【インタビュー#1】エミル・サロモンソン、日本3年目のシーズンが充実しているワケ

 J1リーグのアビスパ福岡は、今年10月に6試合を残して残留が決定。5年ごとに昇格し、翌年に降格という“5年周期”のジンクスについに終止符を打った。クラブ史上最高位の8位につけるチームの中心に立つ1人が元スウェーデン代表DFエミル・サロモンソンだ。来日3年目、32歳となった今も“最高の自分”を更新し続ける秘訣を聞いた。(取材・文=Football ZONE web編集部・小田智史/全4回の1回目)

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 母国スウェーデンでプロキャリアをスタートさせたサロモンソンは、エンゲルホルム、ハルムスタッズを経て、2011年に移籍した古豪IFKヨテボリで右サイドバック(SB)のレギュラーとして活躍。スウェーデン代表にも招集され、2016年3月には世界的ストライカーとして名を馳せるFWズラタン・イブラヒモビッチ(ACミラン)とも共闘している。

 2019年に初めてスウェーデン国外に飛び出し、サンフレッチェ広島でJ1リーグ戦19試合2得点を記録すると、翌20年シーズンは福岡へ期限付き移籍。上下動を繰り返し、全力で戻ってボールを奪うプレースタイルが、攻守連動のアグレッシブなサッカーとマッチし、J2リーグ最少失点(29)の守備を誇ったチームの中で39試合2得点の成績を残した。

 完全移籍に切り替わった福岡2年目の今季は、自身2度目となるJ1の舞台で躍動する。第2節・清水エスパルス戦(2-2)で鮮やかな直接FK弾を突き刺すと、第4節・徳島ヴォルティス戦(2-1)では長距離を駆け抜けてカウンターのフィニッシャー役としてゴール。第19節・川崎フロンターレ戦(1-3)でも約25メートルの直接FK弾を決め、失点数(35)リーグ6位の守備への貢献だけでなく、自慢の高精度キックで攻撃でも存在感を示す。サロモンソン自身、「今年がフットボーラーとして一番輝いている年だと思っています」と胸を張る。

「理由としては、日本のリーグ、しかもJ1でプレーできているというのが大きいと思います。テクニックのある選手、クオリティーの高い選手がたくさんいて、美しいサッカーをする。すごく楽しんでシーズンを送っています。あと、日本のサポーターがフレンドリーで素晴らしいです」

サロモンソンが魅力を感じたアビスパの「未来へのポテンシャル」

 福岡は2001年にJ2降格を経験以降、5年ごとに昇格し、その翌年に降格という5年周期が続いた。しかし、“4度目の正直”に挑んだ今季は一度も降格圏を経験せず、一時は5位と上位争いを展開。6試合を残してJ1残留を決め、J1でのシーズン最高位を更新するのは確実だ。チームとしての成長を、サロモンソンも実感しているという。

「J1に昇格して、ジンクスを壊して残留できたのは、チーム全員が謙虚に、(長谷部茂利)監督が言っていることを必ず聞き、チームとして戦うんだと選手たちの気持ちが1つになったからです。昨シーズンから大きく変わったというよりは、成長したと言うほうが正しいかもしれません。一体感が自分たちの一番の強さで、今年さらにレベルアップできた。シーズン前は自分も少し怖かったというか、チームとしてJ1で戦えるか不安な部分はありました。でも、こうしてシーズンを通してしっかりと戦ってこれた自分たちを誇らしく思います」

 サロモンソンの目には、「アビスパ福岡」のクラブとしての魅力はどのように映っているのか。

「私は広島、福岡と2つの都市でプレーしてきました。サンフレッチェ広島も、アビスパ福岡も自分にとっては最高のチームなんですが、広島は福岡よりも大きなチームで、J1優勝経験もあり、J1に常にいるというイメージです。福岡に来た理由として、アビスパが福岡の中でだんだん大きくなりつつあって、そのポテンシャルに惹かれました。アビスパの未来へのポテンシャルをすごく感じています」

日本全国のサポーターからのメッセージに感謝「愛が感じ取れる」

 プロになって10年以上、来年4月には33歳を迎える。そのなかで、サロモンソンは「30歳を超えても、常にいい選手になりたいと思う向上心があります」とさらなる成長を見据える。

「全体のトレーニングが終わったあとにも自主練の時間を設けてもらっているので、いい選手になるための努力をしています。日本に来ることを決めたのも、自分を成長させてくれるきっかけになったので、いい選択をしたなと思います。アビスパサポーターだけでなく、サンフレッチェサポーター、日本全国のサポーターからメッセージをもらうんですが、書いてある内容が私への愛を感じ取れるものが多くて、とても励みになっています。いつも本当にありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします!」

 飽くなき探求心、サポーターが注いでくれる多くの愛を力に変え、サロモンソンは全力疾走を続ける。

[プロフィール]
エミル・サロモンソン/1989年4月28日生まれ、スウェーデン出身。エンゲルホルム―ハルムスタッズ―IFKヨテボリ(いずれもスウェーデン)―広島―福岡。スピード、高精度のクロスに加え、パワフルなシュートも兼ね備える熟練の右サイドバック。大のNBAファンで、好きなチームはシカゴ・ブルズ、好きな選手はケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)とヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)。

Football ZONE web編集部