2020年12月 Jリーグ月間ベストディフェンシブプレーヤー by 栗原勇蔵 谷口彰悟(川崎)

 今季は川崎フロンターレが圧倒的な強さを見せて、史上最速優勝を飾った。そんな川崎を支えたのが、今季からキャプテンマークを巻くDF谷口彰悟だ。Jリーグを全試合配信している「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」の企画で、元日本代表DF栗原勇蔵氏は12月の「月間ベストディフェンシブプレーヤー」に谷口を選出した。

 今季の川崎は序盤から首位を快走し、最終的には2位ガンバ大阪に勝ち点18もの差をつけて史上最速優勝を達成。得点数はリーグ最多、失点数はリーグ2位の少なさと攻守両面で圧倒的なパフォーマンスを披露し、Jリーグ年間ベストイレブンにも史上最多となる9選手を輩出した。そうしたなか、J1リーグ通算316試合出場を誇る栗原氏は、最終月となる12月の「月間ベストディフェンシブプレーヤー」を選出するにあたり、シーズンを通してチームを支えた主将・谷口の名を挙げた。

「正直言うと、今月のみで言えば他に有力候補がいたかもしれない。でも、シーズンの締め括りとなる月間ベストディフェンシブプレーヤーに、やはり谷口は外せない」

 2014年にデビューして以降、7シーズン連続でリーグ戦30試合以上に出場。その安定感こそが谷口の特徴だと、栗原氏は主張する。

「川崎は、シーズンごとに最終ラインの顔ぶれが結構変わる。そのなかで谷口は毎年のように主力に定着している。大きな怪我もしないので、監督からしたらそこの心配がないだけでも全然違う。その安定感も一つのセンスであり、才能。 何年も続けて怪我なく安定して30試合以上に出場し、今季圧倒的な強さを見せたチームをキャプテンとして舵取りしたわけだから、実際に彼以上のMVPはいない」

 一方、谷口について「リーグNo.1と誇れる圧倒的なストロングポイントはないのかもしれない。でも逆に、ここが致命的というウィークポイントもない」と評価し、「五角形のグラフで能力を評価するなら、谷口は綺麗な五角形で面積が大きいタイプ。それはDFにとって非常に大事な要素。攻撃的センスやビルドアップ、ヘディングでの得点力を踏まえても、総合的に基準値が高い」と賛辞を送っていた。

華麗なパスサッカーに不可欠な存在 「川崎のサッカーは谷口がスタート地点、と言っていい」

「海外のセンターバックで例えるなら、リカルド・カルバーリョ(元ポルトガル代表DF)。マルチで安定感があるから、谷口を据えたうえで、最終ラインを臨機応変に組ませやすい。どんな監督が川崎を指揮しても、チーム作りをするうえで、まずは谷口の起用から決めるんじゃないかな。 ピッチ外でも常に冷静で真摯な印象があるので、精神的な隙もないというか、そこもピッチ内でウィークポイントがない特徴につながっていると思う」

 また、攻撃面で谷口の良さが出たシーンとして、12月12日に行われた第32節サガン鳥栖戦(1-1)の先制点を挙げている。MF脇坂泰斗のクロスに対し、ペナルティーエリア左に走り込んだ谷口がファーに叩きつけるヘディング弾を決めた。栗原氏は「視界の後ろからボールが来ているから、簡単そうに見えて難しいゴールだと思う」と振り返り、「谷口は結構大事な場面で得点を奪っている印象がある」と語っている。

「力を抜いてコースを突けているし、センターバックがあのスペースに走り込んでいるわけだから、ボックス内で数的有利を得られていた。相手守備陣も、誰が付いていくのか一瞬困惑してボールウォッチャーになったマークの対応だった。もしクリアされていたら、今度は自陣で数的不利でピンチの場面だったが、そのハイリスクハイリターンをモノにするのが、川崎の強さの真髄だと思う」

 優勝を決めた11月25日の第29節ガンバ大阪戦(5-0)は、前節の一発退場により欠場していたが、栗原氏は「そのおかげで憲剛さんが最後にトロフィーを掲げられたわけで、そこを含めて見事なキャプテンだなと(笑)」と冗談を交えつつ、「リーグで最も中盤的な役割を担うことのできるセンターバックだと思うし、川崎の真骨頂であるパスサッカーは、足下の技術に長けた谷口のビルドアップが起点。川崎のサッカーは谷口がスタート地点と言っていい」と惜しみない賛辞を送っていた。

Football ZONE web編集部