90得点を叩き出したMSN(15/16シーズン)

ここ11シーズンで8度のリーグ優勝を果たしているバルセロナは、欧州サッカーの盟主にふさわしいクラブの一つ。ただ、ここ最近を見ても、ネイマールやアンドレス・イニエスタの退団など多くの変化を経験している。今回フットボールチャンネルでは、バルセロナの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介する。
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【シーズン成績】
FIFAクラブワールドカップ:優勝
UEFAチャンピオンズリーグ:ベスト8
リーガエスパニョーラ:優勝
コパ・デル・レイ(スペイン国王杯):優勝

 ルイス・エンリケ体制2年目のこのシーズンを前に、シャビ・エルナンデスがカタールに渡り、ペドロ、ジェラール・デウロフェウといったラ・マシア(下部組織)出身の選手たちが新天地を求めた。さらに、FIFAから下された補強禁止処分の影響で、夏に新加入選手を迎えることができず。アルダ・トゥラン、アレイクシ・ビダルを獲得したが、1月までプレーすることはできなかった。

 リーグ戦では序盤に2敗を喫して首位レアル・マドリードを追う展開となった。しかし、12節にサンティアゴ・ベルナベウで行われたエル・クラシコでバルセロナは爆発した。11分にルイス・スアレス、39分にネイマール、53分にアンドレス・イニエスタがそれぞれゴールを決めると、74分にスアレスがこの日2つ目のゴールを挙げて大勝。4-0でエル・クラシコを制したバルセロナは首位に立った。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)王者として、12月には日本で開催されたFIFAクラブワールドカップに参加。準決勝でアジア王者の広州恒大を3-0で、決勝でもリバープレートを3-0で破り、4季ぶりに世界王者に返り咲いた。

 リーグ戦では8節から23戦無敗を記録して首位を独走した。しかし、31節に行われたこのシーズン2度目のクラシコで敗れると、続くレアル・ソシエダ、バレンシアにも敗れて3連敗。2位アトレティコ・マドリードに得失点差で上回ってかろうじて首位を守ったが、3位レアルにも1ポイント差で肉薄される混戦となった。

 1ポイント差に3チームがひしめく状況で、バルセロナはラスト5試合に全勝して連覇を達成した。40得点を挙げたスアレスはクリスティアーノ・ロナウドや同僚のメッシを抑えて得点王を獲得。3トップは前年の85得点を上回る90得点を叩き出した。

 決勝トーナメントに駒を進めたCLではアーセナルに連勝。アトレティコとの準々決勝1stレグは、スアレスが2得点をマークして勝利を収めた。しかし、ビセンテ・カルデロンで行われた2ndレグでは自慢の攻撃陣が1点も奪うことができず。アントワーヌ・グリーズマンに2得点を許して2-0で敗れ、準々決勝敗退が決まった。

 無敗で決勝まで駒を進めたコパ・デル・レイは、延長戦の末に勝利したスーペル・コパと同じセビージャとの対戦となった。前半にハビエル・マスチェラーノが退場処分を受けて数的不利になったが、後半終了間際に相手にも退場者が出て同数に。延長にジョルディ・アルバのゴールで先制すると、延長後半アディショナルタイムのネイマールのゴールで試合を決めた。CLこそ連覇を逃したが、前年に続いて国内2冠を達成している。

▽GK
クラウディオ・ブラーボ

▽DF
ダニエウ・アウベス
ジェラール・ピケ
ハビエル・マスチェラーノ
ジョルディ・アルバ

▽MF
イバン・ラキティッチ
セルヒオ・ブスケッツ
アンドレス・イニエスタ

▽FW
リオネル・メッシ
ルイス・スアレス
ネイマール

エンリケ体制の終わり(16/17シーズン)

【シーズン成績】
UEFAチャンピオンズリーグ:ベスト8
リーガエスパニョーラ:2位
コパ・デル・レイ(スペイン国王杯):優勝

 ダニエウ・アウベスがチームを去り、チームは若返りを図るべく20代前半の選手を多く獲得した。最終ラインにはサミュエル・ウンティティとリュカ・デーニュ、中盤にはアンドレ・ゴメスとデニス・スアレス、MSNが君臨する前線にはパコ・アルカセルを加えている。

 2年続けての顔合わせとなったセビージャとのスーペル・コパを制して、バルセロナの16/17シーズンはスタートした。しかし、リーグ戦では序盤からアラベスやセルタに敗れ、首位レアルの後を追う展開となった。

 CLではラウンド16でパリ・サンジェルマンとの1stレグに4-0で大敗。逆転は不可能に思われたが、カンプノウで行われた2ndレグは2点リードで試合終盤に突入すると、ネイマールの2得点とセルジ・ロベルトのゴールで6-1と大勝した。2戦合計スコアでを6-5としたバルセロナが、CL史上最大級の逆転劇を演じて見せた。

 しかし、準々決勝でもユベントスを相手に1stレグで敗れてしまう。大逆転の再現が期待されたが、奇跡は2度起こらなかった。ホームでの2ndレグはスコアレスドローに終わり、2シーズン連続の準々決勝敗退となった。

 リーグ戦では8節から19試合に渡って無敗を継続して、首位レアルを猛追。33節のエル・クラシコはメッシの2得点などで勝利し、1試合消化が少ないレアルに勝ち点で並んだ。バルセロナは残る5試合を全勝してシーズンを終えたが、6連勝でフィニッシュしたレアルにリーグ優勝を許した。コパ・デル・レイでは決勝でアラベスを下して3連覇を達成。しかし、リーグ3連覇を逃したエンリケは監督退任となった。

▽GK
マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン

▽DF
セルジ・ロベルト
ジェラール・ピケ
サミュエル・ウンティティ
ジョルディ・アルバ

▽MF
イバン・ラキティッチ
セルヒオ・ブスケッツ
アンドレ・ゴメス

▽FW
リオネル・メッシ
ルイス・スアレス
ネイマール

ネイマールの後釜(17/18シーズン)

【シーズン成績】
UEFAチャンピオンズリーグ:ベスト8
リーガエスパニョーラ:優勝
コパ・デル・レイ(スペイン国王杯):優勝

 アスレティック・ビルバオを率いていたエルネスト・バルベルデが新監督に就任。ネイマールは2億2000万ユーロともいわれる違約金でPSGへの電撃移籍が決まり、MSNは3年で解体となった。バルセロナはネイマールの後釜として、ドルトムントからウスマン・デンベレを1億500万ユーロとボーナスという条件で獲得した。

 新指揮官はメッシとスアレスを最前線に置く4-4-2を採り入れた。リーグ戦では無敗を継続して首位を独走。CLでもグループステージでユベントスに雪辱を晴らし、無敗で決勝トーナメント進出を決めた。

 夏に移籍が決まらなかったフィリッペ・コウチーニョは、冬の移籍市場で1億6000万ユーロとも報じられた移籍金で加入。ハムストリングの負傷でデビューが遅れ、リーグ戦初ゴールをマークするのに5試合かかったが、その後はゴールやアシストを積み重ねた。リーグ戦18試合で8得点5アシストという結果を残している。

 デンベレはネイマールの後釜として期待されたが、9月16日のヘタフェ戦で負傷。左足大腿二頭筋の腱断裂で戦線を離脱し、復帰は年明けまで待たなければならなかった。復帰後はコウチーニョの加入もあって出番を掴めず、公式戦で先発メンバーに名を連ねたのはわずか14試合だった。

 チェルシーを1勝1分で破ったバルセロナは、CL準々決勝でローマと対戦。1stレグは4-1と大勝したが、アウェイゲームで大きな落とし穴が待っていた。6分に先制を許し、58分に追加点を決められると、82分にも失点。2戦合計スコアで並ばれたバルセロナはアウェイゴール数で下回り、準々決勝で大会から姿を消した。前年とは逆の形で逆転劇を演じてしまった。

 早すぎる敗退を喫したCLとは対照的に、国内では無類の強さを誇った。コパ・デル・レイではセビージャを5-0で圧倒して4連覇を達成。首位を独走するリーグでは3試合残して優勝が決まり、第36節のエル・クラシコは消化試合となってしまった。37節で敗れて無敗記録は止まったものの、リーグ戦1敗はペップ・グアルディオラ体制2年目の09/10シーズン以来2度目の快挙だった。

 マスチェラーノは出場機会を求めて冬に中国の河北華夏へ移籍。リーグ優勝をほぼ手中に収めた4月下旬には、イニエスタが涙ながらに退団を表明している。シャビなき後に3年間キャプテンを務めたイニエスタはシーズン終了後、ヴィッセル神戸への移籍を発表した。

▽GK
マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン

▽DF
セルジ・ロベルト
ジェラール・ピケ
サミュエル・ウンティティ
ジョルディ・アルバ

▽MF
イバン・ラキティッチ
セルヒオ・ブスケッツ
パウリーニョ
アンドレス・イニエスタ

▽FW
リオネル・メッシ
ルイス・スアレス

悲劇は再び(18/19シーズン)

【シーズン成績】
UEFAチャンピオンズリーグ:ベスト4
リーガエスパニョーラ:優勝
コパ・デル・レイ(スペイン国王杯):準優勝

 イニエスタが日本へ、パウリーニョが中国へと去った中盤にはアルトゥーロ・ビダルとアルトゥールを獲得。センターバックには23歳のクレマン・ラングレが加わった。イニエスタに代わるキャプテンは、メッシが務めることとなった。

 リーグ戦では4連勝スタートを切ったが、そこから4戦未勝利で2位に転落。しかし、首位攻防戦となった直後のセビージャ戦を4-2で勝利してエル・クラシコを迎えた。バルセロナはメッシを負傷で欠いたが、スアレスがハットトリックを達成して5-1の大勝へとチームを導いている。

 前シーズンは29失点を記録したが、前半戦はその堅守が影を潜めた。ラージョ・バジェカーノ戦は勝利したものの2つのゴールを許し、レアル・ベティス戦では4失点を喫して敗れた。続くアトレティコ戦に1-1で引き分けたバルセロナは、再びセビージャに首位を明け渡した。

 しかし、12月に入り、攻守の歯車がかみ合い始める。リーグ戦8連勝で首位に立つと、そこから首位を譲ることはなかった。

 コパ・デル・レイでは準決勝でレアルと対戦。ホームでは1-1のドローに終わったが、スアレスに2得点が生まれた2ndレグを3-0でものにして突破を決めた。中2日で行われたリーグ戦はクラシコ連戦となったが、こちらも1-0で勝利。首位争いを抜け出したバルセロナは3試合を残して2年連続26回目のリーグ優勝を決めた。

 CLでもPSV、トッテナム、インテルと同居した死のグループを突破すると、オリンピック・リヨン、マンチェスター・ユナイテッドを撃破してベスト4進出。準決勝では前年のファイナリスト、リバプールと対戦した。

 カンプノウで行われた1stレグを3-0で勝利したバルセロナの突破はほぼ確実のように見えた。しかし、2ndレグではロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラーの両エースを欠くリバプールに4失点を喫して完敗。屈辱的な逆転負けで「アンフィールドの奇跡」をアシストしてしまった。

 2年連続でのCL逆転敗退のショックは尾を引いた。コパ・デル・レイでも決勝でバレンシアに敗れて5連覇はならず。2度の監督交代に揺れたレアルの不調に助けられる形でリーグ戦こそ制したが、バルベルデ体制2年目のシーズンはその1冠のみに終わった。

▽GK
マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン

▽DF
セルジ・ロベルト
ジェラール・ピケ
クレマン・ラングレ
ジョルディ・アルバ

▽MF
イバン・ラキティッチ
セルヒオ・ブスケッツ
アルトゥーロ・ビダル

▽FW
リオネル・メッシ
ルイス・スアレス
フィリッペ・コウチーニョ

ポゼッション回帰(19/20シーズン)

【シーズン成績】
UEFAチャンピオンズリーグ:ラウンド16
リーガエスパニョーラ:1位
コパ・デル・レイ(スペイン国王杯):準々決勝敗退

 オフに数年来の念願だったアントワーヌ・グリーズマンの獲得に成功し、大金をはたいて獲得したコウチーニョはバイエルン・ミュンヘンに貸し出された。ブスケツ、ラキティッチ、ビダルと30代が並ぶ中盤には、21歳のフレンキー・デヨングをアヤックスから獲得している。

 10/11シーズン以来となるリーグ3連覇を目指すシーズンは、開幕戦でビルバオに、5節でもグラナダに敗れる波乱のスタートなった。しかし、レアルやアトレティコもつまずいたため、首位争いは混戦に。10月に予定されていたエル・クラシコはカタルーニャ州のデモにより延期となり、12月18日に開催。伝統の一戦はスコアレスドローに終わり、2ポイント差で首位に立つバルセロナが首位を保持した。

 バルセロナは首位で前半戦を折り返したが、年明け早々に風雲急を告げる出来事が起きる。バルベルデの守備的なサッカーには、監督就任以来批判が絶えなかったが、1月9日のスーペル・コパ準決勝に敗れたバルセロナは指揮官を解任。ポゼッション信奉者のキケ・セティエンを後任に据えた。さらにこの試合で負傷したスアレスは右膝外側半月板の手術を行い、4カ月の戦線離脱となっている。

 監督交代とスアレスの離脱に揺れるバルセロナは、1月25日のバレンシア戦に敗れて首位陥落。さらに、ハムストリングの負傷から復帰を目指すデンベレが練習中に同じ箇所を負傷し、全治6か月の長期離脱を強いられることに。バルセロナは特別ルールを活用し、レガネスからマルティン・ブライトバイテを獲得する緊急事態となった。

 故障者続出の中でもバルセロナは4連勝で首位に浮上し、シーズン2度目のエル・クラシコに臨んだ。しかし、スコアレスのまま終盤に突入した試合は、ヴィニシウス・ジュニオールとマリアーノ・ディアスの2人の伏兵にゴールを許して敗れ、首位の座を宿敵に譲った。

 CLでは無敗でグループステージを突破したが、ラウンド16でナポリに苦戦。アウェイで行われた1stレグは先制を許し、1-1で引き分けに持ち込むのがやっとだった。

 新型コロナウイルスの影響が欧州へと広がり、3月中旬にはすべての公式戦が中断された。バルセロナはリーグ戦27試合を消化した時点で2位レアルに2ポイント差をつけて首位に立っている。

▽GK
マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン

▽DF
ネウソン・セメド
ジェラール・ピケ
クレマン・ラングレ
ジョルディ・アルバ

▽MF
セルジ・ロベルト
セルヒオ・ブスケッツ
フレンキー・デヨング

▽FW
リオネル・メッシ
ルイス・スアレス
アントワーヌ・グリーズマン

【了】