【栗原勇蔵の目#1】ゴールに早く迫る攻撃を仕掛けるためのタレントが必要

 森保一監督率いる日本代表は、11月にカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でベトナム(11日/FIFAランク98位)、オマーン(16日/同77位)と対戦する。グループ4位の状況から巻き返すうえで、敵地での2連戦は是が非でも2連勝したいところ。W杯最終予選の経験を持つ元日本代表DF栗原勇蔵氏に、「今シリーズに呼んでほしい選手」を聞いた。(取材・構成=Football ZONE web編集部/全2回の1回目)

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 日本は今最終予選の初戦となった9月のオマーン戦(0-1)でまさかの黒星発進。第2戦の中国戦(同75位)は1-0と辛勝し、同シリーズは1勝1分に終わった。続く10月シリーズは、敵地でサウジアラビア戦(同49位)に0-1で敗戦。ホームでのオーストラリア戦(同34位)には2-1で競り勝ったが、4試合で3ゴールと得点力不足が目につく。

 攻撃陣では、膝の怪我でリハビリ中のMF久保建英(マジョルカ)だけでなく、10月のオーストラリア戦で負傷したFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)、代表活動を途中離脱したMF堂安律(PSV)が100%の状態ではなく、不透明な状況だ。そこで、11月シリーズに勝利すべく、招集してほしい選手を元日本代表DF栗原氏に尋ねると、5人のアタッカー/ストライカーの名前が挙がった。

■武藤嘉紀
所属:ヴィッセル神戸
ポジション:FW
年齢:29歳
今季リーグ戦:9試合4得点
日本代表通算:29試合3得点

「武藤は今、動きが良いし、身体を張れて、走力もある。ワールドカップを含めて経験豊富で、周りに要求できるから、代表でのブランクがあっても合わせられると思います。ベトナム戦に関しては、古橋(亨梧)のようなアジリティータイプよりも、ゴリゴリ行けるタイプのほうが生きるはず。身体も強いから、前(センターフォワード)でキープできて、裏にも抜けられる武藤は、大迫不在時の代表には最適でしょう」

■前田大然
所属:横浜F・マリノス
ポジション:FW
年齢:24歳
今季リーグ戦:31試合18得点
日本代表通算:2試合0得点

「欧州組中心のパスサッカーは、格下相手にしか通用しません。実際、(10月の)オーストラリア戦は伊東純也、浅野拓磨と縦に速い選手しかチャンスを作れていなかった。今は綺麗なサッカーよりも、多少雑と言われてもゴールに早く迫るサッカーをしたほうがいいと思います。前田は守備で追い回して、裏を走らせれば、90分間で3〜4回の決定機が見込めます。サイドだとボールを回さないといけないので、起用するならリズムを出せる1トップ。J1リーグ得点ランクトップの決定力を試したいところです」

左サイドは単独突破を武器とする三笘、松尾を推薦

■三笘 薫
所属:ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ(ベルギー)
ポジション:MF
年齢:24歳
今季リーグ戦:7試合3得点
日本代表通算:A代表未招集

「三笘に関して言えば、チームに合う合わないの前に、『なぜ呼ばないの?』という段階にある選手だと思います。招集しなければ活躍する確率は0%なわけで、ダメなら使わなければいいのかなと。東京五輪の(3位決定戦)メキシコ戦で単独突破からゴールを決めたプレーからも、いれば“一発ある感じ”が漂う。今の代表には1人で打開できるタレントがいない観点からも、期待が懸かる選手です」

■松尾佑介
所属:横浜FC
ポジション:MF
年齢:24歳
今季リーグ戦:25試合3得点
日本代表通算:A代表未招集

「松尾は1人で突破できる三笘タイプ。左(サイド)で持たせて、ドリブルでゴール前まで行けるし、走力と得点力もあります。年代別を含めて代表経験はない意味でも、ジョーカーとして面白い選手だと思います」

■鈴木優磨
所属:シント=トロイデン(ベルギー)
ポジション:FW
年齢:25歳
今季リーグ戦:4試合1得点
日本代表通算:2018年11月に初招集も負傷で辞退

「鈴木の魅力は、ゴール嗅覚と“何かをやりそうなオーラ”です。(周囲との)コンビネーションを構築していないので難しい面はあると思いますが、ベンチスタートでもがむしゃらにプレーしてくれる。やっぱりFWはああいうタイプでないと。大迫も素晴らしい選手とはいえ、どこか落ち着いてしまった印象もあるので、鈴木を試してもいいと感じます」

[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

Football ZONE web編集部