優勝争いではハラハラできない展開に

 ウィンターブレークをはさみ、日本代表の酒井宏樹川島永嗣も奮闘するリーグアン(フランスリーグ)が再開した。優勝争いではネイマール、ムバッペ、ダニエウ・アウベスなど超豪華な陣容を誇るパリ・サンジェルマンが独走しているが、リーグ後半戦の注目ポイントはどういったところになるだろうか。(取材・文:小川由紀子)

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 1月2週目の週末から、リーグアンの後半戦がスタートした。

 前半戦は、パリSGが2位で昨季の優勝者モナコに9ポイント差をつけて圧勝。ネイマールとキリアン・ムバッペが加わり、エディンソン・カバーニとともにMCNアタック網を形成するPSGの攻撃力はリーグ最強であり、彼らの優勝はほぼ間違いない。

 ということで、『優勝者は誰か?』というところでハラハラできないリーグアン後半戦の、さしあたっての見どころを3つピックアップした。

【見どころ1】
PSGは今季いくつ新記録を更新するか?

 カタール参入後の第一世代がピークに達し4連覇を達成した15-16シーズン、PSGは数々の国内記録を塗り替えた。そのチームよりも攻撃力があると言われる今季、PSGが自らが築いた記録のいくつかを更新する可能性は高い。

[1] 勝利試合数 30

 これは15-16シーズンにPSG、そして昨季モナコが達成した数字。今季のPSGは前半戦だけで16勝している。同じペースを継続できれば、リーグベスト記録樹立の可能性は高い。

[2] アウェイでの勝利数 15

 同じく彼ら自身が15-16シーズンに記録したもの。今季は前半戦だけで6勝なので、記録更新のためには、後半戦はほぼすべてのアウェイ戦で勝利する必要がある。記録更新はややハードルが高いか。

[3] 得失点差 +83

 これもPSGの15-16シーズンの記録。そして今季は前半戦終了時ですでに「+43」であるから、新記録が生まれる可能性は十分にある。このシーズンは年間の総失点数も「19」と、国内新記録を樹立したほどの鉄壁ディフェンスだったのに対し、今季は前半戦ですでに15失点している。それでも得失点差が伸びているということはつまり、得点力は今季のほうが15-16シーズンより勝っているということだ。

[4] 総勝ち点 96

 またまたPSGの15-16シーズンの記録(いかにこの年のPSGが独走状態だったか想像がつくことだろう)。今季は前半戦終了時で50ポイントだ。ちなみに15-16シーズンは、準優勝のリヨンに31ポイント差をつけ、これも国内ベスト記録となっている。

[5] リーグ年間総ゴール数 102

 これは1959-60シーズン、いまは別名称のクラブとなっているかつてのRCパリが打ち立てたもの。それから約60年間破られていない偉大な数字だが、今季のPSGは前半戦だけで58ゴール決めているから、この大記録が更新される可能性は十分にある。

 この冬のメルカートでのPSGの動きだが、チアゴ・モッタに替わる人材として、チェルシーでプレーするエンゴロ・カンテを狙っていると報じられている。しかしチェルシーはそうやすやすとこの名ボランチを手放すことはないだろう。ルーカス、ハビエ・パストーレらは逆に新天地へと羽ばたく可能性大。

熾烈な争いになりそうな「2位争い」

【見どころ2】
準優勝は誰の手に?

 すでにPSGの一頭レース状態となっている今季、熾烈な争いになりそうなのは2位争いだ。前半戦のトップ5は次のとおり(カッコ内は勝ち点)。

1. PSG (50)
2. モナコ (41)
3. リヨン (41)
4. マルセイユ (38)
5. ナント (33)

 マルセイユが一歩後退したが、前半戦はモナコ、リヨンと、三者が同勝ち点で並ぶことも多かった。圧倒的な戦力差があるPSGに次ぐ栄誉ある2位、そしてチャンピオンズリーグ出場権が得られる3位。この2つのイスを三者で争う戦いは最後までもつれこみそうだ。

 ディフェンディング・チャンピオンのモナコは、ムバッペ、ティエムエ・バカヨコ、ベルナルド・シウバ、バンジャマン・メンディら、昨季の主力をごっそり失いながらも大崩れすることなく上位をキープしているのは立派。

 ラダメル・ファルカオが前半戦で15得点とチームの全ゴールの3分の1を担い、文字通りエース級の活躍をしている。ファルカオは夏のW杯ではコロンビア代表として日本と対戦する。今季快調な彼は日本代表にとって脅威の存在だ。

 3位のリヨンは、今季新たに入団したマリアーノを筆頭に、ナビル・フェキール、メンフィス・デパイと、攻撃陣がコンスタントに点をとっていて、オフェンスがよく機能している。この冬のメルカートでは「夏に離脱する可能性、あるいは来季以降をふまえた補強をする」とオラス会長は話している。

 それに、さすがはひと昔前にリーグ7連覇を達成したクラブなだけあって、安定したパフォーマンスを継続できる能力は高い。

 4位のマルセイユは、昨夏に獲得した2人のアタッカー、バレリー・ジェルマンとコンスタンチノス・ミトログルーが、前半戦はそれぞれ4得点、2得点と、鈍い滑り出しだった。

 ミトログルーに関しては、ペースやリズム感を見る限りここでのプレーはやや厳しいか、という印象があるが、一昨シーズン、昨シーズンともに2桁ゴールでニース、モナコの躍進に貢献したジェルマンは、徐々に得点感覚が戻ってきている様子。後半戦に期待できそうだ。

 その他新加入組では、ウォルフスブルグから獲得したブラジル代表のMFルイス・グスタボは、攻守両面でチームを支える屋台骨となっている。

 そして、入団2シーズンめの酒井宏樹は、右サイドバックでレギュラーの地位を確立しただけでなく、最近は人材不足の左サイドバックを任されるなど、監督から厚い信頼を受けている。後半戦初戦のレンヌ戦でも、ゴールライン際で相手のゴールをクリアする超ファインセーブを披露して、メディアからも絶賛された。

「最終ラインでよりクリエイティブになること。自らゴールを決めに行くこと」をルディ・ガルシア監督は今後の課題に挙げているが、酒井自身もそれについては意識して臨んでいる。今季はEL第1節のコニャスポール戦など惜しいシュートチャンスもあったから、後半戦では待望の初ゴールも見られるかもしれない。

レギュラーとしてプレーしそうな川島

【見どころ3】
メスの残留なるか?

 開幕から5連敗で、序盤から最下位を定位置になっているメス。前半戦終了時点で、残留圏内17位のトゥールーズとの間には勝ち点差が8ある。昨季もメスは、前半戦を降格圏内の18位で終えたが、後半奮起して最終的には14位で終えた。

 その、終盤の降格の危機もあった大事な時期に登板して残留に貢献したGK川島永嗣は、今季は昨年第1GKだったトマ・ディディヨンと交互に出場し、12月のラスト2戦で2連勝、年明け後の初戦であるフランス杯(9回戦、ラウンド64)にも勝利、そしてリーグアンの後半戦初戦(対ディジョン戦)もドローと、年末から無敗をキープしている。19節のストラスブール戦では3-0とクリーンシートも実現した。

 ディディヨンが椎間板ヘルニアの手術でしばらくプレーから遠ざかることもあり、後半戦は前半のような2、3試合ごとにGKが替わる不安定さは解消され、川島がレギュラーGKとしてプレーすることになる。勝ち点差は厳しいが、残留は決して不可能ではない。彼らがどこまで挽回するかは見ものだ。

 後半戦の初戦では、マルセイユの酒井宏樹もメスの川島永嗣も先発フル出場。マルセイユはレンヌに敵地で0-3の快勝。メスもアウェイで、ディションに1-1で引き分けた。半年後にW杯を控えた大事な時期、日本代表のレギュラーである酒井と川島がコンスタントに試合出場を果たしているのは朗報だ。

 両チームとも、この後半戦にかかっているものは大きいだけに、その一員として奮闘する彼らのコンディションやパフォーマンスもきっと、良い方向に上がっていってくれることだろう。

(取材・文:小川由紀子)