【大久保嘉人インタビュー|第2回】昨季は東京Vで19試合無得点…負傷に苦しんだ1年

 J1歴代最多得点記録を持つ元日本代表FW大久保嘉人にとって、昨季は屈辱的なシーズンとなった。J2東京ヴェルディでリーグ戦19試合0得点。キャリア20年目にして、初めてJリーグでノーゴールに終わった。今季から15年ぶりに古巣セレッソ大阪へ復帰し、J1開幕戦でいきなり“復活弾”を叩き込むなど、ここまで6試合5得点を挙げている38歳のストライカーが、東京Vで過ごした1年間を振り返った。(取材・文=Football ZONE web編集部・小杉 舞)

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「コロナ禍で、今までほとんど怪我をすることがなかったけど、1年間ほぼ怪我だった」

 大久保は今季、プロとしての第一歩を踏み出したC大阪に復帰した。2001年から4年間過ごした後にスペインへ渡りマジョルカでプレーし、06年に一度C大阪へ復帰。その後、ヴィッセル神戸、ドイツ1部ヴォルフスブルク、川崎フロンターレ、FC東京、ジュビロ磐田と多くのクラブでストライカーとして存在感を発揮し、川崎時代には13年から3年連続J1得点王を獲得した。そして2月27日に行われた柏レイソルとの今季開幕戦、19年以来となるJ1のピッチに立つと前半42分に右サイドからのクロスを頭で決めて、J1通算186点目を挙げた。その後もゴールを量産しており、ここまで6試合で5得点。復活を印象付けている大久保にとって、苦悩の1年となったのが昨季だった。

 2020年シーズンはC大阪時代の02年以来、18年ぶりのJ2挑戦となった。東京Vに入団すると、開幕戦の徳島ヴォルティス戦(0-3)にフル出場したものの、新型コロナウイルスの影響による中断明けはふくらはぎを痛め長期離脱を強いられた。8月16日の第12節水戸ホーリーホック戦(2-0)で復帰したものの、最終的には19試合無得点。Jリーグでは初めてのシーズンノーゴールに終わった。

「(怪我は)グラウンドが硬かった影響もあるのかな。だから点が取れなかったけど、自分の実力だとは思わなかったし、結構あっさりしていた。ヴェルディに入って永井さんのサッカーができて勉強になったし、面白いなというのも感じられた。若い選手もいい選手が多いし、楽しかったですね。1年間だったけど、楽しかったし思い出に残った」

 東京Vを率いた永井秀樹監督の指導は、大久保にとって刺激的だった。プロ20年目だった大久保でも、初めての経験。「すべて」が勉強になった。

「サッカーのやり方とか伝え方。今までに聞いたことがないやり方をヴェルディはやるので、こういう伝え方もあるんだ、と。同じサッカーだけど、伝え方一つで入り方が違うので、面白かった」

大久保が考える若手の“教育方法”、「見て盗むんだったら…」

 永井監督の指導は選手目線だけでなく、将来、指導者となった時の参考にもなったという。「めちゃくちゃミーティングするからね」と笑いながら話す。

 今年6月で39歳を迎える大久保。かつてMF香川真司(現PAOK)やFW柿谷曜一朗(現・名古屋グランパス)、MF南野拓実(現サウサンプトン)らを育て、若手の指導に定評があるレヴィー・クルピ監督が率いるC大阪では、ベテランとしての役割も求められる。そのなかで、大久保流の“教育法”があるようだ。

「俺が持っているものは俺の武器なので。見て盗むんだったら盗めばいいよ、という感じですね。俺からは『こういうふうに打てよ』とかは言わないし、聞いてきたら答える」

 自身の「武器」を強要はしない。背中で見せ、伝え方に工夫を凝らす。東京Vで学んだ経験を生かし、大久保らしく若手を育成していくつもりだ。

Football ZONE web編集部