ターンオーバーはうまくいかず

プレミアリーグ第37節、アストンビラ対アーセナルが現地時間21日に行われ、1-0でアーセナルが敗れた。アーセナルは降格圏にいた相手に枠内シュートを放つことすらできず。ただ、大局的に見ればミケル・アルテタ監督は大きな賭けに出ているように見えた。(文:加藤健一)
——————————-

 最近のアーセナルは結果に手ごたえを感じ、自信を深めている。無失点でリーグ戦3連勝を飾り、リーグ優勝が決まったあとではあるもののリバプールに勝利。FAカップ準決勝ではマンチェスター・シティを2-0で下している。ウナイ・エメリ監督が指揮を執っていた前半戦に比べれば、チームの状態は格段にいい。

 しかし、前政権で負った負債の影響は大きく、リーグ戦では厳しい位置に立たされていた。36節終了時点で6位のウォルバーハンプトンとの勝ち点差は3ポイントの9位。残り2試合でアーセナルが2連勝しても、ウルブス以下3チームを勝ち点で上回る可能性は低い。リーグ戦成績でのUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得は難しい状況となっていた。

 シティ戦から中2日で臨むアーセナルは、前節から6人を変更している。3-4-3の布陣で、前線には出場停止明けのエディー・ヌケティアを右に置いて、アレクサンドル・ラカゼットと同時に起用されている。

 この試合を見る限り、ミケル・アルテタ監督の決断はうまくいかなかった。併用されていた両者が同時起用されたことで、互いの良さを潰し合ってしまった。ラカゼットが下がって中盤からのパスを引き出そうとしてもヌケティアとポジションか被ってしまう。2人とも中央にいるので、左からピエール=エメリク・オーバメヤンがダイアゴナルに走りこむスペースもなかった。好調だったここ最近の崩しのパターンがこの試合ではほとんど見られなかった。

アーセナルは8位以下が確定

 27分にCKから失点したアーセナルは、大胆な交代策でゴールを狙った。60分にはダビド・ルイスとブカヨ・サカを下げて、ニコラ・ペペとキーラン・ティアニーを投入。セドリク・ソアレス、ロブ・ホールディング、セアド・コラシナツ、ティアニーの4バックに変え、前線にペペ、ヌケティア、ラカゼット、オーバメヤンを並べた。

 アーセナルはサイドを厚くして主導権を握ろうとしたがうまくいかず。79分にはセドリクを下げてジョー・ウィロックを投入。中盤が本職のウィロックは右サイドバックの守備をこなしつつ、攻撃ではインサイドのポジションを取った。ティアニーとペペがワイドに開き、3人のFWが最前線に並んでいる。

 陣形を変えて打開を試みたが、アーセナルは最後までゴールを割ることができなかった。試合を通じたシュート数は相手を下回る7本。試合終盤にはペペの右CKをヌケティアが頭で合わせたが、ポストに直撃。結局、アーセナルは枠内シュートを放つことができず、0-1で敗れている。

 この結果を受けてアーセナルの8位以下が確定。リーグ戦の成績でEL出場権獲得の可能性が潰えている。

アルテタのもくろみ

 プレミアリーグのトップ2に勝利したかと思えば、降格圏に沈むアストンビラに敗北。ただ、FAカップ決勝でチェルシーに勝利すれば、アーセナルは来季のELに出場することができる。アルテタは残りのリーグ戦よりも、ビッグロンドンダービーに照準を合わせているのではないだろうか。

 当然、試合後の会見ではこの趣旨の質問が飛んだが、アルテタはこれを即座に否定している。しかし、そのような推測を立てると、この試合の選手起用にも合点がいく。

 勝たなければいけない試合でキーラン・ティアニーやグラニト・ジャカをベンチスタートにし、60分には決して悪いパフォーマンスではなかったルイスを下げた。ルイスは8試合連続で先発していたこともあり、プレータイムを制限したとも考えられる。

 アーセナルは中4日でワトフォードとの最終節に臨み、そこから中5日でチェルシーとのFAカップ決勝が控えている。8位以下が決まったことで、最終節でも大幅にメンバーを変えることも可能になった。昨季のEL決勝で敗れているチェルシーに勝つために、リーグ戦を捨てたのかもしれない。しかし、連敗でチェルシー戦に臨むのは好ましくない。最終節で誰を起用して誰を休ませるのか。アルテタの決断は非常に重要になる。

 結局のところ、指揮官の評価はプロセスよりも結果で評価される。タイトルを取ればアルテタの名はさらに上がる。アーセナルは「試合に負けて勝負に勝つ」という賭けに出たが、どのような結果を残すのだろうか。

(文:加藤健一)

【了】