プレミア屈指のサイドバック

 欧州主要リーグでは夏の移籍市場がオープンしている(イタリアは9月より)。すでに多くの実力者が移籍を決めており、新天地でのプレーには大きな注目が集まっている。今回フットボールチャンネルでは、移籍を決意した選手たちを様々なデータを参照した能力値とともに紹介していく。今回はベン・チルウェル、ペドロ・ロドリゲス、久保建英、マラング・サール、ピエール・カルルの5人。(移籍金などは『transfermarkt』を参照)。

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DF:ベン・チルウェル(イングランド代表)
生年月日:1996年12月21日(23歳)
市場価格:4000万ユーロ(約48億円)
19/20リーグ戦成績:27試合出場/3得点3アシスト(レスター)
移籍先:レスター→チェルシー
移籍金:5020万ユーロ(約60.2億円)

 レスターの下部組織出身であるベン・チルウェルは、ハダースフィールドへのレンタルも経験しながら順調に成長を果たし、2017/18シーズンよりファーストチームでポジションを掴んだ。それ以降もレスター不動の左サイドバックとして奮闘。スリーライオンズにも継続的に名を連ねるようになった。

 そんな23歳のDFは多くのビッグクラブから注目を集めていたが、新天地はチェルシーに決まった。同クラブは26日、イングランド代表レフティーと5年契約を締結したことを発表。移籍金は5020万ユーロ(約60.2億円)となっているようだ。

 左サイドバックのチルウェルは「スピード」を武器に持っており、鋭いオーバーラップで攻撃に奥行きをもたらすことを可能としている。また、高質なクロスでチャンスを生んだりロングフィード等を活かしてビルドアップにも貢献するなど、足元の技術も極めて高い選手である。

 デビュー当初は課題と言われていた「フィジカル」や1対1の対応も、プレミアリーグという世界最高峰のリーグで揉まれたことで着実に向上。より隙のない選手になりつつある。左SBの人選に悩んでいたチェルシーにとっては、大きな補強になったと言えるだろう。

セリエA初挑戦へ

FW:ペドロ・ロドリゲス(スペイン代表)
生年月日:1987年7月28日(33歳)
市場価格:950万ユーロ(約24億円)
19/20リーグ戦成績:11試合出場/1得点1アシスト(チェルシー)
移籍先:チェルシー→ローマ
移籍金:フリー

 スペイン代表のペドロ・ロドリゲスは、FIFAワールドカップやEURO、チャンピオンズリーグなど、これまでに多くのタイトルを獲得してきた。2015/16シーズンより所属しているチェルシーでも、攻撃の中心的存在としてプレミアリーグ制覇やヨーロッパリーグ制覇に貢献。まさにサッカー界屈指のトロフィーコレクターである。

 そんなペドロは2019/20シーズン終了をもってチェルシーとの契約が満了。新天地候補にはヴィッセル神戸の名も挙がっていたが、ローマへの加入が決まった。契約期間は2023年までの3年間。ペドロはクラブを通じて「ファンが歓迎してくれたことに感謝している。彼らを幸せにしたいね」とコメントしている。

 身長169cmと小柄だが、「ドリブル」の鋭さや質の高い「パス」、左右両足から放つ精度の高いフィニッシュで違いを作り出せる選手だ。オフザボールの動きも秀逸で、相手との駆け引きを制してボールを引き出すことも多い。足元で勝負する傾向の強いアタッカーが多く揃うローマの中で、また違った色を出せる存在と言えそうだ。

 それに加え運動量も豊富で献身的に守備も行うなど、チームのために汗をかくことも厭わない。そういった姿勢、そして何より数多くの舞台で頂点に立ってきたその経験値は、ローマにとっても大きなプラスとなるだろう。

日本の若き才能

MF:久保建英(日本代表)
生年月日:2001年6月4日(19歳)
市場価格:3000万ユーロ(約36億円)
19/20リーグ戦成績:35試合出場/4得点5アシスト(マジョルカ)
移籍先:レアル・マドリード→ビジャレアル
移籍金:ローン(250万ユーロ/約3億円)

 レアル・マドリードからマジョルカにレンタルした昨季はラ・リーガ35試合に出場し、4得点5アシストの成績を収めるなど主力として奮闘した。チームは残念ながら一年での降格となってしまったが、個人としてのパフォーマンスは目を見張るものがあったと言えるだろう。

 評価を高めた久保建英の新天地候補にはセビージャやオサスナといったクラブの名が挙がっていたが、今月10日、ビジャレアルが同選手の獲得を発表。2021年6月30日までの期限付き移籍であり、ビジャレアルはレンタル料として250万ユーロ(約3億円)を支払うことになった。

 久保は「スピード」と「テクニック」、そして「ドリブル」に長けている選手だ。右サイドでのプレーを基本としているが、決して中へ切り込むだけでなく、縦突破の鋭さも兼ね備えるなど多彩な仕掛けで相手を翻弄する。マジョルカでもなんでもないところからチャンスを生み出すシーンは多々みられた。このあたりの質は19歳とは思えぬものがあると言っていいだろう。

 パスセンスも非凡で、ゴール前の駆け引きも光るなど「IQ」も高い。そして何より、19歳ながら堂々とした姿勢が光るなど強靭な「メンタル」の持ち主であることも忘れてはならない。「フィジカル」や得点力に関してはまだまだ伸ばしていく必要がありそうだが、やはり特別な才能を持った選手。ビジャレアルでの更なる活躍に期待したい。

将来有望なフランス人CB

DF:マラング・サール(フランス)
生年月日:1999年1月23日(21歳)
市場価格:1600万ユーロ(約19.2億円)
19/20リーグ戦成績:19試合出場/1得点0アシスト(ニース)
移籍先:ニース→チェルシー
移籍金:フリー

 5歳から地元のニースでプレーしており、2016/17シーズンに当時17歳という若さでトップチームのレギュラーに定着した。年代別代表でも活躍しており、昨年行われたU-21欧州選手権にも出場。フランス代表のこれからを担うであろう逸材として、大きな注目を集めていた。

 そんなマラング・サールは今年6月でニースとの契約が満了。そして今月27日、チェルシーが同選手の獲得を発表している。契約期間は5年間。なお、2020/21シーズンはチェルシーに留まることなく、他のクラブへレンタルとなる可能性が高いとされている。

 サールは身長182cm・体重73kgとセンターバックとしては小柄な選手であるが、広範囲をカバーできる機動力と身体能力の高さを兼ね備えている。「パス」の質も高いなどビルドアップでの貢献度にも期待でき、最終ラインでも恐れずボールを保持する強靭な「メンタル」を持つあたりも特徴的だ。

 メインはCBだが、場合によっては左サイドバックを務めることも可能。ポジショニングには若干の不安があり、まだまだ完成された選手とは言えないが、ポテンシャルは十分高いと言えるだろう。

リヨン下部組織出身のSB

DF:ピエール・カルル(フランス)
生年月日:2000年6月5日(20歳)
市場価格:−
19/20リーグ戦成績:19試合出場/0得点0アシスト(リヨンB)
移籍先:リヨン→ミラン
移籍金:48万ユーロ(約5460万円)

 今年で20歳となったピエール・カルルは、リヨンの下部組織でプレーしていた選手。同チームでは主力として活躍しており、UEFAユースリーグなどではゲームキャプテンも務めていた。しかし、トップチームではベンチ入りの経験はあったものの、出場機会はなかった。

 リヨンは来季の構想にカルルを含めていたようだが、結局ファーストチームでの出場がないまま退団。そこへ獲得に乗り出したのがミランだった。テクニカル・ディレクターを務めるパオロ・マルディーニ氏が直接交渉に関与したと言われており、同選手と2025年までの5年契約を締結することになった。

 主戦場を右サイドバックとするカルルだが、身長184cmと体躯にも恵まれており、センターバックでプレーすることもできる。派手なプレーを披露するタイプではないが、「フィジカル」に長けているため、前線へ飛び出す際のダイナミックさなども十分。ただ、クロスの質は高いとは言えず、ここは弱点とも言われている。

 しかし、カルルはまだ20歳であり、今後化ける可能性は非常に高いと言えるだろう。ミランの右サイドバックにはアンドレア・コンティやダビデ・カラブリアらがいるが、強烈なインパクトを残せている選手はいないため、カルルがいきなりレギュラー争いに割って入る確率も十分あるとみていい。