E-1サッカー選手権・第1節 中国戦

 森保一監督の日本代表と五輪代表チームの兼任が発表されてから、約1年半が経過しようとしている。AFCアジアカップ2019では準優勝とまずまずの成績を収めていたが、今年最初の公式戦となったAFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)では、まさかのグループリーグ未勝利に終わり、最下位で大会を去るなど、森保監督への評価は時間が経つごとに低下している。非常に厳しい状況だ。今回は、フットボールチャンネルでお馴染みとなっている「どこよりも早い採点」から、森保監督これまでの歩みを振り返っていく。最終回はEAFF E-1サッカー選手権の3試合(日本代表)、AFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)の3試合(U-23日本代表)。

——————————

【日本代表 2-1 中国代表 EAFF E-1サッカー選手権】

 森保一監督はEAFF E-1サッカー選手権に向け、2019年のJリーグ・MVPに輝いたFW仲川輝人ら11名を初招集。また、東京五輪世代の選手を14名招集するなど、比較的フレッシュなメンバーを構成している。東京五輪本大会へ向けての強化はもちろんのこと、近年結果を残せていないE-1で高成績を収めることができるかどうかに注目が集まった。

 そんな森保ジャパンにとって重要な初戦。相手は中国代表であった。森保一監督はこの試合で3-4-2-1のシステムを採用。MF森島司やMF遠藤渓太といった選手が先発に名を連ねている。

 試合は立ち上がりから日本代表がボールを保持する展開に。この日が代表デビューとなった遠藤を中心に左サイドからの攻めを基本とし、中国代表を押し込む。一方で相手にはチャンスを与えないなど、ペースを握っていた。

 そして29分には見事な連係からFW鈴木武蔵がゴールネットを揺らすなど先制点を奪取。1点リードのまま、前半を終えた。

 しかし後半は前線からのプレッシャーを掛けられず、相手に最終ラインの背後を幾度となく狙われる。全体のラインは深い位置まで下げられ、決定機をなかなか作り出せない。70分にはコーナーキックからDF三浦弦太がゴールを奪いリードを広げたものの、どこか物足りなさは残った。

 試合終盤は守備を固めるものの、90分に失点。試合はそのまま2-1で終了しており、日本代表は初戦を白星で終えることにはなったが、内容面で多くの課題が残るゲームとなった。

 森保監督の選手交代を切るタイミングも遅く、試合の締め方も的確ではなかった。攻撃陣はシュート11本放ったものの、枠内に飛んだのはわずか2本。結果は出たが、大きく評価できるゲームではなかったのは明らかだ。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 5.5 3バックを採用し勝利も、内容面は課題が多い。選手交代のタイミングも遅かった

E-1サッカー選手権・第2節 香港戦

【日本代表 5-0 香港代表 EAFF E-1サッカー選手権】

 2-1で勝利を収めた中国代表戦から中3日、日本代表はEAFF E-1サッカー選手権の第2節で香港代表と対戦している。

 森保一監督はこの試合で中国戦から先発メンバー全員を変更。FW仲川輝人、FW小川航基、MF田中碧らがスタートからピッチに立っている。

 力の劣る相手を前に、日本代表は立ち上がりからエンジン全開で挑む。8分にはDF菅大輝が強烈なシュートを叩き込むなど、幸先よく先制ゴールを奪った。

 その後は怒涛のゴールラッシュ。14分にFW田川亨介、26分に小川、前半ATにも小川がゴールを決めるなど、前半だけで4-0と大量リードを奪った。

 後半も攻めに出た森保ジャパンは、58分に再び小川がゴール。リードを5点に広げ、試合を決定づけた。

 その後もボールを保持し、相手にほとんどチャンスを与えなかった日本代表。守備陣も大きな出番がない中、しっかりと集中力を保ち香港代表に得点を与えなかった。試合はそのまま5-0で終了している。

 格下相手にしっかりと複数得点、守備陣も失点を「0に抑えたのは大きく評価できる。第3節の韓国代表との最終戦に大きな弾みをつけた。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 6.5 スタメン総入れ替えで香港を圧倒。2連勝を飾った

E-1サッカー選手権・第3節 韓国戦

【日本代表 0-1 韓国代表 EAFF E-1サッカー選手権】

 中国代表戦、香港代表戦と連勝を飾った森保ジャパン。そんな同チームが最終戦で激突したのは、同じく2連勝を飾っていた韓国代表だった。

 優勝を懸けた大一番で、森保一監督は中国代表戦とほぼ同じメンバーを起用。初戦でゴールを奪ったFW鈴木武蔵や、怪我でチームから離脱したMF橋本拳人の代わりにMF田中碧を先発に送り出している。

 先制ゴールを奪いたかった日本代表だったが、序盤から球際の競り合いで韓国代表を下回り苦戦。ボールを保持しても相手のプレスにハマり、なかなか全体のラインを前に押し上げることができなかった。

 すると28分、日本代表はMFファン・インボムに得点を許しリードを奪われる。その後も相手の勢いに圧倒された森保ジャパンはほとんどチャンスを演出することができず、停滞に陥った。前半は0-1のまま終了している。

 後半は相手のプレスの強度も落ちたことで、日本代表が攻めに転じる時間帯も増えた。途中出場のMF相馬勇紀は幾度となく縦への突破を図り、MF大島僚太も巧みなゲームメイクを見せる。前半から一転、韓国代表を押し込んだ。

 それでも一点が遠かった。チャンスのほとんとがクロスボールからのものであったにも関わらず、森保監督は長身FWの鈴木を下げ小柄なFW仲川輝人を入れるなど意図がわからない采配を見せ、攻撃はまったく加速せず。ゴール前を固める相手を前に、それを崩し切る策もなかった。

 試合は0-1のまま終了。日本代表はまたも優勝の座を韓国代表に明け渡した。力の差は明らかで、森保監督の采配にも大きな疑問が生じた。迫る東京五輪本大会に向け、不安が残るE-1サッカー選手権の締めくくりとなった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一監督 4.5 後半は韓国の勢いが落ちボールを握る展開も崩し切れず。結局変わったのは選手だけで、明確な形は見えなかった

【U-23日本代表 1-2 U-23サウジアラビア代表 U-23アジア選手権B組第1節】

「森保ジャパン」にとって、2020年最初の公式戦となったのがAFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)であった。U-23日本代表はすでに五輪本大会行きを確定させていたとはいえ、アジアのライバル達を相手にどのようなパフォーマンスを見せるのか注目が集まった。

 MF久保建英やMF堂安律などの招集が果たせなかった中、海外組からは唯一、FW食野亮太郎がメンバー入りを果たした。その他は国内組。EAFF E-1サッカー選手権で悔しさを味わった選手も何名かおり、結果だけではなく、選手個々が森保一監督にアピールできるかどうかも重要なポイントになった。

 初戦の相手はU-23サウジアラビア代表。両チームにとって重要となったこのゲームは、立ち上がりからお互い「様子見」といった展開になった。次第に日本がポゼッション、サウジアラビアがカウンターという構図になったが、全体的に動きは少なく、スコアレスで前半を終えることになっている。

 しかし、試合は後半に一気に動き出すことになる。48分、MFアブドゥルラフマン・ガリーブがドリブルで敵陣内を切り裂くと、最後はMFアイマン・アルクライフがゴール。森保ジャパンはまさかの先制ゴールを許す結果になった。

 その8分後に食野が個人で打開し同点弾を叩き込んだものの、それ以降は引いた相手に対し崩し切れない展開が続くU-23日本代表。森保監督は選手交代で流れを変えようとする動きを見せず、逆転する気配がまったくないまま、勝負は終盤に差し掛かった。

 そして悲劇は起きた。85分、DF古賀太陽のバックパスが乱れ相手に拾われると、最後は止めに入ったDF岡崎慎がペナルティエリア内でファウルを犯しPKを献上。これをガリーブに沈められ、U-23日本代表は土壇場で勝ち越しを許す結果になった。

 森保監督は慌ててMF相馬勇紀、FW田川亨介を投入するものの、時すでに遅し。短い時間では流れを変えられるわけもなく、森保ジャパンは初戦を1-2で落とす結果になった。

 1-1の状況で攻めあぐねていた流れを変えられず、選手交代も80分までに一人と、采配のミスが目立った森保監督。勝ち越しのシーンは選手のミスであったとはいえ、判断力の脆さが浮き彫りとなるゲームだった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一 5 80分までに選手交代一人は少ない。流れを変えるならば早い時間に新たな選手を入れるべきであった

AFC U-23選手権・GL第2節 U-23シリア戦

【U-23日本代表 1-2 U-23シリア代表 U-23アジア選手権グループB第2節】

 初戦のU-23サウジアラビア代表戦を落とした森保ジャパンは崖っぷちに立たされた。AFC U-23選手権の第2節、U-23シリア代表戦で敗れるとその時点でグループリーグ敗退が決まるからだ。すでに東京五輪本大会行きが確定しているとはいえ、大舞台でメダル獲得を目指す森保ジャパンとしては、決勝トーナメント行きを逃すという最悪の結末だけはなんとしても避けたかった。

 しかし、森保一監督率いるチームはこの試合でも大苦戦を強いられた。

 試合開始からわずか8分、U-23シリア代表にコーナーキックのチャンスが巡ってくると、蹴り込んだボールはペナルティエリア内中央へ。そこに反応したDF町田浩樹がボールをクリアしようとした際に相手の顔面を蹴ってしまい、これがファウルとされPKを献上。これをFWアブドゥルラフマン・バラカトに決められ、いきなりリードを奪われてしまった。

 ただ、その後はU-23日本代表がボールを保持する展開に。それが功を奏し、31分にはMF相馬勇紀が同点弾を叩き出している。

 後半も主導権を握るのは森保ジャパン。DF橋岡大樹、相馬の両ウィングバックが幾度となく縦への突破を図り、クロスボールからチャンスを演出した。

 しかし、フィニッシュにはなかなか繋がらず。徐々にチーム自体のバランスも崩れていった。中盤での連係、カウンターへの対応など、U-23シリア代表を前に後手に回る要素はいくつもあった。

 そして86分、U-23シリア代表にカウンターを許すと、最後はFWアハマド・ダリにゴールネットを揺らされ万事休す。試合は1-2で終了している。

 この結果を受け、森保ジャパンは1試合を残しての敗退が決まった。停滞する攻撃、カウンターへの対応、効果を発揮できない采配。ここまで露呈してきた課題は、こういった重要な試合でも改善されることはなかった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一 4.5 引いた相手に対し、攻撃の工夫が見えず。相馬の個人技による1ゴールのみで2連敗と、いよいよ限界が見えてきた

AFC U-23選手権・GL第3節 U-23カタール戦

【U-23日本代表 1-1 U-23カタール代表 U-23アジア選手権グループB第3節】

 まさかのグループリーグ2連敗で敗退が決まった森保ジャパン。よって、このグループリーグ第3節、U-23カタール代表戦は“消化試合”となってしまった。

 しかし、森保ジャパンとしては勝って大会を去りたいところ。決勝トーナメント行きをすでに逃しているとはいえ、意地を見せたい試合になった。

 試合は立ち上がりから森保ジャパンがボールを保持する展開に。U-23カタール代表はリスクを冒して攻めに出てこず、ほとんどU-23日本代表のペースで時間が進んだ。

 しかし、48分にU-23日本代表は不可解な判定によってMF田中碧を退場で欠いてしまう。前半こそ0-0で終えたが、厳しい状況に追い込まれた。

 それでも、森保ジャパンは72分にFW小川航基が先制ゴールを奪取。一人少ないながらも意地を見せ、リードを奪った。

 ただ、そのわずか6分後。U-23日本代表はMF齋藤未月のファウルを取られ相手にPKを献上。これを沈められ、同点に追いつかれた。試合はそのまま1-1で終了している。

 一人少ない中でも意地を見せたU-23日本代表であったが、不可解な「アジアの笛」にも惑わされ不運なドローに終わってしまった。しかし、AFC U-23選手権で3試合未勝利に終わったのは事実。森保監督の進退が問われる結果となった。この試合の森保監督の採点は以下の通り。

森保一 5.5 主審の不可解な判定により不運なドロー。ただ、3戦未勝利で大会を終えたのは事実だ