英国人が見たパナマ戦

 日本代表は12日、キリンチャレンジカップでパナマ代表と対戦し、3-0で勝利した。この試合中、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

「森保監督はまだ新しい選手を試してる」「冨安や三竿はチャンス」

――パナマ戦は森保監督体制になって2戦目ですね。今日のスタメンの注目ポイントはどこになりますか?
「メンバーを見ると、やっぱり森保監督はまだ新しい選手を試したいという印象があるね。でも、今のところセンターバックとボランチは少し不確定なので冨安や三竿はチャンスだね」

――中島や堂安などコスタリカ戦で印象的なプレーを見せていた選手がベンチスタートとなりました。
「そうだね。でも吉田や長友もそう。多分次のウルグアイ戦では森保監督が今考えてる“ベスト”なメンバーで挑むのかもしれない」

――今回からW杯をプレーした欧州組が復帰したので、若手との融合にも注目ですね。
「それはそうかもしれないけど、個人的には2つのグループではなくて“代表選手”という観点だけで考えたいね」

――今日が代表デビュー戦となった19歳の冨安についてはどういう評価ですか?
「アビスパの時から僕が好きな選手。守備ももちろん堅いけど、それ以外にもボールを持った時の能力が高い。若い頃から冷静にプレーできるのは珍しい。特にディフェンダーにとってはね」

――パナマ代表についてはどういう印象ですか?
「アグレシッブ。W杯では本当に危ないタックルがあった。今日は親善試合だけど、そのようなアプローチが来れば少し怖いね。日本のチームは怪我しないように!」

――ショーンさんは日本全国のスタジアムで取材を行ってきたと思いますが、今日の試合会場であるビッグスワンはどういう印象ですか?
「まあまあだね。デザインはカッコイイけど、陸上トラックが残念…」

「南野はいろんな面で成長した」「正直に言えば何もない試合」

――試合開始から20分が経過しましたが、ここまでの展開はどういう印象ですか?
「あまり動かないね…。ボールはほとんどミドルサードにしかない」

――22分、ディフェンスラインを抜け出した室屋から決定機を迎えましたが、シュートには至りませんでした。
「いやー室屋、それは打った方がよかったね。パスも雑すぎた」

――前半も30分を過ぎましたが、ほとんど動きがない試合ですね…。
「親善試合っぽすぎる!笑」

――森保監督はGKもまだレギュラーを決めていないように見えますが、ショーンさんは誰がいい思いますか?
「中村航輔が一番いいかなと思うけど、怪我が少し心配だね…。権田もいいGKだと思うけど、正GKは少し難しいかな」

――42分、日本が先制点です! 青山からの縦パスを受けた南野が相手DFを背負いながらも巧みにターンしてシュートを流し込みました。南野はこれが代表2戦連続ゴールとなります。
「体の強さと冷静なフィニッシュが印象的だね。やっぱり何年もヨーロッパでプレーすると分かる。いろんな面で成長した」

――前半は南野のゴールで1-0のリードで終えました。ここまでの印象はどうですか?
「まあね…。正直に言えば何もない試合だね。でも、このような内容でリードを奪えることは良いこと」

――ここまで印象に残った選手を挙げるとすれば誰になりますか?
「前半は特にいないけど、青山と三竿はボランチで良いバランスを保った。パナマの攻撃陣はあまり余裕がなかった。原口も常にポジティブだったね」

「北川が代表レベルでどれだけできるのか気になる」

――後半の注目はどこになるでしょうか?
「もう少しディフェンスラインを上げてほしいね。パナマの背後をもっともっと攻めた方がいいと思う」

――日本はハーフタイムでの交代はないようです。
「60分からかな…」

――誰が見てみたいですか?
「もちろん、中島だね。そして柴崎もチャンスメイクができるから見てみたい」

――後半もなかなか動きがない展開が続きますね…。
「だね。笑 でもこれからメンバー交代がある」

――北川が投入されるようです。今Jリーグで最も勢いのある選手のひとりですね。
「そうだね。彼が代表レベルでどれだけできるのか気になる」

――北川はこれが代表デビュー戦ですが、ショーンさんはどう評価しますか?
「正直に言えば、Jリーグでは良い選手だったけど、今まで代表でチャンスがあるタイプではなかったかな。でもまだ若いし最近は点を取ってるからこのチャンスを与えるのは悪いことではないと思う」

――交代の直前に日本に追加点です。室屋のクロスから最後は伊東が押し込みました。伊東も南野に続いて2試合連続ゴールです。
「ゴールはゴールだけど、ちょっとラッキーだったね。本人も決めた瞬間に笑ってたから分かってると思う。笑」

――伊東が後ろから激しいチャージを受け、足首をひねってしまったようです。このまま交代となりました。
「言った通り、パナマはアグレッシブだね…。レイソルファンは怒りそう」

「川又のゴールはラッキー。ファーストタッチは良くなかったけど…」

――試合の終盤、原口のスルーパスから最後は川又がねじ込みました。相手DFに防がれたように見えましたが、ボールはそのまま転がりながらゴールインしました。
「うわ、これは伊東のゴールよりもラッキー! オフサイドかなと思ったけどね」
(※編注:その後、川又のゴールは正式記録ではオウンゴールと訂正された)

――でもこの粘り強さは川又の持ち味でもありますね。
「そうだね。ファーストタッチはあまり良くなかったけど…。原口のアプローチとアシストも良かった」

――柴崎が投入されましたが…。
「4分しか残ってないね!」

――所属のヘタフェでも出場機会を得られていないようです。
「それは困る。代表のことも考えると移籍した方がいい。もしアジアカップに行きたければね。でもそれまで時間がないから移籍してもギリギリになりそう」

――試合が終わりました。90分を通じてどのような印象でしたか?
「全然エキサイティングなゲームではなかったけど、2試合連続で3-0で勝利して、そして無失点で終えたのは良かった」

――ショーンさんが選ぶこの試合のMOMは誰ですか?
「原口かな。今日も彼は自分のクオリティを見せたと思う」

――森保ジャパンになって若い選手や新しく入った選手が活躍してます。これからはロシア組よりも若手が中心になるのでしょうか?
「そうなると思う。特に長谷部と本田がいなくなったのでボランチ (柴崎? 遠藤? 三竿?) と“チームの顔”(南野? 堂安? 中島?) の競争は注目したい」

「W杯4強に進出したかったらウルグアイを倒さなければ…」

――パナマはW杯出場国ではありましたが、日本の対戦相手のチョイスとしてはどうだったのでしょうか?
「これは少し問題になるかもしれない。ヨーロッパではネーションズリーグが始まったので、ヨーロッパの代表チームは親善試合のウィンドウでもヨーロッパ同士の試合ばっかりになって日本代表はそういったチームと戦う機会は前より少なくなる。そして対戦できるチームの可能性も少なくなる。

 だから南米やアジアやアフリカのチームとの試合しかなくなるかもしれない。もちろんブラジルやエジプト等は強いけど、現在の世界のサッカーを見るとやっぱりヨーロッパのチームが最も強い。そういったチームと戦わないと日本にとってマイナスになると思う」

――次の対戦相手であるウルグアイは世界屈指の強豪ですが、やはりこの試合のメンバーが森保ジャパンのベストメンバーということになるのでしょうか?
「多分、森保監督もまだ本当のベストメンバーを決めていないと思うけど、ウルグアイ戦では今までで一番ベストに近くなると思う。吉田、酒井、長友は先発なりそうだから、これからの“森保ジャパン”がどんな形になるかがもう少しはっきりするかな…」

――ウルグアイ戦はどんなことが得られる試合になるでしょうか?
「僕はいつも言ってるけど、自信でプレーしないといけない。相手はもちろんトップレベルだし、カバーニやゴディンなどワールドクラスの選手がいる。だけど日本はホームで、そしていつもW杯でベスト8やベスト4を目指してると言ってるからね。もしそこまで進出したかったらウルグアイのような相手を倒さなければならない…」

――コスタリカ戦では天野や守田、そして今回は北川や三竿など森保監督はJリーグで結果を残した選手を呼んでいますが、これはJ選手のモチベーションを上げることになりそうですね。
「その通り。試合前に言った通り、代表は“国内組”と“海外組”の2つのグループじゃなくて、“代表”になれば良いと思っている」

――ありがとうございました! ウルグアイ戦もよろしくお願いします!

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。