生まれている。前半4分、浦和FWレオナルドが出したスルーパスに抜け出したMF汰木康也に対し、広島MFハイネルがペナルティーエリア内でやや後方からスライディングタックルを試みた。汰木は倒れ、飯田淳平主審は浦和にPKを与えたが、ハイネルにはノーカードの判定。このタックル、角度によって接触していないようにも見え、今回の番組でも取り上げられることになった。

 最初に意見を求められた平畠啓史氏は困惑気味に「分からないです」と回答。Jリーグ副理事長の原博実氏も「難しいね」と答えに困る様子だった。実際、映像で何度確認しても、「接触しているかどうか」がハッキリとは分からないシーンとなっている。

 事象が起こった場所はペナルティーエリア内の左寄りで、ピッチの内側から見ると、汰木の足元をハイネルがスライディングで隠す形になっており、主審の位置からは見えづらい位置にあった。では、主審はどのようにして判定を下したのか。

主審が注視したのは「ステップのリズム」と「足の着き方」と識者は推測

 今回、主審がファウルを見極めたポイントとして、JFA審判インストラクターの小幡真一郎氏は二つのポイントを挙げた。まずは選手のステップのリズム、そして、ファウルを受けた選手の“足の着き方”だ。ハイネルのスライディングの際、汰木の走るリズムが変わっていて、その後見えた汰木の右足首が、倒れる際に内側から着地していることを指摘。この2点から、2人が接触していて、その影響があったのではないかと考えたようだ。

 このシーンでは「接触した」と断定できるものがなく、確認できた数少ない事実から判定が下された。今季採用を見送られたビデオアシスタントレフェリー(VAR)があったとしても「ハッキリとした間違い」は映像でも確認できないため、レフェリーの判断が尊重され、ファウルの判定は変わらないだろうと小幡氏は続けている。

 ただ、「決定機阻止(DOGSO)」かつボールにチャレンジしたプレーであったことから、ファウルとするならばハイネルには退場から一段下がって警告が与えられるべきだったと小幡氏は指摘。主審が見逃したと思われる部分にも言及した。

 今回のシーンのように、明確には見極めにくい事象もサッカーには存在する。レフェリーはその都度、得られる情報を可能な限り集めて判断しなければならない。今回であれば、“ステップのリズム”と“足の着き方”。実際にどのような視点から情報を集めているのかを知ることは、観戦時に判定への理解を深めることにもつながるはずだ。

Football ZONE web編集部