攻撃の中枢を担うグリーズマン

 6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回は、攻撃陣にタレントが揃うフランス代表を取り上げる。(文:小川由紀子)

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【フランス代表】
FIFAランキング:9位(2017年12月)
監督: ディディエ・デシャン(2012年〜)
6大会連続15回目の出場
最高成績:優勝(1998年フランス大会)
欧州予選グループA 1位通過

 W杯ロシア大会に臨むフランス代表の特徴は、若い才能が揃っていること。とりわけ攻撃陣には、今大会で大ブレイクの可能性もある優秀なタレントが出現している。

 その筆頭が、何十年に一度の逸材と言われるパリ・サンジェルマン所属のティーンエイジャー、キリアン・ムバッペだ。さらには今夏ドルトムントからバルセロナに移籍したウスマヌ・デンベレ、昨季モナコの優勝に多大な貢献をしたトマ・ルマール、バイエルンのキングスレー・コマン、マンチェスター・ユナイテッドで今季絶好調のアントニー・マルシャルら、ディディエ・デシャン監督が頭を悩ませるほど人材は豊富だ。

 彼らが織りなすスピード感あふれる攻撃が、現代表を象徴するプレースタイル。ディフェンスラインの前にエンゴロ・カンテという卓越したボールゲッターを据え、彼と連動して攻撃展開できるポール・ポグバ、ブレイズ・マテュイディらが固める中盤、そしてハイテンポなビルドアップに順応できるサイドバックを備え、カウンター攻撃時には最小限のパス数で瞬時に相手ゴール前までボールを運んでしまう。

 彼らのカウンターアタックは、どの対戦相手にとっても脅威となることだろう。また、センターフォワードにオリビエ・ジルーを置いた別オプションもある。

 いずれにしても展開を司るのはユーティリティ役のアントワーヌ・グリーズマンだ。攻撃エリアでフリーロールを与えられている彼が、ゴールゲッターとしても、セットアップ役としても、レ・ブルーの攻撃の中枢を担う。

 その重責を負うだけに、不調に陥るとチーム全体のパフォーマンスも低調になる傾向があるが、その点では挽回は可能。昨年のユーロでも、いまひとつ波に乗れない大会序盤でディミトリ・パイエが得意技のプレースキックで得点を決めて流れを変えた。ビッグトーナメント初体験の若手メンバーが期待どおりのパフォーマンスを発揮できなかったとしても、誰かが補えるという層の厚さが強みになっているからだ。

 ただ手薄なのが、ここ数年人材不足が続くサイドバック。右はシディベがナンバー1チョイスだが、2番手は34歳のクリストフ・ジャレ、11月に初招集のバンジャマン・パバールと、やや戦力が落ちる。左も、現代表のベスト左SBであるバンジャマン・メンディが、今夏シティに移籍した直後の9月に右ひざの十字靭帯を損傷していまだ療養中だ。

 また、W杯のような大会ではたったひとつのミスや唯一のチャンスをものにできたかどうか、といった微かな違いが勝敗を決める。それを左右する判断力といった部分で、今予選での戦いぶりを見ていても現メンバーには未熟さが感じられるのと、実力をコンスタントに発揮できるかという点でもまだ発展途上。そのマイナス要素を、彼らの溢れるエネルギーが凌駕できるなら、フランスには優勝争いに絡めるだけのタレントは揃っている。

実力発揮なら4強入りも現実的

ノルマ: ベスト4
目標: 優勝

 フランスサッカー連盟が今大会で最低目標としているのは準決勝進出、つまりはベスト4入りだ。これが達成できればこの大会が『失敗』だったということにはならないボーダーラインで、逆に『大失敗』の烙印を押されるのはグループリーグ突破を逃した場合だ。

 グループリーグの対戦相手は、ペルー、デンマーク、オーストラリア。この顔ぶれに「グループリーグ突破は確実」という楽観的な空気も漂っているが、今予選でもフィジカルを武器にがっちり守ってくるスウェーデンには苦戦しており、デンマークは要注意。

 また、試合機会の少ないオーストラリアとペルーはほとんど馴染みがない。予選でルクセンブルクに零封されたように、がっちりとした守備ブロックで守られると攻めあぐねることも多々あるため、グループリーグの対戦には注意が必要だ。

 とはいえ、選手たちがもつ実力を発揮できれば、次ラウンド突破、さらにはベスト4入りも十分現実的だ。グリーズマンら昨年のユーロ出場メンバーには、準決勝で強敵ドイツを破ったという自信もある。

 そのグリーズマンはやはり今大会でもキーマンだ。そして、昨年のユーロの3ヶ月前にA代表デビューした新入りながら、もはやレ・ブルーになくてはならない存在となった中盤のカンテと、今回がビッグトーナメント初出場となる大型新人ムバッペがフランス代表の最注目選手。黒子的な働きで周りうまく活かす器用さがあり、チャンスがあれば自らゴールを射抜けるルマールの活躍にも期待がもてる。

 基本フォーメーションは、ジルーとグリーズマンを2トップ気味に置き、カンテとポグバが2ボランチを形成する4-2-3-1。あるいは、中盤にカンテ、ポグバ、マテュイディ、トリッソかラビオら新戦力を加えた三角形を敷いた4-3-3。この場合はポスト役のジルーを外して、攻撃陣はグリーズマンを真ん中に、サイドをムバッペ、コマン、デンベレ、ルマール、マルシャルらが固める布陣になる。

 予選で多用するなど、より『定番』なのは4-2-3-1だが、11月のドイツとの親善試合で(2-2)好感触を得た4-3-3も、守備により比重をおいてカウンター攻撃を狙いたい対戦での貴重なオプションだ。

(文:小川由紀子)