ソン・フンミン、CL通算12得点目

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグが現地時間17日に行われ、トッテナムはマンチェスター・シティと対戦。トッテナムはアウェイに乗り込み、激しい乱打戦の末にこの一戦は落としたが、アウェイゴールの差で準決勝進出を果たした。この日も輝いたのはソン・フンミン。彼の立ち上がりの連続弾がチームの方針を決めたと言える。(文:青木務)

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 1stレグを1-0で勝利したのはトッテナムだったが、準決勝に進むのはマンチェスター・シティだと多くの人が思ったのではないか。トッテナムはその試合でハリー・ケインを負傷で失うなど、万全の態勢でアウェイに乗り込むことができなくなっていた。だが、大黒柱を失っても、チームには頼れる男がいた――。

 チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ。シティが開始わずか4分で試合を動かす。右サイドのケヴィン・デ・ブライネがセルヒオ・アグエロとのパス交換から中に持ち込み、相手を引きつけておいてPA大外のラヒーム・スターリングへパス。スターリングは右足で巻くシュートを放ち、ゴール右隅へ決めた。

 堅守が売りのトッテナムはあっという間に先制を許したが、合計スコアはまだタイ。焦ることはなかった。すると7分には打ち返す。相手CBの間で動きながら、虎視眈々と狙ったソン・フンミンがこぼれ球に反応。右足で流し込み同点とした。

 さらに3分後、シティのCBエメリック・ラポルトのトラップが大きくなったところをルーカス・モウラが奪って持ち込む。クリスティアン・エリクセンを経由すると再びソン・フンミンが輝く。右足を振り抜きネットを揺らした。ソン・フンミンはCL通算12得点目とし、アジア人最多得点となった。

 打ち合いの様相を呈したプレミア勢対決。ソン・フンミンのゴールの1分後にシティが同点に追いつくと、21分にはデ・ブライネのクロスをスターリングがフィニッシュし逆転に成功。トッテナムとしてはシティを勢いに乗らせたくなかったが、それでもまだアウェイゴールで優位に立っていた。

リードされてもバランスは崩さない

 トッテナムは41分、ムサ・シソコが足を痛めて負傷交代を余儀なくされる。代わりにフェルナンド・ジョレンテを投入。最前線に入り、トップ下にルーカス・モウラ。デレ・アリがボランチに移った。

 後半に入ってもシティの攻勢は止まらない。しかし、トッテナムも堅守で対抗。押し込まれながらもGKロリスのファインセーブを見せ、一人ひとりが最後までボールに食らいついた。そして、カウンターを発動すればソン・フンミンが駆け上がり、ジョレンテもゴールを狙い、エリクセンは遠目から狙った。

 ボールの握り合いでシティに挑んでも分が悪く、一方で堅守速攻はトッテナムの武器でもある。自分たちのストロングポイントを出すという信念は、59分にこの日4点目を奪われても変わらなかった。

 2-4とされたトッテナム。シティは1stレグでPKを止められたアグエロにゴールが生まれ、さらに勢いづきそうだった。トッテナムはこのままだと敗退となるが、攻撃に目一杯舵を切ったわけではなく、バランスは崩していない。エリクセンがトップ下に入るなど、ゴールへの姿勢は示しつつ、それでも全体としてやるべきことは統一されていた。

 すると73分、左CKを得ると味方のボールにジョレンテが走り込み、腰で押し込んだ。ハンドの可能性もあったためビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が採用されたが、その確認を経ても得点の判定は覆らず。価値あるアウェイゴールを得たトッテナムだが、この得点を巻き戻すと、ソン・フンミンが重要な役割を遂行したことがわかる。

ソン・フンミンへの期待感

 粘り強く戦い、少ないチャンスで仕留める。そうした戦いに活路があることは序盤でわかっており、それを示したのがソン・フンミンだった。この日早々に2点を決めており、この韓国代表が何かを起こしてくれるという期待感はチーム全体にあったのではないか。特に2点目は、ルーカス・モウラが奪う瞬間、さらに言えばラポルトのコントロールが大きくなった瞬間にはゴールに向かおうとしており、一瞬を逃がさぬよう集中していた。

 そして72分、右サイドのトリッピアーにボールが渡ると、ソン・フンミンはPA内右へフリーラン。パスを呼び込むとGKに当ててCKを獲得した。そして、2本目のCKでジョレンテがネットを揺らしたのだった。

 後半アディショナルタイム。エリクセンが後ろに出したパスが引っかかり、相手に渡る。そして、アグエロのラストパスをスターリングが決めてシティがネットを揺らした。しかし、VARによりオフサイドの判定。トッテナムは肝を冷やしたが、試合はこのまま終了。2ndレグこそ敗れたものの、初の準決勝進出を果たした。トッテナムにとって、こんなに嬉しい負けはないだろう。

 準決勝の相手はアヤックス。将来のスター候補が居並ぶヤングガンズは決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリーを、準々決勝でユベントスを下してベスト4進出を果たした。勢いに自信も肉付けしているはずだが、激闘の末に大きなものを得たのはトッテナムも同じである。

 互いにメガクラブを打ち破ったことによる過信が顔を出さなければ、素晴らしいゲームになるのではないだろうか。

(文:青木務)