アジア杯・GL3試合

 森保一監督の日本代表と五輪代表チームの兼任が発表されてから、約1年半が経過しようとしている。AFCアジアカップ2019では準優勝とまずまずの成績を収めていたが、今年最初の公式戦となったAFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)では、まさかのグループリーグ未勝利に終わり、最下位で大会を去るなど、森保監督への評価は時間が経つごとに低下している。非常に厳しい状況だ。今回は、フットボールチャンネルでお馴染みとなっている「どこよりも早い採点」から、森保監督これまでの歩みを振り返っていく。第3回はAFCアジアカップ2019(日本代表)。

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【日本代表 3-2 トルクメニスタン代表 AFCアジアカップ2019 グループリーグ第1節】

 森保ジャパンにとって初のビッグトーナメントとなったのが、昨年1月に開催されたAFCアジアカップ2019だった。森保一監督はこの大会にMF堂安律、MF南野拓実、DF冨安健洋らを招集。2011年大会以来となるアジア制覇へ向け、海外組中心で今大会に挑んだ。

 しかし、初戦となったグループリーグ第1節のトルクメニスタン代表戦で、森保ジャパンはいきなり苦戦を強いられる。引いた相手に対し攻めあぐねると、27分にMFアルスラン・アマノフに先制点を献上。まさかの1点ビハインドで前半を終えた。

 後半はFW大迫勇也の2ゴールなどで逆転に成功するも、終盤にMFアフメト・アタエフに得点を決められ1点差に詰め寄られる。結果、試合は3-2で終了したものの、森保ジャパンは初戦からアジアの怖さを痛感させられることになった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 5 対アジアの難しさを痛感するも、初戦を勝利で締めた。噴出した課題を力に変えられるか

【日本代表 1-0 オマーン代表 AFCアジアカップ2019 グループリーグ第2節】

 初戦のトルクメニスタン代表戦でなんとか勝利を収めた日本代表は、グルプリーグ第2節でオマーン代表と対戦。先発には負傷中であったFW大迫勇也に代わり、FW北川航也が起用されている。

 森保ジャパンは28分にMF原口元気がPKを沈め先制に成功するも、その後は攻撃面で迫力不足を露呈。守備陣は安定感を誇ったが、1トップに入った北川が機能せず、追加点を奪う気配が感じられなかった。

 試合は原口の1点を守り切った日本代表が1-0で勝利。1試合残しての決勝トーナメント進出を決めた。ただ、攻撃面では多くの課題を残すなど、不完全燃焼感は否めなかった。エース・大迫への「依存」から脱却する糸口を見いだせなかったのは反省点だ。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 5.5 初戦の反省を生かし、攻守の切り替えは改善された。攻撃では裏狙いを徹底

【日本代表 2-1 ウズベキスタン代表 AFCアジアカップ2019 グループリーグ第3節】

 すでに決勝トーナメント進出を決めていた森保ジャパンは、グループリーグ第3節のウズベキスタン代表戦で先発を大幅に変更。FW武藤嘉紀、MF伊東純也、MF乾貴士などがスタメンに名を連ねた。

 試合が動いたのは40分、ハーフウェーライン付近から出たスルーパスにFWエルドル・ショムロドフが反応すると、最後は右足のアウトサイドでシュート。これがゴールネットに突き刺さり、ウズベキスタン代表が先制に成功した。

 しかし、日本代表はすぐに同点に追いつく。43分、右サイドのDF室屋成のクロスに武藤が反応。ボールを頭で合わせ、1点を返した。

 さらに日本代表は後半、DF塩谷司がスーパーミドルを突き刺し逆転に成功。その後もリードを保った森保ジャパンはそのまま2-1で勝利している。

 内容はお世辞にも良かったとは言えないが、「サブ組」のアピールという部分ではポジティブな要素も多かった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 5.5 スタメンを入れ替えて臨んだ。特徴を出した者もおり、収穫はあった

アジア杯・決勝T1回戦 サウジアラビア戦

【日本代表 1-0 サウジアラビア代表 AFCアジアカップ2019・決勝トーナメント1回戦】

 3戦全勝でグループリーグ首位通過を果たした日本代表は、決勝トーナメント1回戦でサウジアラビア代表と対戦することになった。逆転勝利を収めたウズベキスタン代表戦からは、スタメンを10人変更してこの試合に挑んでいる。

 ゲームが動いたのは20分。日本代表にコーナーキックのチャンスが訪れると、キッカーの柴崎はインスイングの柔らかいクロスをゴール前へ。これに反応したのはDF冨安健洋。頭でゴール左へ流し込み、森保ジャパンがリードを奪った。

 しかし、その後試合のペースはサウジアラビア代表が掌握。ボール保持率を高め、何度も日本代表を深い位置まで押し込む。そんな相手に対し森保ジャパンはカウンターの威力も発揮できず、ほとんどの時間を守備に割くことになった。

 それでも、DF吉田麻也と冨安を中心とした守備陣がなんとか耐え、日本代表は1-0で勝利。準々決勝へと駒を進めることになった。ボール支配率29%、シュート数5本と苦戦を強いられたが、粘り勝ちを見せた。

 ゴールシーン以外はこれといったチャンスがなく、内容は決して褒められたものではない。しかし、こうした難しいゲームを無失点で乗り切れたのは、大きな収穫となったに違いない。優勝だけを目指す森保ジャパンにとっては勝利を奪えたことが、何よりも一番の結果であった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 6 セットプレーからの得点は今後への収穫。後半は疲れからか押し込まれた

アジア杯・準々決勝 ベトナム戦

【日本代表 1-0 ベトナム代表 AFCアジアカップ2019・準々決勝】

 苦しみながらも決勝トーナメント1回戦を突破した日本代表。そんな同チームが準々決勝で激突したのが、ベトナム代表であった。ベトナムは2018年のAFC U-23選手権で準優勝に輝くなど、若手の勢いが魅力的なチーム。アジアの中でもダークホース的な存在であると見て間違いなく、森保ジャパンにとっても決して侮れない相手になった。

 試合は立ち上がりからベトナムペースで進む。日本代表は攻めの糸口を見つけ出すことができず、守備の時間を多く強いられた。それでも、サウジアラビア代表戦でも完封勝利に貢献したDF吉田麻也とDF冨安健洋のCBコンビを中心にDF陣が奮闘。何度か危うい場面はあったが、得点は許さなかった。

 0-0で迎えた後半、日本は前半とは違い攻めに転じる。すると55分、ペナルティエリア内に侵入したMF堂安律が倒されると、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の検証でPKの判定。これを堂安自らが沈め、日本代表が先制点を挙げた。

 その後、同点に追いつこうと猛攻を仕掛けてくるベトナム。しかし森保ジャパンの守備陣は集中力を途切れさせず、無失点で試合を締めた。この結果、日本代表はベスト4進出を果たすことになった。

 サウジアラビア代表戦同様、攻撃陣は課題を多く残すことになった。とくに前半の戦いぶりには不安が募っており、このあたりは森保一監督の采配による工夫があまり見られなかった。

 収穫はやはり守備陣の奮闘だろう。サウジアラビア代表戦に続き、この4バックの安定感がなければベスト4入りは難しかったと言える。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 5 後半に攻撃が加速。ハーフタイムに指示を与えたと思われるが、前半の戦いは不安

アジア杯・準決勝 イラン戦

【日本代表 3-0 イラン代表 AFCアジアカップ2019・準決勝】

 ここまでの5試合をすべて1点差で勝ち抜いてきた日本代表は、準決勝でアジア最強との呼び声高いイラン代表と激突することになった。イランは準決勝までの5試合すべてで無失点を誇るなど、攻守両面で抜群の安定感を持つチーム。森保ジャパンにとっては優勝へ向け、ここが一つの大きな山場となった。

 この試合では、負傷の影響で戦線離脱を余儀なくされていたFW大迫勇也が復帰。森保一監督はさっそく同選手をスタメンに起用している。

 試合は序盤から激しい球際の攻防が続く白熱の展開に。日本代表はテンポの良いパスワーク、イランは1トップのFWサルダル・アズムンにボールを預けるシンプルな攻めでゴールを狙った。が、お互いに守備の強度が高く、前半はスコアが動かないまま終了している。

 試合が動いたのは56分、左サイドでMF南野拓実がボールを持つと、中央目がけてクロス。これに反応した大迫が頭で合わせ、日本が先制点を奪った。

 さらに森保ジャパンはその7分後、南野のグラウンダーのクロスがDFモルテザ・プーラリガンジのハンドを誘発し、PKを獲得。これを大迫が沈め、リードを2点に広げた。

 日本代表は後半ATにもMF原口元気がゴールを奪い、3-0で勝利。ここまで無失点を誇り、アジア最強との呼び声高かったイランを完璧な内容で撃破した。

 ここまで不調だった攻撃陣は大迫の復帰により水を得た魚のように躍動した。背番号15自身も2ゴールと、同選手の活躍なしにはイラン撃破はあり得なかっただろう。守備陣も再び高い集中力を保って無失点に貢献した。攻守両面で、大きな自信を得る結果となった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 6.5 “アジア最強”を相手に集中力の高いゲーム。大きな自信を得る勝利に

アジア杯・決勝 カタール戦

【日本代表 1-3 カタール代表 AFCアジアカップ2019・決勝】

 アジア制覇まであと一歩に迫った森保ジャパン。準決勝ではアジア最強との呼び声高いイラン代表を撃破するなど、ファイナルへ向けての勢いは十分だった。そんな日本代表と優勝を懸けて激突したのは、アジア初制覇を狙うカタール代表だ。

 試合は開始から間もなくして動いた。12分、味方のクロスを収めたFWアルモエズ・アリがバイシクルシュート。これがゴール右隅に吸い込まれ、カタール代表が先制に成功した。

 日本はその後、FW大迫勇也を中心に反撃を試みるが、カタール代表の素早いプレスに悪戦苦闘。フェリックス・サンチェス監督は日本戦へ向け、完璧な対策を施してきた。攻守両面で歯車が狂った森保ジャパンは、27分にMFアブデルアジズ・ハティムに2点目を献上。0-2とリードを許した状態で、後半へ向かうことになった。

 選手交代を行いながらなんとか1点を奪いに出た日本代表は69分、DF塩谷司が縦パスを入れると、大迫がワンタッチでボールを落とす。そこに走り込んだMF南野拓実がGKに詰め寄られるもボールを少し浮かしてゴールへ。ついに1点を返した。

 しかし、その後はゴールが遠かった日本代表。試合終盤にはDF吉田麻也がハンドを犯しPKを献上。これをFWアクラム・アフィフに再びビハインドは2点に。試合はこのまま1-3で終了し、森保ジャパンは準優勝でアジアカップを終えることになった。

 フェリックス・サンチェス監督が用意してきた策は完璧であった。それを上回る策が、森保一監督にはなかった。こういった部分も、この日の勝敗を左右したと言えるだろう。ファイナルという舞台で、森保監督の脆さが出てしまった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 4.5 相手の嫌がることができず、自由を与え過ぎてしまった