レアルに負けを認めたが…

 現地19日にラ・リーガ最終節が行われ、レアル・マドリードの優勝で長かったシーズンが幕を閉じた。2位となったバルセロナはアラベスに快勝でリーグ戦を締めくくっている。その戦いの中で、リオネル・メッシは未来に目を向け、クラブの将来を案じていた。(文:舩木渉)

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 ラ・リーガの2019/20シーズンが閉幕した。新型コロナウイルスの感染拡大にともない、約3ヶ月の中断を強いられる変則的なスケジュールとなったが、過酷なラストスパートで差し切ったレアル・マドリードが3季ぶりの頂点に立った。

 そして2位はバルセロナ、3位には一時低迷していたアトレティコ・マドリーが滑り込む形に。一方、エスパニョール、マジョルカ、レガネスは来季の2部降格が決まった。

 前節でマドリーの優勝が決まり、その裏でバルサはオサスナとの一戦を落としていた。その試合後、リオネル・メッシは「以前、このままならチャンピオンズリーグ(CL)では勝てないと言ったが、リーガでも優勝できなかった」とチームの不甲斐なさを指摘した。

「こんな形で終わることは予想していなかったが、この試合(敗れたオサスナ戦)が今季の全てを表していると思う。僕たちはインテンシティでもモチベーションでも負けた、弱いチームだ」

 ただ、こうした発言の矛先は選手たちだけに向けたものではなかった。メッシは言う。

「マドリーは中断明けから一度も負けなかった。彼らはやるべきことをやっていたのに、僕たちはどうか。彼らを助けてしまった。落としてはいけなかった勝ち点を落としてしまっていたことを、選手もクラブも反省する必要がある。このクラブは全ての試合に勝つことが義務づけられているのだから」

 今季のバルサはクラブ内のゴタゴタが絶えなかった。ネイマール復帰計画の失敗、エリック・アビダルSD(スポーツディレクター)とメッシの対立、シーズン途中での監督交代、新型コロナ禍における給与削減問題など、ありとあらゆるトラブルがことごとく表に出て、その度にチームや選手は不必要なプレッシャーに晒されていた。

 そして優勝を逃し、現地19日にラ・リーガ最終節のアラベス戦を迎える。2部昇格プレーオフに出場するため多くの若手がBチームへ戻り、けが人や出場停止も続出したため、ベンチ入りのフィールドプレーヤーが3人だけという状況。にもかかわらず、バルサは淡々と力の差を見せつけた。

ラストは圧巻のゴールショー

 どこか重圧から解き放たれてリラックスした印象を受ける選手たちは、次々にゴールを奪って、終わってみれば5-0の快勝。どれも素晴らしいゴールだった。

 序盤からリキ・プッチ、アルトゥーロ・ビダル、メッシと次々に決定機が生まれ、24分にはアンス・ファティがメッシのクロスに飛び込みながらボレーで合わせて先制ゴールを奪う。さらに34分、リキ・プッチからの横パスをペナルティエリア内で受けたメッシが、繊細なタッチで相手ディフェンスやGKを翻弄して追加点を挙げた。

 前半終了間際の43分には、メッシが浮き球のパスをペナルティエリア内に送り、ジョルディ・アルバのワンタッチでの折り返しにルイス・スアレスが頭で合わせて3点目。すでに残留を決めて、緊張の糸がほぐれていたアラベスを圧倒した。

 後半に入ると50分にクレマン・ラングレが右足付け根を痛めてネウソン・セメドと交代し、ビダルが急きょセンターバックを務めることに。こうしたアクシデントもありながら、57分にセメドが、リキ・プッチからのアシストを受けて強烈なシュートを叩き込みリードを4点に広げる。これで勝負ありだった。

 75分にはジョルディ・アルバのクロスに合わせたメッシが今季25個目のゴールを奪って、4年連続得点王をほぼ確実にした。バルサの象徴たる背番号10は、アラベス戦だけで2得点1アシストと圧巻の存在感だった。

 今季最後のリーグ戦を終えて、メッシが再びインタビューマイクの前に立った。オサスナに敗れた前節終了時点よりも、少しばかりポジティブだ。

「僕たちは本来あるべき姿を目指し、ドアを内向きに開けて自分たちを批判することを目的としていた。プレーも結果も素晴らしいシーズンだったとは言えない。だが、今日の僕たちは集中した態度で一歩前進したと思う」

次はCL。何が何でもタイトルを

 ただ、アラベス戦でシーズンが終わるわけではない。小休止を挟んで、バルサはCLに挑むことになる。「このままではCLに勝てない」という主旨の発言が出たのは、今年2月下旬に敵地で1-1のドローに終わったCLのラウンド16、ナポリとの1stレグを終えたときだった。

 あれから5ヶ月ほどが経ち、当時とは全く違うチーム状況で8月8日に再びナポリと相見える。ホームでの2ndレグを落とすことはできない。今季最後に残されたタイトルを手にするためにも、一度全てをリセットして、気持ちを新たに臨む必要がある。そして、幸いにもラ・リーガ閉幕からCL再開まで少しの猶予が残されている。

「この休みの時間は、少し静かにしている必要がある。これ以上話すことはないよ。頭をスッキリさせて、これまで以上の熱意を持って帰ってくることが重要だ。自己批判もした。今は自分たちのバランスを取り戻し、最善を尽くさなければいけないね」

 メッシは本気でバルサの未来を憂いている。現行契約が満了となる2021年夏以降も青と赤のユニフォームを着続けるかどうか、自らの将来にも決断を下していない状況だ。

 マドリーに対して敗北を認めたのは、勝者とはいかなるものかを知るがゆえだろう。真の勝者とは、自分やクラブの状況がどうであれ、何にも左右されることなく勝つことができるものだ。メッシは、バルサが本来そうでなければならないと考えているに違いない。

 今のカオスに浸かったバルサがあるべき姿に戻るためには、何よりも優先して、死力を尽くしてCLのタイトルを確保しなければならないということだ。メッシは言った。「このクラブは全ての試合に勝つことが義務づけられているのだから」と。

(文:舩木渉)