JリーグでプレーするMF

 バルセロナの下部組織は「カンテラ」と呼ばれている。バルサはカンテラ育ちの選手を多く輩出していることで知られており、リオネル・メッシやジェラール・ピケなどもカンテラ出身だ。しかし、中にはトップチームで出番を掴めず、他クラブへ出場機会を求める選手も少なくはない。ここでは、バルサが手放した10人の選手を紹介しよう(市場価格は『transfermarkt』を参照)。

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MF:イサック・クエンカ(スペイン/ベガルタ仙台)
生年月日:1991年4月27日(28歳)
市場価格:100万ユーロ(約1億8000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦30試合出場/4得点12アシスト

 2003年、11歳の時にバルセロナの下部組織に入団。その後、CEサバデルへのレンタル移籍などを経験しながら着実に力を付けたイサック・クエンカは、ジョゼップ・グアルディオラ監督にその才能を見出され、2011年のチャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグ第3節のヴィクトリア・プルゼニ戦でトップチームの公式戦初出場を記録している。その後も出場機会を増やしていった同選手は、2012年にクラブとの契約を2015年まで延長。順調なキャリアを歩んでいた。

 しかし、2012年に膝に大けがを負い出場機会を失うと、バルセロナでの冒険は終わりへと向かう。2013年にアヤックスへとレンタル移籍し、その翌年にはバルセロナとの契約を解除。その後はデポルティーボ・ラ・コルーニャやブルサスポル、グラナダ、ハポエル・ベエルシェバ、レウス・デポルティウなどのクラブでプレーし、2019年にサガン鳥栖へ加入している。そして、Jリーグ参戦2年目となる今年はベガルタ仙台に活躍の場を移した。

ドリブラー

FW:ジェラール・デウロフェウ(スペイン/ワトフォード)
生年月日:1994年3月13日(25歳)
市場価格:2500万ユーロ(約29億7000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦23試合出場/2得点2アシスト

 2003年、9歳の時にバルセロナの下部組織に入団。その後、各カテゴリーで活躍を見せ、順調にステップアップを果たした同選手は、2011年にバルセロナBデビュー。同年10月にはジョゼップ・グアルディオラ監督の下でトップチームの公式戦デビューも果たしている。さらに、2012年に行われたU-19欧州選手権ではスペイン代表の優勝に貢献するなど、「スペインの将来を担う逸材」とも称された。

 しかし、スピード感のあるドリブルを武器とする同選手のスタイルは、バルセロナというチームにフィットせず。結局、トップチームでは公式戦6試合の出場に留まり、2013年にエバートンへとレンタル移籍。その後は2016/17シーズンより所属したミランでの活躍もあり、2017/18シーズンに再びバルセロナでプレーすることになったが、そこでも主力の座にはつけず、復帰からわずか半年でワトフォードへと旅立った。

ベティスでプレーするアタッカー

FW:クリスティアン・テージョ(スペイン/ベティス)
生年月日:1991年8月11日(28歳)
市場価格:600万ユーロ(約7億円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦86試合出場/20得点13アシスト

 2002年、11歳の時にバルセロナの下部組織に入団。2008年にはエスパニョールへの移籍を経験するも、2010年に再びバルセロナBへ加入し、その2年後には怪我人が続出していたトップチームから声がかかる機会も増え、同年1月にトップチームの公式戦初出場を記録している。その後もトップチームに帯同し続けた同選手は、2013年に契約を2018年6月末まで延長。2014年のコパ・デル・レイ、レバンテ戦ではハットトリックも記録するなど、名手が多く揃うバルセロナでも結果を残した。

 しかし、より多くの出場機会を求めたクリスティアン・テージョは、2014/15シーズンにポルトへのレンタル移籍を決断。新天地1年目はリーグ戦25試合で7得点8アシストとまずまずの成績を収めた。だが、2年目は不振に陥ると、シーズン途中にフィオレンティーナへ期限付きで移籍。イタリアでは2シーズンプレーし、まずまずの成績を収めていたが、その後バルセロナに戻ることはなく、2017年にベティスへ完全移籍で加入することが発表されている。

偉大な先輩を越えられず

DF:マルティン・モントーヤ(スペイン/ブライトン)
生年月日:1991年4月14日(28歳)
市場価格:800万ユーロ(約9億5000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦67試合出場/2得点12アシスト

 2000年、8歳の時にバルセロナの下部組織に入団。2009/10シーズンよりバルセロナBに昇格するなど順調なステップアップを刻んだマルティン・モントーヤは、同チーム不動の右サイドバックとして印象的な活躍を見せた。また、2011年と2013年に行われたU-21欧州選手権では主力として活躍し、スペイン代表の優勝に大きく貢献。クラブからも大きな期待を寄せられており、トップチームでの活躍に大きな注目が集まっていた。

 しかし、トップチームの壁はやはり分厚かった。当時バルセロナで高質なプレーを見せていたブラジル代表DFのダニエウ・アウベスの地位は揺るがず、モントーヤはベンチを温める日々が長く続く。結局、2011年から2015年までの在籍で公式戦出場はわずか67試合。その後インテル、ベティス、バレンシアへ移籍し、2018/19シーズンからブライトンに在籍。現在もプレミアリーグで奮闘中だ。

サウサンプトンでようやく才能開花

MF:オリオル・ロメウ(スペイン/サウサンプトン)
生年月日:1991年9月24日(28歳)
市場価格:1000万ユーロ(約11億9000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦2試合出場/0得点0アシスト

 2004年、12歳の時にバルセロナの下部組織に入団。2008/09シーズンにはルイス・エンリケ監督率いるバルセロナBへ昇格を果たしており、2010/11シーズンにはジョゼップ・グアルディオラ監督率いるトップチームでデビューも果たした。しかし、同選手と同じポジションを務めるMFセルヒオ・ブスケッツの牙城は崩せず、結局バルセロナでは公式戦2試合の出場に留まる。そして、デビューからわずか1年でチェルシーへの移籍を決めている。

 だが、チェルシーでもレギュラーの座を掴むまでには至らず、2013/14シーズンからはバレンシアに、2014/15シーズンからはシュツットガルトにそれぞれレンタル移籍で加入している。そして、2015/16シーズンからはサウサンプトンに完全移籍。新天地ではようやく才能が開花し、1年目からリーグ戦29試合に出場すると、2年目以降も主力としてプレーしている。今季もラルフ・ハーゼンヒュットル監督の下、欠かせぬ存在として活躍中だ。

その見た目はラガーマン

FW:アダマ・トラオレ(スペイン/ウォルバーハンプトン)
生年月日:1996年1月25日(24歳)
市場価格:2800万ユーロ(約33億3000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦4試合出場/1得点0アシスト

 2004年、8歳の時にバルセロナの下部組織に入団。そこから9年後の2013年にはバルセロナBへの昇格を果たし、同年11月にトップチームデビュー&チャンピオンズリーグ(CL)出場を飾った。2014年にはUEFAユースリーグ優勝を経験。大会のベストイレブンに選出されるなど活躍を見せたアダマ・トラオレは、バルセロナの将来を担う逸材として、大きな注目を集めていた。

 しかし、当時のバルセロナにはリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの“MSN”がおり、技術的にそこまで優れているわけでもなかったトラオレは、トップチームでの出場機会をそう簡単に与えてもらえなかった。そして2015年にアストン・ビラ移籍を決断。その後、ミドルスブラ在籍を経て、現在はウォルバーハンプトンに所属している。プレミアリーグでは、ラグビー選手顔負けの強靭なフィジカルを武器に奮闘中で、トラオレに対する評価は急上昇中だ。

神戸所属のMF

MF:セルジ・サンペール(スペイン/ヴィッセル神戸)
生年月日:1995年1月20日(25歳)
市場価格:120万ユーロ(約1億4000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦13試合出場/0得点2アシスト

 2001年、6歳の時にバルセロナのスクールに入団。そこから下部組織の各カテゴリーを順調にステップアップしたセルジ・サンペールは、各年代別スペイン代表にも名を連ねるなど「グアルディオラ二世」と称された。各年代でキャプテンも務めるなどその才能を高く評価されていたサンペールは、2013年にバルセロナB昇格を果たす。その翌年にはチャンピオンズリーグ(CL)で出場機会を与えられ、トップチームデビュー。クラブの将来を担う存在として、期待されていた。

 しかし、その後は苦難が続く。トップチームデビュー以降なかなか出番が訪れず、2016年にグラナダへレンタル移籍するも、クラブは2部降格。その翌年にはラス・パルマスへ期限付きで加入するものの、大怪我を負い、リーグ戦出場はわずか2試合に留まった。そして2019年3月、バルセロナとの契約を解消し、ヴィッセル神戸に加入。Jリーグ参戦1年目は徐々に本来の力を発揮し、リーグ戦24試合に出場。今季も主力として、神戸をけん引することが求められる。

グアルディオラの愛弟子

MF:チアゴ・アルカンタラ(スペイン代表/バイエルン・ミュンヘン)
生年月日:1991年4月11日(28歳)
市場価格:6000万ユーロ(約71億4000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦100試合出場/11得点20アシスト

 2005年、14歳の時にバルセロナの下部組織に入団。若き頃から「天才」と称されていたチアゴ・アルカンタラは、着々とカテゴリーを上げていき、入団から3年目でバルセロナBチームに昇格。2009年にはトップチームデビューを果たすなど、恐るべきスピードで成長を遂げていた。しかし、当時のバルセロナにはMFシャビ・エルナンデス、MFアンドレス・イニエスタらがおり、定位置確保は至難の業。チアゴ自身も怪我に悩まされることが多々あり、満足いく出場機会はなかなか得られなかった。

 そして、恩師であるジョゼップ・グアルディオラ監督がバイエルン・ミュンヘンの指揮官に就任した2013年に、チアゴもドイツ移籍を決断。移籍金は2500万ユーロ(約35億円)となっている。ドイツの地でも怪我に悩まされることがあったのは事実だが、その巧みなボールコントロールと高質なパスは、年齢を重ねるごとに着実に磨かれている。現在の市場価格は6000万ユーロ(約71億4000万円)。まさに世界屈指のMFである。

韓国のメッシ

MF:イ・スンウ(韓国代表/シント=トロイデン)
生年月日:1998年1月6日(22歳)
市場価格:120万ユーロ(約1億4000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦0試合出場/0得点0アシスト

 2011年、13歳の時にバルセロナの下部組織に入団。ユースのリーグ戦で得点王に輝くなどその才能を示したイ・スンウは、ユースの最上位にあたるフベニールAまで昇格を果たすなど、将来を嘱望されていた。しかし、2014年にバルセロナが18歳未満の外国人選手獲得・登録に違反したことにより、公式戦出場停止を余儀なくされてしまう。ただ、韓国人MFはクラブを去ることなく、18歳となる2016年1月まで練習を重ね、出場停止処分が明けるのを待った。そして、18歳となったイ・スンウは2016年3月にバルセロナBデビュー。トップチーム昇格が近いと報じられたこともあった。

 しかし、その後は苦戦が続く。バルセロナBでの公式戦出場はわずか1試合に留まり、トップチーム昇格は幻となった。出場機会を求めたイ・スンウは2017年にイタリアのエラス・ヴェローナへ移籍。2018/19シーズンはセリエBで23試合に出場している。そして現在は日本人選手も多く在籍するシント=トロイデンでプレー。しかし、練習態度が問題視されており、試合にあまり出場することができていない。

日本の至宝

MF:久保建英(日本代表/マジョルカ)
生年月日:2001年6月4日(18歳)
市場価格:1500万ユーロ(約17億8000万円)
バルセロナ在籍時成績:公式戦0試合出場/0得点0アシスト

 2011年、10歳の時にバルセロナの下部組織に入団。アレビンCでプレーを始めた久保建英は、2013年に地中海カップU-12トーナメントで大会得点王&MVPを獲得するなど、異国の地でもその能力の高さを示した。2014年にはインファンティルAでプレー。着実に成長を果たしていた。しかし2014年4月、バルセロナが18歳未満の外国人選手獲得・登録に違反したことにより久保の公式戦出場停止処分が続き、レフティーは2015年に日本へ帰国することを決断。トップチーム昇格を果たす夢は、まさかの形で途絶えた。

 日本へ復帰を果たした久保は、2017年にFC東京とプロ契約を結び、その後同チームや横浜F・マリノスでプレー。まだ10代の若者はJリーグの舞台でも持っていた才能を存分に発揮し、日本中を大いに沸かせた。そして、昨年6月にバルセロナの永遠のライバルであるレアル・マドリーへ移籍。プレシーズンツアーのメンバーにも帯同し、トップチームでのプレーも経験した。そして、現在はレンタルという形で過去にMF家長昭博なども在籍したマジョルカに加入している。