香川、CL初戦で今季初出場

 香川真司にとって苦しい状況が続いている。ボルシア・ドルトムントで今季開幕から公式戦4試合連続でベンチ外。新監督を迎えたチームの調子が上がりきらない中で、悶々とした日々を過ごしていた。チャンピオンズリーグでようやく巡ってきたチャンス。逆襲はここから始まる。(取材・文:本田千尋【ベルギー】)

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 心は折れていなかった。

「自信はある」

 試合後、香川真司は力強く語った。9月18日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)、グループAの初戦。ボルシア・ドルトムントは、クラブ・ブルージュを1-0で退けた。辛勝だった。

 アウェイに乗り込んだドルトムントは[4-2-3-1]の布陣でベルギー王者との一戦に臨んだが、後方でボールを回せても、効果的にアタッキングサードに入っていくことはできなかった。

 まずはベンチから試合を見た香川が振り返る。

「やはり引かれた時っていうのは、非常に苦労している。それはブンデスリーガもそうですし、ましてやこういう(CLの)舞台だったら、相手もインテンシティ高いですし、非常にコンパクトで守備が整っていたので、なかなか崩し切れてなかったと思いますし。まあ、僕たちもやっぱりまだ新しい監督になったばかりの中で、修正、課題であったり、そういうものが非常に出ているんじゃないかなと思います」

 常々ルシアン・ファブレ監督が「時間が必要」と語っているように、まだまだドルトムントは戦い方を模索している。例えばクラブ・ブルージュ戦での中盤は、ダブルボランチにユリアン・ヴァイグルとアクセル・ヴィツェル、トップ下にマリオ・ゲッツェという構成だったが、これは今季初の組み合わせだ。そして背番号23が、ゲッツェに代わって62分から途中出場した。

香川が試合に出て「改めて感じた」こと

 クラブ・ブルージュ戦で与えられたおよそ30分間と、トップ下のポジションで、香川が十分なインパクトを残したとは言い難い。クリスティアン・プリシッチ、マルコ・ロイスら旧知の仲間たちとの連係で敵のゴールを脅かそうとしたが、もう一つ精度を欠いた。

 一方、試合の中でヴィツェルとの共演は初めてのことである。香川の語る「どこから攻めにいくのか、そこの意思統一」など、イメージの共有が十分ではない未完のチーム状態においては、そもそも力を発揮することは難しかったかもしれない。加えて香川は、今季これまで公式戦4試合連続ベンチ外だった。

 香川自身、「改めて感じた」ことがあるという。

「今日、改めて感じたのは、試合に出ないとコンディションは上がってこないし、こういう雰囲気の中、こういう激しい戦いの中でしか感じられないものは非常に感じるので、こういうものを得るためにやっぱり試合に絡み続けないと。何試合かに1回チャンスをもらっている状況では非常に難しいと思うので、継続していくのは、非常に重要になっていくと思います」

 自身のコンディションを上げることだけでなく、新加入選手も含めた周囲との連係も、「試合に絡み続け」ることで得られるものだろう。そして「何試合かに1回」の出場では、「激しい戦いの中でしか感じられないもの」を得ることは難しい。力を証明し、インパクトを残すためにも、「試合に絡み続け」る必要があるのだ。

 香川の気持ちは前を向いている。

「一応、(監督からベンチ外について)説明はありますけど、まあでもここでもう話すことではないし、僕はもう、次に向かってやるしかないと思っているんで。なので、振り返る必要はないし、自分の中で消化するところは消化して、受け入れるところは受け入れて、もちろんそれが難しいものであるのは現状ありますけど、ただその状況を変えるのは自分以外他でもないと思っているし。まあ、でもそこまで焦る必要はないのかなと。それくらい、自分の自信はあるんで。一日一日やっていくだけかなと思います」

「忍耐強くやればやるほど自分は成長する」

 もちろん4試合連続ベンチ外は、簡単な状況ではなかった。

「ただ、ベンチ外というのは非常に、こんなに続くことはないですし、理由もなかなか明確ではないので、そこの葛藤はありますけど、ただ、後ろ向きになったり、ネガティブになったりすることだけは常に避けながら、その中でやれることをやる、そこに対する自信は非常にある。辛抱強くやれれば、忍耐強くやればやるほど自分は成長する。そこは消化している。

ただでさえチームのメンバーは多いのでね、今。選手が新しく入って、監督も変わって、1からスタートになるのは当然ですし。来たのも代表クラスの選手、層は厚いのは自分も十分、分かっている。なのでそこの競争に打ち勝っていくだけだと思っている。そういうマインドで非常に今はやっている」

 一方、ワールドカップのようなビッグトーナメントの後は、気持ちを高めるのが難しいところがあるのだそうだ。

「ただ、やはりね、ワールドカップの後、4年前もそうですけど、非常に難しい、ああいう大きな大会の後でまたコンディション上げて、モチベーション高めてやっていくという意味では、こういうビッグな大会のあとは非常に苦労するのは経験上あるので、ゆっくり時間をかけながら向き合っていきたい」

 CLの初戦、クラブ・ブルージュ戦で、ようやく今季のスタートラインに立った香川。ロシアワールドカップが終わって2ヶ月以上の月日が経った。再び気持ちは昂ぶり始め、戦闘意欲に溢れている。

(取材・文:本田千尋【ベルギー】)