トップレフェリーマネージャーの扇谷氏が新ルールでの判定を説明、ハンドにおける“直後”に注目

 今季のJリーグはコロナ禍という異例の環境下で開催されているが、先日報道陣向けに行われた日本サッカー協会(JFA)による第3回『JFAレフェリーブリーフィング』では、現在のレフェリングの状況について多くの意見が交わされた。

 そのなかで、JFA側とスポーツチャンネル「DAZN」が毎週配信している番組『Jリーグジャッジリプレイ』とで、判定への見解が異なるところがあった。ゴール前、オフェンス側の「ハンドの反則」についての部分だ。

 新ルール適用により、“偶発的”であってもオフェンス側の手や腕に当たった“直後”に得点、または“得点の機会”となった場合には、ハンドの反則になることが定められている。この“直後”の解釈で、結論に違いが出ることとなった。

 例として挙げられたのは、J1第11節、横浜FC対鹿島アントラーズの前半25分のシーンだ。左サイドからボックス内でボールを受けた横浜FCのDF袴田裕太郎が、中央のFW一美和成に折り返す。少しバウンドしたボールは、一美が背負った後ろの鹿島DFの足に当たったあと、一美の左腕に当たってこぼれている。そのボールにMF松尾佑介が触り、最後は詰めていたFW皆川佑介がゴールに蹴り込んだ。

 JFA側の見解は、トップレフェリーマネージャーを務める扇谷健司氏から説明された。扇谷氏は、競技規則上に(明確な数字の)記載はないが、ゴール前で起こったことや、「約4秒間の間に5メートルほど」と短い時間で短い距離の中でゴールに入っていることから“直後”と判断し、この場面は「ハンドとするべきだ」としている。

 一方、『Jリーグジャッジリプレイ』の番組内では、東京都サッカー協会審判委員長を務める牧野明久氏がこのシーンについて考察。一美の腕との接触から2プレー後にゴールが生まれていることから“直後”ではないと解釈し、主審のゴール判定を支持する結果となっている。ただ、番組の最後では「主審によってもちょっとグレーゾーン」な部分だと、解釈に違いが出るとも語っており、判断が難しい場面だったと明かしていた。

「いろいろな見解が述べられるのは、世界のサッカーで起こっている」

 会見の最後では、異なる見解が出たことでの視聴者への良くない影響を懸念する声も上がった。この意見に対して扇谷氏は、「(判定について)いろいろな見解が述べられるのは、日本だけではなく世界のサッカーで起こっています。こういう方向のほうが好ましいというのを、我々(JFA)はここで伝えさせていただいています」と答えている。この点を考えても、ハンドの新ルール改正はレフェリーにとっても難しいものだということが伝わってきた。このあたりは、視聴者側も今後の試合を通して理解していく必要がありそうだ。

 今回はハンドの反則について、限定的な“直後”という場面を取り上げた。しかし、新ルールの改正はそれだけではない。「オフサイド」や「アドバンテージの適応」にもいくつかの変更があった。Jリーグ再開後、しばらくは視聴者だけではなくクラブや選手にも混乱が見られた場面がある。さらには、今季Jリーグが掲げる「コンタクトプレー」への対応も、レフェリーにとって決して簡単なものではないだろう。試合を観る視聴者が理解を深めるためにも、今後より多くの情報発信がJFAには求められていくはずだ。

Football ZONE web編集部