ルールの浸透に課題のあるハンドの判定基準にフォーカス

 ジャッジについて議論する際、話題に挙がりやすいのがハンドの判定基準だ。今回で15回目の配信となるスポーツチャンネル「DAZN」の『Jリーグジャッジリプレイ』では、二つの場面におけるハンドの判定基準に焦点を当てている。

 一つ目は「故意ではない」とされるハンドのシーンだ。J1第13節ガンバ大阪対FC東京の後半27分、ペナルティーエリア内右に抜け出したFC東京MFアダイウトンが中へクロスを上げる。これがスライディングでディフェンスに入ったガンバ大阪DFキム・ヨングォンの左手に当たり、松尾一主審はハンドの反則でFC東京にPKを与えた。

 この場面はG大阪の選手から猛抗議があったが、判定は覆っていない。中継でも聞こえていた選手たちの主張は「故意に動かしていない」、「ボールとの距離が近く、故意には触れられない」というものだったが、番組ではこの主張に対して「選手が理解を高めないといけない」とルールの理解が浸透していないことが指摘された。

 FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子氏は、故意かどうかに関係なく、「腕が肩以上の位置にあって当たってしまった場合」はハンドの反則になると語っている。映像で確認すると、キム・ヨングォンの両手はスライディングの際に肩より上の位置にあった。また、距離に関してはスライディングでボールに反応している点から、予測ができる範囲だとし、深野氏は結果として主審の判定を支持している。

 番組内では、キム・ヨングォンの腕はボール方向に動いておらず、その動きはいたって自然なのではないかとの意見もあった。しかし、ルールとして腕の位置が基準になる以上、「普段から選手側がそれを意識して取り組んでいかなければならないのではないか」と、Jリーグ副理事長の原博実氏が総括する流れとなった。

故意かどうかが判定基準になる場合のレフェリーの視点とは

 続いて取り上げられたのは「故意」と捉えられたハンドの場面だ。この事象が起こったのはJ1第13節北海道コンサドーレ札幌対名古屋グランパスの後半アディショナルタイム。札幌が相手ゴール前へ送ったクロスが跳ね返り、ペナルティーエリアぎりぎりのゴールライン付近で札幌MFルーカス・フェルナンデスと名古屋FW相馬勇紀が競り合う。体を入れようとした相馬の右手がボールに当たったところで、西村雄一主審がハンドの反則を取り、札幌にPKを与えた。

 この場面では、相馬の腕は肩より上には上がっていないため、「故意にハンドしたのか」が焦点となる。深野氏は判断する一つの基準として、ボールと選手の腕や手、どちらが迎えに行ったかが重要になると指摘。今回のシーンでは映像で、ボールに対して腕が向かっていった、つまりボール方向に腕を動かしているということが確認できる。深野氏は、この点から「故意にハンドをした」という判定になったと説明し、判定の妥当性を主張した。

 異なる二つのシーンから分かるとおり、ハンドには様々な判定基準があり、適用の考え方も学ぶところが多い。一方、選手であっても基準を明確に理解できていない面もあるだけに、視聴者側も含めてまだまだ理解を深める余地はあるだろう。サッカーを正しい理解とともに楽しむためにも、引き続き『Jリーグジャッジリプレイ』での議論は注視したいところだ。

Football ZONE web編集部