ザルツブルクから世界王者へ

 1月31日をもって、欧州冬の移籍市場が閉幕することとなった。今冬も何名かの大物選手が移籍を決めており、新天地でのプレーには大きな注目が集まっている。今回フットボールチャンネルでは、移籍を決意した選手たちを紹介していく。今回はこの5人(移籍金は『transfermarkt』を参照)。

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FW:南野拓実(日本代表)
生年月日:1995年1月16日(25歳)
今季リーグ戦成績:14試合出場/5得点6アシスト(ザルツブルク)
移籍先:ザルツブルク→リバプール(移籍金:約10億円)

 セレッソ大阪でプロデビューを果たし、2015年より活躍の場をオーストリアに移した日本代表FW。ザルツブルクでは加入から間もなくして攻撃の柱となるなど大きく成長を果たし、クラブのリーグ優勝などに貢献していた。今季もリーグ戦では14試合で5得点6アシストの活躍。チャンピオンズリーグ(CL)でもリバプールやナポリ相手に堂々とした姿勢で挑み、グループリーグ6試合で2得点3アシストの結果を残している。

 そんな南野拓実が日本中を大いに沸かせたのは昨年12月19日のこと。現世界王者であるリバプールが、同選手を完全移籍で獲得することを発表したのだ。現地紙などによると移籍金は850万ユーロ(約10億円)とのこと。チームを率いるユルゲン・クロップ監督はクラブ公式サイトで「これは素晴らしいニュースだ。ワンダフルなサインだね」とコメントするなど、大きな期待を寄せられての加入となった。

 背番号18を身に付けることになった南野は、現地時間5日に行われたFAカップ3回戦のエバートン戦で新天地デビュー。現地時間23日に行われたウォルバーハンプトン戦では、プレミアリーグ初出場も果たしている。

 ただ、まだインパクトを残せているとは言い切れず、出場機会をなかなか伸ばせない状況が続いている。もちろん、プレミアリーグという世界屈指の強度を誇るリーグにいきなり適応できる選手は少ないが、今は我慢の時と言えるだろう。

エル・ピストレロ

FW:クシシュトフ・ピョンテク(ポーランド代表)
生年月日:1995年7月1日(24歳)
今季リーグ戦成績:18試合出場/4得点0アシスト(ミラン)
移籍先:ミラン→ヘルタ・ベルリン(移籍金:約32億円)

 クシシュトフ・ピョンテクの名が世界に広まったのは昨季のこと。KSクラコビアからジェノアに加入した同選手は、セリエAで開幕から7試合連続ゴールを記録するなど大爆発。その活躍が認められ、わずか半年でジェノアに去り、ミランに加入している。

 イタリアの名門へのステップアップを果たしたピョンテクは、イタリアの名門でも活躍。相手の死角に入り、そこから一気にボールに絡む動き出しが冴え、リーグ戦では最終的に18試合で9得点1アシストの成績を収めた。セリエAではジェノア在籍時を含め22ゴールを挙げ、得点ランキングではファビオ・クアリャレッラ、ドゥバン・サパタに次いで3位につけている。

 しかし、今季はポーランド人FWにとって難しいシーズンとなった。背番号9を身に着けるなどエースとして活躍が求められたピョンテクだが、なかなかゴールを奪うことができず。チームの成績も厳しいものとなっており、批判の的となることも多かった。さらに、ミランはその状況を打破するため、今冬にズラタン・イブラヒモビッチを獲得。ピョンテクは元スウェーデン代表FWに、完全に定位置を奪われる形となった。

 そして、今季リーグ戦でわずか4得点という成績に終わったピョンテクは、先月30日、ヘルタ・ベルリンに完全移籍することが決まった。移籍金はクラブ史上最高額となる2700万ユーロ(約32億円)となっている。ジェノアでの活躍からミランでの不振まで、まるでジェットコースターのような時を過ごしたピョンテクだが、ドイツの地で復活を果たすことができるか。

オランダの逸材がプレミア参戦

FW:ステフェン・ベルフバイン(オランダ代表)
生年月日:1997年10月8日(22歳)
今季リーグ戦成績:16試合出場/5得点10アシスト(PSV)
移籍先:PSV→トッテナム(移籍金:約36億円)

 オランダの名門・PSVで印象的な活躍を見せていた逸材。スピードを維持したまま繰り出されるドリブルは抜群の破壊力を秘めており、一度勢いに乗ると止められない選手だ。ゴール前でのラストパスの質やシュート精度も高く、左右両方のウイング、トップ下、CFと攻撃的なポジションであればどこでも対応可能という万能性も魅力的だ。

 日本代表MFの堂安律も所属するPSVで不動のエースとして活躍していたステフェン・ベルフバイン。昨季はリーグ戦33試合で14得点12アシストを記録するなど大爆発し、今季もリーグ戦では16試合で5得点10アシストの結果を残すなど申し分ない働きを見せていた。その活躍を受け、リバプールやマンチェスター・ユナイテッドなども獲得に乗り出していたという。

 その動向に注目が集まっていたベルフバインだが、ついに移籍先が決まった。先月29日、トッテナムが同選手を完全移籍で獲得したことを発表。移籍金は3000万ユーロ(約36億円)とされており、契約期間は2024/25シーズン終了までの5年半となっている。

 ベルフバインは、現地時間2日に行われたプレミアリーグ第25節のマンチェスター・シティ戦でさっそく新天地デビュー。63分にはチームを勝利に導く先制ゴールもマークするなど、ジョゼ・モウリーニョ監督にアピールした。今季はなかなか結果が出ず苦しんでいるトッテナムだが、ベルフバインは今後も救世主となれるだろうか。

ポルトガルの攻撃的MF

MF:ブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル代表)
生年月日:1994年9月8日(25歳)
今季リーグ戦成績:17試合出場/8得点7アシスト(スポルティングCP)
移籍先:スポルティングCP→マンチェスター・ユナイテッド(移籍金:約66億円)

 ポルトガル代表として2018年に行われたロシアワールドカップ出場も果たした攻撃的MF。足下のスキルは抜群で、強烈なミドルシュートでゴールを量産することもできれば、豊富なアイデアを生かして味方のゴールをお膳立てするなど、決定的な仕事を連発することができる選手だ。ボランチからサイドハーフ、トップ下にも適応できるなど、柔軟性も兼ね備えている。

 スポルティングCPでのブルーノ・フェルナンデスは、まさに「王様」そのもの。チームの攻撃を加速させる上で不可欠な存在となっており、これまでにも圧巻のパフォーマンスを見せてきた。昨季はリーグ戦でキャリアハイとなる20得点13アシストを記録。リーガNOSの年間MVPを2年連続で受賞するなど、その実力を発揮した。今季もリーグ戦17試合で8得点7アシストと申し分ない成績を残している。

 そんなB・フェルナンデスには兼ねてよりマンチェスター・ユナイテッドが獲得に興味を示していたが、加入が実現することはなかった。しかし、ようやく決着がついた。ユナイテッドは30日、ポルトガル代表MFを完全移籍で獲得することを正式に発表。移籍金は5500万ユーロ(約66億円)とされている。これは、今冬の移籍市場における最多額である。

 そのB・フェルナンデスは現地時間1日に行われたプレミアリーグ第25節のウォルバーハンプトン戦でユナイテッドデビュー。得点やアシストという結果を残すことはできなかったが、ピッチの中で効果的なプレーを連発するなど、まずまずの活躍を見せた。クラブ公式のMOMにも選出されるなど、期待感は十分。名門復活への切り札となりそうだ。

デンマークの天才がついに移籍

MF:クリスティアン・エリクセン(デンマーク代表)
生年月日:1992年2月14日(27歳)
今季リーグ戦成績:20試合出場/2得点2アシスト(トッテナム)
移籍先:トッテナム→インテル(移籍金:約24億円)

 今冬の移籍市場における目玉であったクリスティアン・エリクセン。トッテナムとの契約が今季終了までとなっていた同選手はシーズン開幕前から移籍を希望しており、レアル・マドリーやバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドへの加入が噂されていた。

 しかし、獲得を決めたのは意外なチームであった。先月28日、今季のセリエAでユベントスやラツィオとの激しい首位攻防戦を繰り広げているインテルが、同選手を完全移籍で獲得することを発表している。契約期間は2024年までの4年半。驚くべきはその移籍金で、なんとインテルは2000万ユーロ(約24億円)という金額で世界屈指のMFを手に入れたのだ。もちろん様々な条件が契約内容に含まれてはいるが、これまでの同選手のパフォーマンスを考えても、24億円という移籍金は安値と言えるだろう。

 組み立てから崩し、フィニッシュと、ありとあらゆる場面で存在感を発揮することができるエリクセン。その巧みなボールコントロールと繊細なタッチで違いを生みだし続けた選手であり、その才能の高さは誰もが認めている。リーグ優勝を狙うインテルにとっては、申し分ない補強になったと言えるだろう。

 エリクセンはすでにコッパ・イタリア1試合、セリエAで1試合に出場を果たしている。今後もアントニオ・コンテ監督の下で主力として起用されるのは明らかで、そのパフォーマンスには引き続き注目が集まる。MFステファノ・センシ、MF二コロ・バレッラ、MFマルセロ・ブロゾビッチらインテルの中盤にはタレントが揃うが、彼らとの連係も今後のチェックポイントだ。