確立されたインテル攻略法を完璧に実践したサッスオーロ

 セリエA第18節の試合が現地時間の23日に行われ、インテルはサッスオーロに0-1で敗戦。前節の今季初黒星からまさかの2連敗を喫した。他チームはすでにインテルに対しての研究を進め、対策を確立させている。ここからもう一度チームを立て直すことができるかどうか、インテルは正念場を迎えている。(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

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 インテルが連敗を喫した。1-3で敗れた前節のウディネーゼ戦に続き、今度は今シーズン調子の上がらなかったサッスオーロ相手に負けた。

「チームとして良いパフォーマンスはできていたはず。運がなかったんだと思う」。ロベルト・ガリアルディーニは地元メディアにそう話していた。確かにシュート数は彼らが上回り、支配率は70%に達し、敵陣内でプレイしていた時間帯も当然のように長かった。だが、悪い内容の試合を制して勝ち点3を得たのがこれまでの姿なら、この日は逆になっていた。

「攻撃面ではもう少しやれたと思うが、守備面ではパーフェクトだった」。インテル陣営が頭をかかえる一方で、敵将のジュセッペ・イアキーニ監督は胸を張った。インテルの敗北は、攻撃を続けながらゴールを割ることが出来なかった彼らの失態、というだけではない。サッスオーロも敵の強みを消すための組織守備をきちんと練りこみ、攻撃の精度を奪ったという背景があったのだ。それは即ち、インテルの攻略法が戦術的に確立されているということの証左でもあるのだ。

 イアキーニ監督が重視したのは次の2点。組み立ての源泉となる2ボランチにプレスを掛けて自由にさせないことと、アントニオ・カンドレーバとイバン・ペリシッチの両ウイングをしっかり挟んでしまうことだ。この2点は、これまでの相手も重視してきたところだが、やはりサッスオーロもそこを徹底してきた。

 まずボランチを封じるに当たって、イアキーニは4-3-3の両ウイングのポジションに変更を与えた。右のドメニコ・ベラルディ、左のマッテオ・ポリターノを、守備の際は2シャドーのように中央に絞らせたのだ。そこでまず、きっちりガリアルディーニとボルハ・バレーロにプレッシャーを掛け、プレイを遅らせた。

 中央の守備は彼らが受け持つので、中盤のインサイドMFは主にサイドバックのヘルプに回り、右でカンドレーバを、左でペリシッチを挟みこむ。最終ラインはしっかりと引き、インテルにボールを持たせる形で前方におびき寄せながら、コンパクトな距離感を保った上で上記のような役割をそれぞれがこなした。

 その結果、攻めるインテルのスピード感は削がれた。中央のパスコースは消され、仕方なくサイドに展開しても、左右両方に人数が掛かっている。カンドレーバもペリシッチも、それぞれタッチを余計に増やしてスピードが上げられなくなっていく。当然中央のマウロ・イカルディは、センターバック2枚が集中を切らさず守り、アンカーのフランチェスコ・マニャネッリはまさにDFライン前のリベロとして、最終ラインのフォローに入って守備を堅くする。

 こうして、インテルの攻撃の精度は削がれた。14本のシュートも、その殆どがコースのないところを強引に放ち、精度に欠けたものだった。

攻撃力上乗せを試みたサイドバック変更は守備面で裏目に

 もっとも相手が守備を固めてくることを読んでか、ルチャーノ・スパレッティ監督も攻撃力の上乗せをなんとか考えようとしていた節はあった。それがジョアン・カンセロの右サイドバック起用だ。攻撃センスは抜群で、単独でもドリブルで相手を抜いて敵陣まで持っていける彼を試した。当然のこと守備とのバランスは取らなければならず、最終ラインの面々を一気に入れ替えるわけにもいかないから、ダニーロ・ダンブロージオを左サイドバックに回したというわけだ。

 ただこれは、裏腹な結果を招いたという印象が否めなかった。カンセロの起用は攻撃面では奏功し、イカルディのPKは彼のクロスが招いたものだ。だがいかんせん、守備では穴を開けてしまうこともしばしば。一方で左のダンブロージオといえば、ペリシッチを縦に走らせるパスが出てこない。普段なら右でカンドレーバとポジションを入れ替えながら豪快に攻めていくのだが、左では同じようにいかなかった。

 そしてこの試合の決勝弾は、DFラインをいじったことが裏目に出た形となった。33分、カウンターからポリターノがインテルの左サイドをするっと抜けてドリブルで50mほど突破をする。左サイドバックのカバーが間に合わなくても、普段なら適宜MFのカバーが入り、その間にDFラインはさっと整備を図る。ところがこのシーンではまるで距離感がバラバラ。サッスオーロのセンターフォワードであるディエゴ・ファルチネッリがエリアの中で体も寄せられずフリーになっているという、これまででは信じられないことが起きていた。

 そこにクロスが通り、エリアの中にいたミラン・シュクリニアルやカンセロも、ファルチネッリに体を寄せきれずヘディングシュートを決められてしまった。

 次節は、前線のタレントを活かしてカウンターに滅法強いラツィオと対戦する。5位の彼らに敗れ勝ち点差を詰められれば、首位は争いはおろか4位以内の入賞でCL出場圏確保という目標すら危機にさらされる。試合を追うごとに相手の対策が進む中でチームの立て直しが効くかどうか、インテルにとっては踏ん張りどころである。

 なおサッスオーロ戦ではダンブロージオが左膝を故障。執筆時点で検査は行われていないが、現地では重症であることも危惧されている。これまで守備の安定を担ってきた彼がもし複数の試合で離脱するということになれば、さらに手痛いことになる。長友佑都はサッスオーロ戦でもベンチに回されていたが、出番が来た時には堅実な守備をチームに保証できるかが求められる。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)