GK

 アトレティコ・マドリードは2019/20シーズンのラ・リーガ1部を3位で終えた。しかし、一時は7位まで低迷するなど、厳しい時期も続いた。引き分けが多く、負けないが、勝てない。もし6月の中断明けに調子が上がらなければ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を逃していたかもしれない。ところが今夏はアルバロ・モラタとヤニック・フェレイラ・カラスコが完全移籍に切り替わり、レンタル組の若手が復帰しただけで、実質的に新戦力の補強なしで開幕を迎えることになりそうだ。そこで今回は、2020/21シーズンのレギュラー定着が予想される11人を基本フォーメーションとともに紹介する。

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ヤン・オブラク(スロベニア代表/背番号13)
生年月日:1993年1月7日(27歳)
19/20リーグ戦成績:38試合出場/27失点

 5年連続でのサモーラ賞(ラ・リーガの年間最優秀GK賞)獲得は逃してしまったが、リーグ戦全試合に出場して27失点はさすがの一言。個人賞はなくとも、オブラクの評価が下がることは決してない。

 厳しいコースのシュートでも超反応で弾き出すセービング力は世界屈指で、彼の貢献がなければアトレティコはもっと順位を落としていたはずだ。負傷者続出でメンバーを固定できなかったディフェンスラインの崩壊を防ぎ、堅実なプレーでゴールマウスに立ちはだかった。冷静沈着で波のないメンタルの強さも魅力の1つ。新シーズンも絶対的守護神であり続ける。

DF

キーラン・トリッピアー(イングランド代表/背番号23)
生年月日:1990年9月19日(30歳)
19/20リーグ戦成績:25試合出場/0得点4アシスト

 CL決勝の舞台にも立った経験豊富な右サイドバックは、29歳にしてグレート・ブリテン島を飛び出し、キャリア初の海外挑戦に踏み切った。スペインでの昨季は、まずまずの1年だったと言えそうだ。サンティアゴ・アリアスやシメ・ヴルサリコとは総合力に大きな差がある。

 1月下旬からしばらく負傷離脱した期間もありながら、年間を通してみれば右サイドバックのポジションで最もコンスタントなプレーを見せていたのはトリッピアーだった。キック精度が非常に高く、クロスやセットプレーで違いを発揮する。1年でプレミアリーグ復帰の噂もあるが、アトレティコ残留となれば、今季もディエゴ・シメオネ監督のファーストチョイスになるだろう。

ステファン・サヴィッチ(モンテネグロ代表/背番号15)
生年月日:1991年1月8日(29歳)
19/20リーグ戦成績:22試合出場/0得点0アシスト

 昨季は新加入のフェリペも台頭したが、終盤戦の追い上げで指揮官に頼られたのはサヴィッチだった。相変わらず負傷離脱は多くとも、出場すればハイレベルなパフォーマンスを披露し、ホセ・マリア・ヒメネスとの連係も熟練の域に達しつつある。

 ビルドアップ能力は並。それでもガッツ溢れるプレーで厳しい状況でも体を張り、時には激しいタックルも厭わない。体を投げ出しての豪快なシュートブロックもお手の物だ。フェリペのみならず若手も着実に成長を遂げる中、新シーズンはベテランの意地を見せたい。

ホセ・マリア・ヒメネス(ウルグアイ代表/背番号2)
生年月日:1995年1月20日(25歳)
19/20リーグ戦成績:21試合出場/0得点0アシスト

 昨季は負傷離脱が多く、自慢のハッスルプレーも継続性を大きく欠いた。不在時を支えたのがフェリペやマリオ・エルモソだったが、シメオネ監督が怒涛の追い上げを見せた終盤戦に頼ったのは生え抜きのヒメネスだった。

 ディエゴ・ゴディンが抜けたディフェンスラインの新たなリーダーとして期待される。新シーズンは負傷離脱を減らし、1年間しっかりと戦えるコンディションを作れるかが重要になる。レンタル先のポルトガルで経験を積み、アルゼンチン代表選手となって帰還した20歳のネウエン・ペレスらの突き上げをかわし、格の違いを見せつけたいところだ。

レナン・ロディ(ブラジル代表/背番号12)
生年月日:1998年4月8日(22歳)
19/20リーグ戦成績:32試合出場/1得点2アシスト

 ラ・リーガ開幕戦でいきなり退場処分を食らい、スタートは最悪だった。欧州初挑戦で守備面の不安を再三指摘されたが、徐々にスペインサッカーやシメオネ監督のスタイルに順応すると、いつの間にか欠かせない戦力に。

 終わってみれば、故障者が続出したディフェンスラインで唯一リーグ戦30試合以上に出場した選手になっていた。ブラジル人サイドバックらしく積極的な攻撃参加が持ち味で、左足クロスの精度も高い。昨季序盤にブラジル代表デビューも果たし、市場価値は1年で3倍以上に跳ね上がった。

MF

アンヘル・コレア(アルゼンチン代表/背番号10)
生年月日:1995年3月9日(25歳)
19/20リーグ戦成績:33試合出場/5得点6アシスト

 これまでは好不調の波の大きさを指摘されることが多く、スーパーサブ起用も多かった。ところがアルゼンチン代表アタッカーは、アトレティコ加入5年目にしてリーグ戦出場時間の自己最長記録を更新。スタメン出場の機会が増え、プレーの波も小さくなってきている。

 終盤戦、本来は守備的なMFのマルコス・ジョレンテが身体能力の高さを買われ、右サイドのアタッカーにコンバートされて躍動。貴重なゴールに数多く関与し、巻き返しの原動力となった。新シーズンはこれまで以上にポジション争いが難しくなるのは明らかで、生き残るためにはカットインからのフィニッシュやラストパスなどコレアらしい武器に磨きをかけていきたい。

トーマス・パーティ(ガーナ代表/背番号5)
生年月日:1993年6月13日(27歳)
19/20リーグ戦成績:35試合出場/3得点0アシスト

 この屈強なセントラルMFの横を素通りはできない。以前は守備能力の高さだけが魅力として語られていたが、年々成長し、ボックス・トゥ・ボックスのMFとしてワールドクラスの評価を受ける。今夏はアーセナルへの移籍が盛んに噂された。

 懐に飛び込んでくるアタッカーから強烈なタックルでボールを奪うと、いつの間にかゴール前に現れてシュートシーンにも絡む。昨季はエクトル・エレーラやマルコス・ジョレンテといった実力者が新たに加入してもポジションを譲らず、中盤の軸であり続けた。

サウール・ニゲス(スペイン代表/背番号8)
生年月日:1994年11月21日(25歳)
19/20リーグ戦成績:35試合出場/6得点0アシスト

 アトレティコの魂を受け継ぐ生え抜きのマルチMFで、ピッチの左寄りのあらゆるポジションを器用にこなす。昨季も本職のセントラルMFのほか、左ウィングや左サイドバックとしてもプレーし、年間を通してチームを支えた。

 負傷離脱が極めて少なく、現在5年連続でリーグ戦30試合以上に出場している。そして昨季の6得点は自己最多だった。どんな時も労を惜しまず、全てをアトレティコのために捧げる真のチームプレーヤーだ。

コケ(スペイン代表/背番号6)
生年月日:1992年1月8日(28歳)
19/20リーグ戦成績:32試合出場/4得点5アシスト

 サイドから的確なパスワークでゲームを組み立てるシメオネサッカーの申し子。昨季からキャプテンに就任し、卓越したリーダーシップでもチームを引き締めた。すでにアトレティコでの公式戦出場数は400試合を超えており、誰もがその存在価値を認めている。

 昨季は不振に喘いだアトレティコだったが、コケが負傷から復帰した2月以降はリーグ戦で一度も負けることがなかった。敗れたのはCL準々決勝のRBライプツィヒ戦のみ。超一流の技術と献身性を融合させた“カピタン”は、新シーズンもチームの哲学を先頭立って表現する。

FW

アルバロ・モラタ(スペイン代表/背番号9)
生年月日:1992年10月23日(27歳)
19/20リーグ戦成績:34試合出場/12得点2アシスト

 昨季のアトレティコが苦戦した要因の1つは、前線の得点力不足だった。最終的に12得点を挙げたものの、モラタが期待されたほど結果を残せなかったことは勝敗に直結していたと言える。

 中盤戦にリーグ戦で4試合連続ゴールがあったものの、チームが好調だった6月の再開以降はわずかに3得点。チェルシーから完全移籍に切り替わって迎える今季こそ、9番として果たすべき責務を全うしてアトレティコにタイトルをもたらしたいところだ。

ジョアン・フェリックス(ポルトガル代表/背番号7)
生年月日:1999年11月10日(20歳)
19/20リーグ戦成績:27試合出場/6得点1アシスト

 約150億円もの移籍金でアトレティコに加入したポルトガルの新たな“神童”は、新しい環境になかなか馴染めず苦しんだ。出場機会は徐々に減り、終盤戦はベンチを温めることも増え、リーグ戦ではわずかに6得点。とても期待に応えたとは言い難い。

 仮に移籍金が将来性への投資だったとしても、金額に見合った活躍を求められるのは自然なこと。もともと純然たるストライカータイプではなく、肉体的なひ弱さや、精神状態がプレーに反映されやすい課題も残すが、新シーズンこそシメオネ監督の求めるスタイルに適応して勝利につながる結果を残したい。