上位がハイレベルな戦いを演じた印象的なシーズンを回顧、2011年は三つ巴の争い

 今シーズンのJ1リーグは、川崎フロンターレと横浜F・マリノスの“2強”状態になっている。25日には横浜FMが上位のサガン鳥栖にアウェーで4-0と大勝した一方で、川崎はアビスパ福岡に0-1で敗れた。残り12試合で勝ち点差はわずか「1」になっている。

 ここからどういう展開になっていくのか注目だが、過去にも「2強」及び「3強」によるデッドヒートが繰り広げられたシーズンがある。今回はJリーグの歴史における、代表的なデッドヒートをピックアップした。

■1998年2ndステージ:鹿島アントラーズ&ジュビロ磐田

 2ステージ制だった時代だが、終盤のデッドヒートが記憶に残るシーズンとなった。1stステージは第13節の時点までジュビロ磐田、清水エスパルス、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、横浜マリノス(この年の2ndステージ終盤に横浜フリューゲルスとの吸収合併を発表)の5チームが勝ち点で並んでいたが、残りの試合で磐田と清水が抜け出し、最後は勝ち点39同士ながら得点王となる中山雅史を擁した磐田が、得失点差で上回ってステージ優勝を果たした。

 2ndステージは途中まで勝ち点の詰まった混戦だったが、1st王者の磐田とリベンジを狙う鹿島が終盤にデッドヒートを繰り広げた。天王山となったのは第15節の直接対決で、鹿島がマジーニョのゴールを粘り強く守り切ると、そのまま磐田の追撃を振り切ってステージ優勝し、年間王者を決めるチャンピオンシップへ。2戦合計4-2で鹿島が磐田に勝利し、栄冠を飾った。

■2011年:柏レイソル&名古屋グランパス&ガンバ大阪

 三者が終盤まで激しい優勝争いを演じたのが、2011年だった。東日本大震災が起き、大幅な日程変更もあったなかで昇格組の柏レイソルと名古屋グランパス、ガンバ大阪が4位以下を10ポイント以上引き離す大混戦となった。

 序盤戦で快調なスタート奪取を切ったのは被災地の希望を背負うベガルタ仙台で、12戦無敗と快進撃を続けたが、13試合目以降に失速。それでも巻き返して4位に食い込む健闘を見せた。中盤戦までは横浜F・マリノスも優勝争いに加わっていたが、後半戦で脱落すると柏、名古屋、G大阪がハイペースに勝ち点を重ねて、首位の柏、2位の名古屋、3位のG大阪がそれぞれ勝ち点「1」差で接近。優勝決定は最終節にもつれ込んだ。

 名古屋はアルビレックス新潟、G大阪は清水エスパルスに勝利。自力優勝の権利があった柏は浦和レッズを相手に、ジョルジ・ワグネルがレアンドロ・ドミンゲスのシュートがポストに当たったこぼれ球を押し込み先制ゴールを挙げる。さらにCKから橋本和が追加点。後半に柏木陽介のゴールで1点を返されるも、再びCKの流れからアカデミー育ちの茨田洋生が貴重な3点目を決めて3-1で勝利した。ネルシーニョ監督は最終節も、普段通りのサッカーができたことを強調していた。

2017年は“猛追”した川崎が鹿島を逆転して悲願の初優勝

■2017年:川崎フロンターレ&鹿島アントラーズ

 JリーグがDAZNと大型契約をかわしたことで、3年ぶりに1ステージ制が帰ってきただけに、メディアやサッカーファンの期待感は例年以上に大きかった。そのなかで下馬評では前シーズン最多勝ち点ながらチャンピオンシップで優勝を逃していた浦和レッズと、王者の鹿島アントラーズを優勝に推す声が多かった。

 しかし、鹿島はACLのラウンド16敗退という結果を受けて、石井正忠監督を解任。コーチから昇格した大岩剛新監督の下、9試合で8勝1分の好成績で首位に。一方で、風間八宏体制から鬼木達新監督がチームを引き継いだ川崎フロンターレは、虎視淡々と上位につけた。同じく鹿島を追っていた柏レイソルが終盤に脱落すると、初タイトルを目指す川崎はACL準々決勝で浦和に敗れ、ルヴァンカップ決勝でもセレッソ大阪に屈し、悲願のタイトル獲得をJ1リーグにかける形で第33節の浦和戦を迎える。

 引き分けでも優勝の可能性が消える試合で、エースストライカーの小林悠が貴重な先制ゴールを決めると、“ウノゼロ”の勝利で勝ち点差を「2」として最終節に望みをつないだ。鹿島はジュビロ磐田との伝統の一戦に勝利すれば、川崎の結果に関係なく優勝を決められる状況だったが、西大伍の負傷交代や植田直通のゴールが味方のファウルという判定で取り消されるなど、ツキにも見放される形でスコアレスドローとなった。

 一方で逆転優勝を狙う川崎は降格が確定していた大宮アルディージャを相手に、阿部浩之の先制点を皮切りにゴールを重ねて5-0と大勝。鹿島と同じ勝ち点72ながら、得失点差でクラブ史上初タイトルがリーグ優勝となった。なお川崎の優勝を前線から牽引した小林悠は23得点で、22得点の杉本健勇、20得点の興梠慎三を抑えて得点王に輝いた。

 3位はセレッソ大阪の勝ち点63で、川崎と鹿島が勝ち点「9」の差をつけていた。これまでの1ステージ制における2強のデッドヒートとしては3位以下を最も引き離したシーズンだが、今シーズンの川崎と横浜F・マリノスはさらに大きく引き離しており(第26節終了時で2位横浜FMと3位ヴィッセル神戸の勝ち点差は15)、2017年を超える“2強”体制を続けるのか、終盤に追いすがるチームが出てくるのかどうかも見どころだ。

Football ZONE web編集部