【J番記者コラム】ACL疲れも見えた川崎にホームで0-2と敗戦

 統計開始以来最も長い梅雨が明けた17日、清水エスパルスにとって2021シーズン後半戦の初戦となるJ1リーグ第18節の川崎フロンターレ戦がホームで開催された。前節の徳島ヴォルティス戦ではボール支配率23%対77%、パス数164対933とあまり見たことがない数字で相手にボールをキープされたが、それでも試合は2-2の引き分けに終わり勝ち点1を手にした。そして今節はリーグ戦21試合を終えていまだ無敗。圧倒的なパス回しから高いボール支配率を誇る川崎に対して、清水がどう戦いを挑むのかに注目していた。

 川崎は19日間の日程でウズベキスタン開催のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージを6戦6勝で予選をトップ通過して帰国したが、MF田中碧がドイツ2部デュッセルドルフへの期限付き移籍が決定。また東京五輪代表メンバーに選出されたMF三笘薫、FW旗手怜央が不在、そしてFW小林悠もACLで負傷離脱と主力メンバーを欠き、加えてACL帰国後にスタッフ2名が新型コロナウイルスに感染していることが判明したため、帰国後に満足な練習ができずにこの日を迎えていた。

 清水は2015年以来、川崎からの勝利がなく、近年は90分間で圧倒される試合や、何か腰が引けた戦いが多かったが、昨年のホームゲームでは最終的には追いつかれ引き分けに終わったが、後半44分まで清水がリードする試合展開で意地を見せることができた。それ以来となる今シーズン初対戦となったが、清水はここ4試合を2勝2分と負けなし。その4試合で先発フル出場していたDFヴァウドをこの試合では外し、この夏の移籍期間でサンフレッチェ広島から加入したばかりのDF井林章をミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は先発起用した。

 井林はロティーナ監督が指揮を執った東京Vでプレーしており、今回の獲得もロティーナ監督からのリクエストで実現し、井林も「監督がロティーナさんというのは移籍を決断するなかで非常に大きかった」と話していた。その実力は疑うものはないが、今シーズンの広島でのリーグ戦出場は3試合、98分に止まっており、練習試合を挟まずにいきなりの実戦で先発起用したことには少々驚いた。

 試合は清水が立ち上がりから臆することなく前線からプレスを仕掛け、ミスも多かったがそれでも積極的に縦に入れるパスにチャレンジするという徳島戦とは違った戦い方でペースを掴もうとした。しかし、様々な不安要素を感じさせないプレーを川崎に見せられ、前半17分にMF脇坂泰斗に先制点を、そして後半5分には今季リーグ戦初出場初先発のMF大島僚太に2点目を奪われてしまう。

川崎が2人の指揮官でつないだ9年間、清水はロティーナ監督で9人目

 ただ、いつもの川崎の完璧なパス回しや相手を翻弄する動きなどは、やはり疲労からかミスも目立ち、そこは試合前日に「他のチームと同じように川崎にも付け入る隙はどこかにある」と話したMFカルリーニョス・ジュニオの言葉どおりに、そのわずかな隙を清水は果敢に突いていき、何度も川崎ゴールに迫る展開となった。最終的なスタッツも徳島戦のようにそこまで驚くほど大きな差はなかったが、そこは王者川崎。チャンスは確実にものにして、ピンチは確実に跳ね返す。結果はそのまま0-2となり、まだまだ両者の実力差があることを痛感させられる試合となった。

 川崎は2012年の途中から風間八宏氏が5年間指揮し、その後を引き継いだ鬼木達監督も今年で4年目。清水はこの同じ期間で8人の監督を招聘し、今シーズンから9人目のロティーナ監督にチームを託した。毎年進化し続け、そのフィロソフィーを継続する川崎に対して、戦術やスタイルに迷走した清水との差が現在のクラブの立ち位置、チーム作りに表れている。

 しかし、多くの選手を獲得し「血の入れ替え」をして新たなスタートを切り、この夏の移籍期間でもさらに入れ替えが行われるが、今シーズンは“改革元年”として期待しているサポーターもいる。次の川崎とのリーグ戦での対戦は10月23日だが、その差をどこまで埋めることができるのか。今シーズン初のチケット完売となったこの試合を観戦した約9000人の観客は、次の川崎との対戦を成長したチームがどれだけ戦うことができるのか楽しみにしているはずだ。

Football ZONE web編集部