5位:ユベントスの司令塔

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。それをもとにしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。※成績は4月1日時点

——————————

MF:ミラレム・ピャニッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ代表/ユベントス)
生年月日:1990年4月2日(30歳)
市場価格:6500万ユーロ(約78億円)
今季リーグ戦成績:22試合出場/3得点4アシスト

 守備的MF能力値ランキングの5位に入ったのは、ボスニア・ヘルツェゴビナが生んだ世界屈の司令塔だ。フランスのFCメスでプロデビュー後、リヨン、ローマと順調なステップアップを果たした同選手は、2016年にイタリア王者ユベントスに加入。自身のアイドルであるジネディーヌ・ジダンがかつて身に付けた「背番号5」を継承した男は、加入1年目から主力として活躍し、チームのスクデット獲得などに大きく貢献。現在も不動の存在として印象的なパフォーマンスを見せ続けている。

 そんなミラレム・ピャニッチ最大の武器は「90」という数値を記録した「パス」だ。左右両足から放たれるボールは抜群の正確性を誇っており、ロングパスでもショートパスでも違いを生み出すことを可能としている。相手のプレッシャーを受けても常に冷静さを保つことができる選手でもあり、ゲームメイクの上手さはもちろん、ゴール前でのアイデアも非常に豊富。パスセンスに加え「IQ」も非常に優れた選手と言えそうだ。

 もちろん、ボールを巧みに操る「テクニック」の高さも十分。ボランチのポジションは一つの判断ミスが命取りになることもあるが、ピャニッチは不用意なボールロストを犯すことが比較的少ない選手とも言える。また、フリーキックの精度もピカイチ。この点に関しては、間違いなく世界でもトップレベルのものがある。これだけ多くの武器を持つ同選手はまさに、現在の「セリエA最高のレジスタ」と言えるだろう。

 一方で単純な「スピード」や「空中戦」に関しては凡庸。数値を大きく伸ばすことができなかった。ただ、それでも守備的MFランキングでトップ5入りを果たしたのはさすがと言うべきで、いかにピャニッチの“技術”が高いかを示す結果になった。

4位:マンCの新戦力

MF:ロドリ(スペイン代表/マンチェスター・シティ)
生年月日:1996年6月22日(23歳)
市場価格:8000万ユーロ(約96億円)
今季リーグ戦成績:26試合出場/3得点1アシスト

 ビジャレアルやアトレティコ・マドリーで活躍し、昨年夏にマンチェスター・シティへ移籍したスペイン代表戦士。名将ジョゼップ・グアルディオラ監督が獲得を熱望した男は加入当初こそプレミアリーグに馴染むのに苦労していたが、試合を重ねるごとにその存在感を増すようになり、現在ではチームに欠かせない選手に。ここまでリーグ戦26試合で3得点1アシストの成績を収めるなど、新天地1年目ながら確かな爪痕を残している。

 ペップ・シティでメキメキと成長しているロドリは「パス」の安定感を誇る選手だ。視野が非常に広く、ボールを受けてから散らすまでの動きに一切無駄がなく、常に攻撃のリズムを生み続けることが可能。その落ち着きぶりと「パス」の正確さはセルヒオ・ブスケッツを彷彿とさせるものがある。また、身長191cmの体躯と左右両足を巧みに使ったボールキープ力も抜群に高い。スペイン人らしい「テクニック」にも長けた存在と言えそうだ。

 そして、ディフェンススキルも高いレベルで兼備。大柄な体躯を武器とした「フィジカル」の強さはもちろんのこと、長い足を活かしたボール奪取力にも長け、優れた危機察知能力を活かしたカバーリングの上手さもトップレベルである。パスセンスの良さなど足元の技術のみならず、こうした守備意識の高さを持つのもロドリが大きく評価される理由の一つ。攻守両面のバランスを整える上で欠かせない人物であることは間違いない。

 現時点で平均値を下回ったのは「スピード」のみと、23歳にして確かな能力を持つロドリ。今回は守備的MFランキングの4位となったが、今後の更なる成長次第ではトップの座に躍り出る可能性も。

3位:ドルトムントのアフロマン

MF:アクセル・ヴィツェル(ベルギー代表/ボルシア・ドルトムント)
生年月日:1989年1月12日(31歳)
市場価格:2700万ユーロ(約32.4億円)
今季リーグ戦成績:21試合出場/4得点4アシスト

 遠くからでも目立つアフロヘアと美しい青い瞳が特徴的なベルギー代表MF。2018年に行われたロシアワールドカップでは、主力として母国をベスト4へ導いた実力屈指の存在である。そんな同選手がゼニト・サンクトペテルブルクや天津権健への在籍を経てボルシア・ドルトムントにやって来たのは2018年夏のこと。以降、31歳のベテランは攻守両面においてピッチ上で大きく奮闘するなど、チームには欠かせない中盤の要として申し分ない働きを見せている。

 ドイツの地で再び評価を高めているアクセル・ヴィツェルは、守備面での貢献度が非常に高い選手である。とにかく運動量が豊富で、危機察知能力の高さを武器に幅広いエリアをカバーすることが可能。身長186cm・体重81kgという恵まれた体躯を活かした「フィジカル」の強さがあり、タックルの上手さも十分でハードワークも怠らないなど、90分間常に働き続けることができる。どのチームにとっても置いておきたい、そんな選手と言えるのではないか。

 守備面でのタフさが光る一方で、攻撃面では常に冷静さを保つヴィツェル。サイドへ的確にボールを散らすなど「パス」の安定感は抜群で、隙があると見れば前線へ果敢に飛び出すダイナミックさも兼ね備える。「空中戦」でも強さを発揮できるため、セットプレー時にはファーストターゲットとなることも。中盤底を司る存在として、申し分ない能力を持っていることは誰の目にも明らかだ。

 今年で31歳と経験値も豊富でリーダーシップも発揮できるヴィツェルは、まさにボランチのお手本のような存在。守備的MFランキングのトップ3入りは妥当な結果と言えるのではないか。

2位:レアルの要

MF:カゼミーロ(ブラジル代表/レアル・マドリー)
生年月日:1992年2月23日(28歳)
市場価格:8000万ユーロ(約96億円)
今季リーグ戦成績:25試合出場/3得点2アシスト

 前人未到のチャンピオンズリーグ(CL)3連覇に貢献するなど、レアル・マドリーで不動の地位を築き上げているブラジル代表MF。ジネディーヌ・ジダン監督から絶大な信頼を寄せられている選手の一人であり、サポーターからの人気も確かなものがある。今季も替えの効かない存在として活躍する同選手は、ここまでリーグ戦25試合に出場し、3得点2アシストを記録中。チームのタイトル獲得に貢献するべく、ピッチ上で大きく奮闘している。

 カゼミーロの特徴は「守備力」の高さにあると見て間違いないだろう。ポジショニングの良さを活かして攻守のバランスを的確に整えることができ、味方が空けた危険なスペースを瞬時に消すカバーリングの上手さも兼備。そして何よりも対人戦の強さ。球際では簡単に負けない粘り強さがあり、相手を無力化するタックルの鋭さも抜群だ。そのため、「フィジカル」は「90」という飛び抜けた数値を記録することとなった。

 一方で「ドリブル」で相手陣を切り裂いたり、「パス」で攻撃のリズムを生み出すなどのプレーはあまり得意としていない。稀に強烈なミドルシュートを叩き込むことはあるが、「攻撃力」が高いとは言えないだろう。ただ、ルカ・モドリッチやトニ・クロースといったインサイドハーフの選手が攻撃面で存在感を放つことが可能なのは、この男がいるからこそ。不在時にその必要性を感じることができるのが、カゼミーロの特徴とも言える。

 先述したディフェンスセンスの良さ、そしてマドリーにおける存在感の大きさを考えても、守備的MFランキングでトップ3に選出しない理由は見当たらない。今後も引き続きそのパフォーマンスに注目だ。

1位:トップは万能型MF

MF:ヨシュア・キミッヒ(ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン)
生年月日:1995年2月8日(25歳)
市場価格:8000万ユーロ(約96億円)
今季リーグ戦成績:24試合出場/2得点6アシスト

 守備的MFランキングのトップに輝いたのは、バイエルン・ミュンヘン所属のヨシュア・キミッヒだ。ドイツ代表のレジェンドであるフィリップ・ラームの「後継者」と称される同選手は、代表でもクラブでも不動の地位を築き上げている存在で、サイドバックやセンターバックもこなす万能型プレーヤーである。前回はサイドバック部門での選出となったが、今季はバイエルンで中盤底での起用が大半を占めているため、守備的MFランキングでの選出となっている。

 そんなキミッヒは「パスセンス」が非常に高い選手である。視野が広く、ファーストタッチの柔らかさがあるため、味方に素早くかつ的確にボールを渡すことを可能としている。ボランチとして起用された際は最終ラインからボールを引き出して攻撃を組み立て、サイドバックとして出場した際は精度の高いクロスでチャンスを演出するなど、様々な場面で高質なキックは猛威を振るっている。まさにワールドクラスだ。

 そして豊富なスタミナ、危機察知能力の高さ、ポジショニングの良さ、ボール奪取の上手さを兼ね備えるなど「IQ」や「守備力」も非常に高い選手。身長は176cmと特別大柄なタイプではないが、球際では簡単に負けない「フィジカル」の強さもあり、「空中戦」でも脆さを見せないのがキミッヒの魅力的なポイントだ。様々なポジションをこなすユーティリティー性も含め、25歳にして類稀なる才能を持っている存在と言えるだろう。

 キミッヒの能力値を見てみると、70台を下回ったものがないのがわかる。それだけ穴の少ない選手であるということだ。能力全体の平均値を主軸とする同ランキングでトップに立つのは、必然とも言える結果になった。