後半ATに槙野が同点ゴール、アウェー得点差で川崎を上回りベスト4進出

 浦和レッズは5日、ルヴァンカップの準々決勝第2戦で川崎フロンターレに3-3で引き分け、アウェーゴール差での準決勝進出を決めた。後半アディショナルタイムに突破を決める劇的ゴールを決めたDF槙野智章は「メンバーが変わっても大切にしていきたい」と、浦和の伝統について話した。

 第1戦を浦和のホームで1-1と引き分けた対戦で、リカルド・ロドリゲス監督はMF江坂任とMF小泉佳穂を最前線に起用するシステムを継続。FWキャスパー・ユンカーはベンチスタートとした。この起用について指揮官は「前回のパフォーマンスが良かったのでそのままと決断した。ユンカーはゴールを取る能力が優れている。そういう特徴があるが他の選手には違う特徴もある。180分を見ながら判断した」と話した。

 その起用が立ち上がりにハマった。江坂と小泉が献身的に走ったところから連動する積極的なプレスが功を奏し、前半8分にDF岩波拓也のフィードから江坂が先制点を決め、1-0とリード。アウェーゴールのビハインドを解消した。

 しかし前半40分にFWレアンドロ・ダミアンに同点ゴールを許すと、後半18分には決勝ゴールを求めてユンカーを投入するも、セットプレーから2失点。同38分で1-3の2点ビハインドという、敗色濃厚な状況に追い込まれた。

 それでも浦和はそこから底力を見せた。まずは同42分に、途中出場のDF西大伍が入れたアーリークロスがファーサイドにこぼれたところをユンカーが押し込んだ。これで2-3となり、アウェーゴールのレギュレーションがあるために追いつけば浦和が突破という状況が生まれた。そこでロドリゲス監督が選んだ切り札が、背番号「5」のセンターバック、DF槙野智章を前線に投入することだった。

「エリア内で最後のゴールを決めるところで、槙野の力も必要ということで投入した。昨日のミーティングで槙野個人に『今回は同じメンバーでいく。ただもしかしたら、何かのタイミングでゴールを取らなければいけないとなったときにはFWで使うから』と話していた」(ロドリゲス監督)

「昨日、監督と話をして、今日の試合は出ないという話で。冗談でFWで準備をしているという話もしていたんですけどね。厳しい中でも自分が出るような感じの試合展開になったので、気持ちの準備はしていた」(槙野)

厳しい状況に追い込まれても何とかするカップ戦の“伝統芸”

 アディショナルタイムに入り、GK鈴木彩艶も攻撃参加させてのコーナーキックで中央に入ったボールを、ファーサイドでDFアレクサンダー・ショルツが折り返すとユンカーがヘディングシュート。GKチョン・ソンリョンが弾いたところに、ゴール前の混戦で槙野の足が伸びた。ボールは川崎のゴールに吸い込まれ、劇的な突破を決める同点ゴールになった。

 浦和は2016年にルヴァン杯を制し、17年にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を優勝。18年には天皇杯を制し、19年にはACLで再び決勝に進んで準優勝になった。この時も、厳しい状況に追い込まれても最後のところで何とかする戦いぶりでカップ戦を勝ち進んだ。当時とメンバーも大きく変わってきたこの2シーズンだが、当時から主力の槙野は「久々に2017年のACLを戦っている時のような雰囲気と言うか、そういうものが生まれた」と話す。

 そして槙野は、こうした伝統芸とも言える勝ち上がりに「メンバーが変わってもそういうものを大切にしていきたい」と話した。ロドリゲス監督が就任して緻密なポジショニングを重視するサッカーを展開している浦和だが、最後はカップ戦での勝負強さを見せつけた。

Football ZONE web編集部