【スペイン発コラム】“保有元”レアル戦に後半44分から出場、エメリ監督は会見で苛立ち

 ビジャレアルは現地時間21日にホームで行われたリーガ・エスパニョーラ第10節で、昨季王者レアル・マドリードと1-1で引き分けた。自身の“保有元”クラブとの対戦になった日本代表MF久保建英は、公式戦2試合連続、リーガでは3試合連続でベンチスタートとなった。

 ビジャレアルでは久保のほかに、FWジェラール・モレノ(スペイン代表)、DFパウ・トーレス(スペイン代表)、DFペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)、MFサムエル・チュクウェゼ(ナイジェリア代表)の計5選手が各国代表に招集され、約2週間チーム練習に参加できなかった。そのような状況下で迎えた代表ウィーク明けの大一番、ウナイ・エメリ監督は3-1の快勝を収めた前節ヘタフェ戦の先発メンバーから、試合前日に負傷したエースのFWパコ・アルカセルをFWカルロス・バッカに代えただけだった。それ以外の10選手はすべて同じで、久保は再び控えとなった。

 試合はDFセルヒオ・ラモス、FWカリム・ベンゼマ、MFカゼミーロなど7選手が欠場したレアルが、前半2分にFWマリアーノ・ディアスのダイビングヘッドで先制する。その後はビジャレアルがより多くのチャンスを作ってシュート数で大きく上回り、後半31分にチュクウェゼがGKティボー・クルトワに倒されて獲得したPKを、G・モレノが決めて同点に追いついた。

 久保に出場機会が訪れたのは後半44分。保有元であるレアルとの対戦は3回目だった。マジョルカ時代の昨季、ホームで行われた第9節は後半途中から出場してチームは1-0で勝利。一方、アウェーの第31節は先発出場して高い評価を受けたが、0-2で敗れている。

 久保はMFモイ・ゴメスに代わってピッチに入り左ウイングでプレーすると、約4分間のわずかな出場時間のなか、G・モレノのパスをペナルティーエリア内左サイドで受け、クルトワとの1対1のチャンスを迎え、さらに得意のドリブルで相手MFトニ・クロースのイエローカードを誘発するなど存在感を発揮した。

 エメリは試合後の記者会見で、残り時間が僅かとなったなかでの久保の起用法に疑問を持った記者から、「レアル・マドリードのプレッシャーがあり起用したのか?」と忖度があったかを問われると、「質問が理解できない」と返答。再度「レアル・マドリードからの期限付き選手だから起用したのか?」と質問され、「クボは今シーズン、ビジャレアルと契約を結んでいる選手だ。私は自分たちの利益のために彼を起用しており、彼にとても満足している。私はビジャレアルや自分たちのことを考え、レアル・マドリードのことは考えていない。そのため、その質問は理解できない」と苛立ちを見せながら否定した。

レアル戦実況担当のアベラストゥリ氏「将来性豊かな選手だ」

 あと一歩で逆転という大きなチャンスを得た久保だったが、出場時間が短かったためスペイン各紙の評価対象にはほとんどならなかった。スペイン紙「AS」は「後半44分にモイ・ゴメスとの交代でピッチに入り、短時間ながらもクロースのイエローカードを引き出し、クルトワとの1対1を迎えたが、クルトワが素晴らしかった」、ビジャレアルの地元紙「エル・ペリオディコ・メディテラーネオ」も「2-1にする決定的チャンスがあった」と寸評したが、ともに採点なしとした。一方、スペイン紙「マルカ」は久保にラストチャンスがあったことを伝え、1点(最高3点)をつけている。

 試合後、スペインのラジオ局「RNE(スペイン国営ラジオ)」でレアル・マドリードとスペイン代表の試合実況を担当するアントニオ・ムエラス・ロペス・デ・アベラストゥリ氏は、久保の印象について次のように語っている。

「私はクボをとてもいい選手だと感じているよ。他の選手とは違うものを持っているし、スピードや爆発力を備えているからね。彼にはサッカーで重要なことを成し遂げるために必要なものが備わっている」と、サッカー選手としての能力の高さを評価した。

「今日は試合終盤に決定機があった。クボは試合に大きな刺激を与えることができ、将来性豊かな選手だ。彼に必要なのは出場時間だと思う。ビジャレアルにとって、この期限付き移籍がどれだけ良いものなのか私には分からない。なぜなら、あまり目立った活躍ができていないからね。もちろん、他のクラブだったらもっと多くの試合に出場できているだろう。しかし、もし出場時間を得ることができなければ、レアル・マドリードを説得することはとても難しいと思う」と見解を示した。

 さらにレアル・マドリード復帰に向けて重要なものとして、「とにかく出場時間だ! 出場時間を得て主役級の役割を演じなければいけない」と繰り返し主張した。すなわちこれは、久保が近年、前人未到のUEFAチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げているクラブに戻るために、ベテラン揃いの好調なビジャレアルでレギュラーの座を獲得するだけでなく、さらに中心選手にならなければならないことを意味している。

 ビジャレアルはバルセロナ戦に0-4と惨敗した後、エメリ監督がシステムを4-3-3に変更してメンバーを固定し、リーガ7試合を4勝3分と無敗をキープし好調であるため、現在、久保はレギュラーの座を勝ち取るのが非常に厳しい状況にある。

ELでハイパフォーマンスを維持し、チャンスを手にできるか

 実際、久保は今季のリーガ10試合(先発1試合)でわずか172分間の出場、0得点0アシストと出番に苦しんでいる。一方、UEFAヨーロッパリーグ(EL)では全3試合に先発して254分間出場、1得点3アシストと申し分ない結果を残している。

 リーガでスタメン入りするためには、まずELでこれまで同様のハイパフォーマンスを維持する必要があるだろう。そして、今後訪れるリーガでのチャンスを逃さず、一つひとつ確実にものにしていかなければならない。

 リーグ開幕から10試合を戦い5勝4分1敗で勝ち点19を獲得し、暫定3位につけるビジャレアル。この後、26日にアウェーで行われるELグループステージ第4節でマッカビ・テルアビブ(イスラエル)と対戦する。さらにその3日後の29日、首位レアル・ソシエダとの難しいアウェーゲームを控えている。

Football ZONE web編集部