来季から変わるJ1昇格のレギュレーション。今季は勝負の年か

 大混戦となっている今季の明治安田生命J2リーグ。J1昇格に向け、夏の移籍市場ではアタッカーの補強が目立っているが、横浜FCはかつてJ1年間最優秀選手に輝いたレアンドロ・ドミンゲスを獲得した。イバという強力なアタッカーを擁するチームに、ブラジル人のテクニシャンはどのようなプラスアルファをもたらすだろうか。(取材・文:ショーン・キャロル、翻訳:フットボールチャンネル編集部)

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 Jリーグは、何か手を加える必要があると感じることなく同じシステムを2年以上貫くことができないかのようだ。2018シーズンからはまたしても昇格システムが再編されるため、各チームが現在のプレーオフ方式でJ1昇格を勝ち取るチャンスは今年が最後となる。

 昨季のプレーオフ勝者であるセレッソ大阪がJ1のシーズン半ばを過ぎて首位に立っているにもかかわらず、来年からは昇格に新たなハードルが設けられる。シーズン後のプレーオフ勝利チームはJ1の16位チームとの入れ替え戦を戦い、トップリーグで戦える力があることを証明しなければならない。

 日程の上ではとても歓迎できるとは言い難いこの追加により、J2の42試合を戦い終えて3位で終えたチームがプレーオフで2チームの挑戦を退けたとしても、それまでの9ヶ月間にリーグで下から3番目の成績を残したチームとの2試合に敗れてしまえば2部残留を強いられるということになる。

 これがフェアであるかどうかの議論は別の機会に委ねるとしても、この変更は今季の昇格候補である各チームにシーズン途中の強化を促したようだ。現行方式で最後となるプレーオフへの出場の可能性を強めるため、あるいは、もちろん2つの自動昇格枠から直接のJ1昇格を目指すために。

 移籍市場の再開以来、上位9チームのうち6チームが新たな外国人アタッカーをチームに加えた。現在首位の湘南ベルマーレ大宮アルディージャからドラガン・ムルジャを獲得。横浜FCはレアンドロ・ドミンゲスを日本に連れ戻し、名古屋グランパスも同じブラジル人のガブリエル・シャビエルを連れてきた。

 ファジアーノ岡山はキム・ジョンミンとニコラス・オルシーニ、松本山雅FCは経験豊富なダヴィを手に入れ、東京ヴェルディにはミゲル・アンヘル・ロティーナ監督と同じスペイン人のカルロス・マルティネスが加入した。

レアンドロ・ドミンゲス、横浜FC加入のインパクト

 中でも面白いのは、レアンドロ・ドミンゲスが三ツ沢にやってきたことだ。横浜FCは過去18ヶ月間、無敵のFWイバ・ラーヤブをトップに据えつつ、堅実に見えるチームを静かに作り上げてきた。

 ノルウェー人のイバは、1年目の昨季に記録した18得点に続いて、今季のJ2ではここまでチームの33得点中16点を記録。圧倒的に2部リーグで最も恐れられるストライカーとなっている。

 だがこれだけの成績を残している32歳のFWは、ファイナルサードでやや孤立しているように見える場面もあった。相手は彼に対してしばしば2人のマークをつけ、時には3人をつけることもある。チームメートたちは彼が独力で試合を決めてくれるよう期待しているようにも感じられていた。

 そこに、J1の元年間最優秀選手でありとあらゆる国内タイトルを勝ち取ったレアンドロ・ドミンゲスを加えるというのは見事な仕事だと言える。デビュー戦となった先週末のV・ファーレン長崎戦でもその効果はすぐに表れ、長崎の高木琢也監督も「本当に大きな存在」と相手の33歳に言及していた。

 最初のインパクトを残すにはわずか6分しかかからなかった。レアンドロからの絶好の縦パスを受けたイバが野村直樹に落とし、そこからジョン・チョングンによる先制点へと繋がった。

「ボールを受ける前に、イバが前にいると分かっていたので、受けた瞬間からボールを進めようとした」

 2-1の勝利で横浜FCが5位へ浮上した試合のあと、かつて柏レイソルや名古屋グランパスでプレーした男はそう語った。

「今後の試合でもこういうコンビネーションでもっともっとゴールを奪っていきたいね」

イバとレアンドロが負担を分け合えることへの期待

 イバもレアンドロの加入を歓迎し、彼ほどの才能と攻撃志向を持つ選手が加わったことで、決定的な仕事をする負担を分け合えることを期待している。

「彼が来る前には、相手が僕ばかりをマークしていた。2人や3人に付かれていた。今は1対1でやれるようになったので、ボールを落とすこともできるし、もう少しプレーできるようになる。相手は彼のことも怖がっているから、僕の仕事はやりやすくなるよ」

「今日すでに分かったように、彼と(佐藤)謙介、ザト(中里崇宏)、ノム(野村)は良い関係を築くことができていて、そのことで僕に大きなスペースが生まれる。彼と一緒に練習してまだ2週間だから、お互いのことをそれほど分かっているわけではないが、練習を続けていけばもっと良くなると思う。彼が僕らにとって大きな助けになることは間違いない」

 練習でのレアンドロが、ブラジル人らしく量より質を求めるタイプであることも認めつつ、三浦知良も新たなチームメートに好印象を抱いた様子を見せている。

「最近の練習試合で彼は3回か4回ゴールチャンスを作っていたけど、今日も特に前半にチャンスを作っていた。そういう選手だと思う。試合では練習以上に守備も頑張っていたから安心したよ!」 長崎戦の後半に交代出場し、Jリーグの最年長出場記録をさらに伸ばした50歳は冗談交じりにそう話していた。

「ブラジル人だからね。スタイルも分かるし、実戦になればギアを2つも3つも上げてくるということも分かる。今日もそうだったと思う」

「J2は何が起こるか分からないが、だからこそ面白い」

 イバもこのまま良い流れが続いていくことを期待している。そうすれば、横浜FCが待望の1部復帰を本格的に狙えない理由はないと彼は考えている。

「J2は何が起こるか分からないが、だからこそ面白い。今日のような戦いを続けられれば、1位や2位も可能かもしれない。上のチームも負けているからね」

 昨週末には、トップ3の全てを含め、上位5チーム中4チームが敗れる結果に終わった。

 過去2年はいずれも、シーズン終盤の快進撃が昇格に繋がった。昨季の清水エスパルスはラスト18試合で15勝。その間わずか2敗しかせず、最後は9連勝でシーズンを終えた。2015年にはアビスパ福岡が18試合中14試合に勝利してわずか1敗。最後は8連勝フィニッシュだった。

 横浜FCは最近、8試合でわずか1勝しかできず、4連敗も喫するという不調を味わっていた。だが長崎戦の勝利で2連勝としており、ここから残り18試合も力強い戦いで終えられることをイバは期待している。

「そうなると思う。これで悪い時期は終えて、最後の15試合くらいに挑んでいくことができる。だがJ2は分からないものだ。激しいサッカーなので何が起こるか分からないが、とにかく戦い続けて、シーズンを終えた時にどこにいるのか見てみよう」

 レアンドロ・ドミンゲスが新たな武器となることは間違いない。彼の助けを得られることで、横浜FCがシーズン終盤まで争いに絡んでいく可能性は高まるはずだ。

(取材・文:ショーン・キャロル)