先制も落ち着きのない展開に。ゲーム内で役割がはっきりせず

ドルトムントは現地時間29日、ブンデスリーガ第18節でマインツと対戦し、アウェイで1-1の引き分けに終わった。前半3分にマルコ・ロイスのゴールで先制したドルトムントだったが、試合を落ち着かせることができず、終盤に同点弾を奪われてしまった。今のドルトムントにはピッチ上でリーダーシップを発揮できる選手がいない。今一度、アイデンティティを再確認する必要がある。(取材・文:本田千尋【マインツ】)

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 アイデンティティの再確認が必要か。2017年1月19日のブンデスリーガ第18節、ボルシア・ドルトムントはアウェイで1.FSVマインツ05と戦う。

 3分、オーバメヤンが釣ったマインツDF陣の隙を突いて、右サイドのシュールレからのパスを受けたロイスが、先制弾を突き刺す。電撃的なスタートを切ったドルトムント。そして前節のブレーメン戦とは違って、開始早々の先制点にも戸惑わず、積極的にゲームを展開しようとした。

 しかしブレーメン戦とは対照的に、攻め急いだことによってか、落ち着いてボールを回していくことが出来なかった。ドルトムントの布陣は[4-3-3]。守備時にマインツの敷く[4-4-2]のブロックの中で、ゲレイロとカストロの左右の両インサイドハーフは、どこでどのようにボールを受けるのか、ゲームの中ではっきりとさせることができなかった。

 マインツ戦におけるチーム内のボールタッチ数は、カストロが63回で6位、ゲレイロが61回で7位と、決して多くはない。またパス本数は、ゲレイロが37回の4位、カストロが29回の5位と、こちらも同様だ。またミスパスの数は、ゲレイロが12回の5位、カストロが17回の1位である。

 本職が左SBのゲレイロは、昨年の9月にインサイドハーフのポジションでブレイクしたが、今回のマインツ戦に限って言えば、その時のようなインパクトを残すことは出来なかった。ウインターブレイク中に怪我から復帰して、まだコンディションを上げている段階とも言える。24分には、エリアの手前でシュールレからのパスを受けて、オーバメヤンに軽やかなスルーパスを送るなど、もちろん天性のセンスを持っている。

 しかしやはり本職ではないからか、ポジショニングにまごついてしまうところがあった。カストロ、バイグルとの連携も不十分で、まだ昨年の“勢い”を“実力”とするには至っていないようだ。ゲレイロは66分にゲッツェと交代になった。

リーダーシップを発揮する選手は不在。誰が声を大にするのか?

 そしてドルトムントは[4-1-4-1]に布陣変更する。オーバメヤンが左サイドに入り、ワントップにはロイスだ。しかし、このマインツ戦におけるドルトムントのサッカーそれ自体に変化はなかった。83分、デンベレが戻ったが対応しきれず、エツナリに右サイドからクロスを入れられる。ファーでラッツァにヘディングで叩き込まれ、同点に追いつかれてしまう。

 1-1のドローで試合を終えて、ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督は「我々のアイデンティティを失ったこと」を悩ましい点として挙げた。

 マインツ戦に限ったことではないが、やはり今季のドルトムントにはリーダーが不在だ。ゲームキャプテンはシュメルツァーが務めているが、腕章を巻く主将以外に、ゲームの最中に流れを読み、キャプテンシーを発揮し、アイデンティティを再確認することのできる選手が欠けている。

 後半も半分を過ぎようとする頃に、1点のリードで布陣変更をした場合、逃げ切るのか、追加点を奪いに行くのか。監督の指示に従うだけでなく、ピッチ上でリーダーシップを発揮できる選手も必要なのではないだろうか。

 シュメルツァーだけでなく、バイデンフェラー、ピシュチェク、香川真司、ロイスなど、クロップ政権時から在籍する“古参”は何人かいる。

 誰が声を大にするのか。これもまたドルトムントの課題の1つである。

(取材・文:本田千尋【マインツ】)