秘密兵器のまま終わったストライカー

 1993年の開幕から28年目を迎えたJリーグでは、数多くの外国籍選手がプレーしてきた。活躍した選手もいる中で、期待を大きく裏切って帰っていった選手も少なくない。今回フットボールチャンネル編集部では、清水エスパルスで活躍できなかった外国籍選手を5人紹介する。※年齢は加入当時のもの

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マルコーン(ブラジル出身)

生年月日:1969年3月16日(当時24歳)
在籍期間:1993年
J通算成績:2試合出場/0得点

 2ndステージにあたるニコスシリーズでヴェルディ川崎と首位争いをしていた清水エスパルスが、攻撃の起爆剤としてブラジルのミラソルから獲得してきたストライカーだった。エメルソン・レオン監督の肝いりで、ポルトガル2部得点王という肩書きもあった。

 しかし、デビューはシーズン終盤のニコスシリーズ第16節・ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)戦とかなり遅く、意気揚々と先発出場したその試合でボールに乗って転ぶというまさかの大失態。満を時しての登場は衝撃的な空振りとなり、その後はシーズン最後のニコスシリーズ第18節・横浜マリノス(現横浜F・マリノス)戦でピッチに立ったのみ。清水はステージ優勝を逃し、マルコーンはわずか2試合の出場であえなく契約解除となった。

 日本を離れた後の詳細な経歴に不明な点も多いが、2000/01シーズンにはポルトガル1部のベレネンセスで12試合に出場して5得点を挙げた記録が残っている。翌シーズンも同クラブでプレーし、2002/03シーズンは同じく当時ポルトガル1部のヴァルジムに在籍していたようだ。

●1993年2ndステージ第16節・ヴェルディ川崎戦の先発メンバー

▽GK
シジマール

▽DF
堀池巧
加藤久
内藤直樹
平岡宏章

▽MF
三浦泰年
太田貴光
澤登正朗
エドゥー

▽FW
長谷川健太
マルコーン

Jリーグベストイレブンだったが…

トゥット(ブラジル出身)

生年月日:1978年7月2日(当時24歳)
在籍期間:2003年
J1通算成績:121試合出場/47得点
J2通算成績:76試合出場/33得点

 若くして来日し、1998年に旧JFL時代の川崎フロンターレに加入。1999年にはエースとしてJ2リーグ戦で17得点を挙げてフロンターレのJ1昇格に貢献した。2000年にはFC東京へ期限付き移籍。自身初のJ1で17得点を奪ってJリーグベストイレブンに輝くなどの大活躍を見せ、自らの日本での評価を確立していった。

 ただ、2001年に移籍した浦和レッズでは負傷の影響もあってゴール数が激減し、2003年に清水エスパルスへ加入しても本来の姿を取り戻せないまま期待に応えられず。ゴールに向かって突進していくようなプレースタイルに変化はなく、24歳と伸び盛りな年齢ではあったものの、清水ではリーグ戦20試合に出場して6得点と振るわなかった。

 2005年まで日本でプレーした後、一度ブラジルに戻ったものの、2007年から2008年にかけて再来日して湘南ベルマーレに在籍していた。旧JFL時代も含めて日本での公式戦出場は250試合を超え、100以上のゴールを奪った。またフロンターレと大宮アルディージャのJ1昇格に貢献したことで「昇格請負人」と称されることも。

●2003年J1開幕戦:名古屋グランパスエイト戦の先発メンバー

▽GK
羽田敬介

▽DF
森岡隆三
エメルソン
池田昇平
村松潤

▽MF
平松康平
鶴見智美
吉田康弘
三都主アレサンドロ

▽FW
トゥット
アン・ジョンファン

20得点が期待されながら…

マルコス・アウレリオ(ブラジル出身)

生年月日:1984年2月10日(当時24歳)
在籍期間:2008年
J1通算成績:9試合出場/0得点

 欧州移籍を目指して2007年限りで退団した韓国代表FWチョ・ジェジンの後釜と期待されて清水に加入した。サントスから獲得する際は「20得点が期待できるストライカー」とされ、直前のシーズンはブラジル全国選手権で7得点を挙げた実績もあった。

 ところが蓋を開けてみると小柄な体格ゆえのフィジカルの弱さは致命的で、リーグ戦は9試合のみの出場にとどまりノーゴール。1年間の在籍で契約満了とともに退団となった。

 そもそもアラウージョやマグノ・アウベスといったJリーグで実績豊富なストライカーを狙っていたものの、彼らとの交渉が失敗に終わった末に獲得した第3候補の選手だった。シーズン中にはガンバ大阪への移籍も噂されたが、それも叶わずブラジルへ帰国。スポルチ・レシフェやインテルナシオナル、バイーアなど有力クラブを転々とし、韓国でのプレーも経て、36歳になった現在はブラジル全国選手権4部のブラジリエンセに所属している。

●2008年J1開幕戦:大分トリニータ戦の先発メンバー

▽GK
西部洋平

▽DF
市川大祐
青山直晃
高木和道
児玉新

▽MF
藤本淳吾
本田拓也
伊東輝悦
フェルナンジーニョ

▽FW
矢島卓郎
マルコス・アウレリオ

スーパースターの威光は薄れ…

フレドリック・ユングベリ(元スウェーデン代表)

生年月日:1977年4月16日(当時34歳)
在籍期間:2011年
J1通算成績:8試合出場/0得点

 2003/04シーズンのアーセナル無敗優勝メンバーだったスーパースターは、すでにキャリアの終盤で衰えも顕著だった。2011年夏に清水へやってきて1年半契約を結んだが、数試合出場したところで負傷の治療のためスウェーデンに帰国してしまう。

 翌シーズンも契約を残していながら、日本に戻ってこず2012年2月に契約解除が発表された。Jリーグにとっても久々のビッグネームで、テクニックは錆びついておらず、小野伸二との共演にも期待が集まった。しかし、全盛期の武器だったスピードは見る影もなく、失望ばかりが残る結末となってしまった。

 清水退団後は一度現役引退を発表したものの、2014年10月に新たに開幕したインド・スーパーリーグで3ヶ月間だけ現役復帰を果たし、ムンバイ・シティFCに所属した。その後再び現役を退いて指導者に転身。今季は古巣アーセナルでウナイ・エメリ監督解任にともなって暫定監督を務め、ミケル・アルテタ監督就任後はアシスタントコーチとして新指揮官を支えている。

●2011年J1第28節:名古屋グランパス戦の先発メンバー

▽GK
山本海人

▽DF
辻尾真二
岩下敬輔
エディ・ボスナー
太田宏介

▽MF
小野伸二
カルフィン・ヨン・ア・ピン
大前元紀
フレドリック・ユングベリ
高木俊幸

▽FW
アレックス・ブロスク

不思議と愛された「ジミーちゃん」

ジミー・フランサ(ブラジル出身)

生年月日:1984年4月15日(当時27歳)
在籍期間:2012年
J1通算成績:14試合出場/0得点

 FCシェリフ・ティラスポリ時代にモルドバリーグ得点王を獲得し、年間15得点を期待できるストライカーとの触れ込みで清水に加入した。ところが開幕してすぐに化けの皮が剥がれる。

 オフサイドラインを無視した奇妙なポジショニングで、サッカーのルールを知らないのではないかと揶揄された。シュートは一向に入らず、競り合いにも弱く空中戦ヤポストプレーもまともにこなせない。守備もめちゃくちゃで、J1のレベルに達していないのは明らかだった。

 それでも不思議と清水のファン・サポーターから愛された。「ジミーちゃん」という愛称で親しまれ、どんなに失敗しても健気に走り回る姿には惜しみない声援が注がれた。2011年8月、清水では最後の試合になった名古屋グランパス戦の終了後には盛大な「勝ちロコ」とチャントで送り出され、ジミーちゃんは涙を流した。

 清水からJ2の東京ヴェルディに期限付き移籍したものの、わずか1ゴールにとどまり、2012年限りで両クラブからの退団が発表された。2016年にブラジルで現役を引退したが、今でもツイッターのプロフィール写真は清水時代のもので、清水関連のツイートも盛んに投稿している。同じ静岡県内の宿敵・ジュビロ磐田が負けようものなら渾身の煽りを放つなど、ジミーちゃんの“オレンジ愛”はとにかく強い。

●2012年J1第21節:名古屋グランパス戦の先発メンバー

▽GK
山本海人

▽DF
河井陽介
平岡康裕
カルフィン・ヨン・ア・ピン
イ・キジェ

▽MF
杉山浩太
大前元紀
アレックス・ブロスク
石毛秀樹
高木俊幸

▽FW
ジミー・フランサ