10年ぶりに古巣へ復帰

 2019シーズンのJリーグは全日程が終了している。現在は2020シーズンに向け、各クラブが新戦力の補強に力を注いでいるところだ。象徴と呼ばれた選手が新天地を求めるなど、移籍市場は活況を呈している。フットボールチャンネルでは、移籍を決意した選手たちを紹介していく。今回はこの5人(随時、追加紹介していく)。

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MF:水沼宏太(みずぬま・こうた)
生年月日:1990年2月22日(29歳)
昨季リーグ戦成績:31試合出場/7得点2アシスト
移籍先:セレッソ大阪横浜F・マリノス

 横浜F・マリノスの下部組織出身であるアタッカー。同クラブでは2007年にトップチーム昇格後、なかなか出番を掴めず苦しい日々を送っていたが、その後に移籍を果たした栃木SCやサガン鳥栖では出場機会を得ることに成功し、着実にレベルアップを果たしていた。2016年にはFC東京へ移籍、その翌年にはセレッソ大阪に加入するなど、J1での経験値もしっかりと積み上げた。

 昨季もセレッソで不動の存在としてプレーした水沼宏太は、豊富な運動量と精度の高いクロスを武器に右サイドで大きく躍動。リーグ戦では31試合で出場を果たしており、7得点2アシストと目に見える数字も残した。リーグ戦での7得点は、2015シーズンの鳥栖在籍時と並んで自己最多となる数字。クラブの5位という成績に大きく貢献したと言えるだろう。

 その水沼は2020シーズン開幕を前に移籍を決断。昨季の活躍を大きく評価し、同選手の獲得を発表したのはJ1覇者のマリノスであった。水沼にとっては実に10年ぶりとなる古巣への復帰。背番号は18に決定している。今年で30歳となるアタッカーは、J1リーグ連覇、そしてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で上位進出を目指すマリノスにおいて起爆剤となることができるか。

日本へ戻ってきた韓国代表守護神

GK:キム・スンギュ(韓国代表)
生年月日:1990年9月30日(29歳)
昨季リーグ戦成績:12試合出場/19失点(ヴィッセル神戸)、16試合出場/21失点(蔚山現代)
移籍先:蔚山現代→柏レイソル

 驚異的な反射神経を武器にシュートストップを連発し、幾度となくチームをピンチから救い出すことができる韓国人GK。守備面での活躍はもちろんのこと、素早いスローイングや正確無比なキックでカウンターの起点にもなれるなど、攻撃面でも貢献できる選手だ。クラブチームのみならず韓国代表としても活躍しており、現在までに48試合出場を誇る。2018年に行われたロシアワールドカップメンバーにも選出されていた。

 そのキム・スンギュは2016年にヴィッセル神戸へ加入し、Jリーグ初参戦を果たしている。新天地1年目からレギュラーとして活躍した同選手は、ピッチの上で決定的なセービングを見せ続け、幾度となく救世主になるなど大きく躍動。日本の地でもその実力をフルに発揮し、不動の存在となっていた。しかし、昨季はクラブの不調とともに自身の出場機会も減少。チームの外国人枠の問題もあり、シーズン途中に蔚山現代に復帰していた。

 しかし今月10日、今季より明治安田生命J1リーグ復帰を果たしていた柏レイソルがキム・スンギュを完全移籍で獲得することを発表。韓国代表GKは約半年で再び日本の地でプレーすることになった。J1残留、そしてその先の上位進出を目指す柏にとって、J1リーグ通算107試合出場を誇る同選手の加入は大きな補強になったと言えるだろう。再びJリーグの舞台で躍動する姿を見たいところだ。

最終ラインのドリブラー

DF:山根視来(やまね・みき)
生年月日:1993年12月22日(26歳)
昨季リーグ戦成績:31試合出場/2得点1アシスト
移籍先:湘南ベルマーレ川崎フロンターレ

 桐蔭横浜大学卒業後、2016年に湘南ベルマーレに加入したDF。プロ1年目はリーグ戦で出場機会を得ることはできなかったが、翌2017シーズンは3バックの右CBにコンバートされ才能を開花させた。その後完全にレギュラーに定着した同選手は、攻守両面で絶大な存在感を放ち、2017シーズンにクラブのJ2優勝&J1昇格に貢献。翌2018シーズンはYBCルヴァンカップ優勝に尽力するなど、湘南の「顔」的な存在になっていた。昨季もリーグ戦で31試合に出場し、DFながら2得点1アシストの成績を収めている。

 大学時代までサイドアタッカーであった山根視来の特徴は、最終ラインから果敢に飛び出して仕掛けるドリブル。緩急を巧みに使い分けて次々と相手選手を剥がしていくことができ、狭いスペースにも躊躇することなく侵入していける技術を持っている。また、サイドバックとセンターバックの両方でプレーできる器用さも兼ね備えており、チーム戦術にも柔軟に対応できる。Jリーグの中でもタイプの少ないDFだと言えるだろう。

 その山根は昨年12月25日、湘南から川崎フロンターレに完全移籍することが正式に発表されている。新天地での背番号は湘南でも身に付けた13番に決定した。山根はプロ入り後、湘南以外のチームでプレーするのは初めてのことになるが、果たしてどのような活躍を見せるか。王座奪還を狙う川崎Fでのパフォーマンスに注目だ。

ボールハンター

MF:稲垣祥(いながき・しょう)
生年月日:1991年12月25日(28歳)
昨季リーグ戦成績:24試合出場/4得点0アシスト
移籍先:サンフレッチェ広島名古屋グランパス

 日本体育大学を卒業後、2014年にヴァンフォーレ甲府でプロデビューを果たしたMF。加入1年目からリーグ戦19試合に出場した稲垣祥は、翌2015シーズンにリーグ戦29試合出場を果たすなどレギュラーに完全定着すると、2016シーズンにはリーグ戦33試合出場で5得点の成績を収めるなど才能を開花させた。その活躍が評価され、2017シーズンにはサンフレッチェ広島へ移籍を果たしている。

 広島では加入当初こそなかなか出番を掴むことができなかった稲垣であるが、シーズン終盤にはスタメンに定着。甲府時代にも指導を受けた城福浩監督が就任した2018シーズンはリーグ戦33試合に出場するなど、持ち味であるハードワークとボール奪取の上手さを披露し、チームの2位躍進に大きく貢献している。昨季は開幕当初こそ怪我の影響で出場時間を伸ばすことができなかったが、シーズン中盤からは再びスタメンの座に戻り、チームのために汗をかき続けていた。

 しかし、広島には欠かせないピースであった稲垣だが、2020シーズンはクラブを移すことになった。獲得を正式に発表したのは名古屋グランパス。完全移籍での加入となった。中盤でのハードワーク、そしてそこから前線に飛び出して発揮する高いシュートセンスは、名古屋でも生きるか。28歳が挑む新たな冒険から目が離せない。

欧州での経験を日本の地で生かすか

FW:豊川雄太(とよかわ・ゆうた)
生年月日:1994年9月9日(25歳)
今季リーグ戦成績:16試合出場/1得点1アシスト
移籍先:KASオイペン→セレッソ大阪

 昨年12月27日、ジュピラー・リーグ(ベルギー1部)所属のKASオイペンは、FW豊川雄太がセレッソ大阪に移籍することをクラブの公式サイトで発表している。リオ五輪世代の一人でもある同選手がJリーグに参戦するのは、ファジアーノ岡山に在籍していた2017シーズン以来。昨季は5位と好成績を収めたセレッソで、どのようなパフォーマンスを披露するか今から注目を集めている。

 2018年1月にオイペンに移籍し、自身初となる欧州クラブでのキャリアをスタートさせた豊川。2017/18シーズンのリーグ最終節・ムスクロン戦では途中出場ながら3得点1アシストの活躍を見せるなど、奇跡の残留の立役者となり、新天地1年目ながらベルギー中にその名を轟かせた。翌2018/19シーズンも同クラブで主力としてプレーした同選手は、リーグ戦28試合の出場で7得点1アシストの成績を収めるなど活躍している。しかし、今季はリーグ戦16試合の出場で1得点1アシストという結果に終わっていた豊川。徐々に出場時間も限られるようになり、苦しい時期を過ごしていた。

 オイペンは日本人FWのセレッソへの移籍が決まった際、公式サイトで「彼の献身性、プロフェッショナリズム、親しみやすさ、そしてクラブで素晴らしい試合を演じたことに感謝しています」とコメントしていたが、選手本人にとっては厳しい現実となったに違いない。ただ、欧州で培った経験値は無駄にはならないだろう。迫る2020シーズンの開幕。豊川は欧州で味わった悔しさを糧に、日本の地で羽を広げるか。注目だ。